uenoutaの日記

好きなものを描いたり、買ったものを紹介していきます。

転生したらロボットの中だった(ただし、でることはできません)輪廻の輪の外へ 9

「まあ、あれだよね、流石にこの目でも全部見える訳じゃないし、きっと海とかもあるよね?」

 一面森だし、遠くには森のお化けみたいなものも見えるから動転してしまったが、よくよく考えたら視界に映る範囲で世界の全てなんてと思うのはおこがましい思考だ。世界はそんな狭くない……筈。上昇が止まり、落ちだす体。でもこのままの勢いで落ちたらまた森に多大な衝撃を与えてしまう。動物とかはいないかもしれないが、もっと他の……何かはいるかもしれない。

 だから着地する前に足のブースターを噴射して勢いを殺してそっと降りた。

「ふう、なんか感覚でわかってきた感じ」
『それはそうでしょう。G-01も貴女の体ですから』
「そうみたいだね」

 私は腕を顔の所まで持ってきて開いたり閉じたり、小指から握ったり、親指から順に開いたりと細かな事をやってみる。自身の細く綺麗な手がそれをやれるのは当然だ。けどモニターに映ってる太いロボットの腕も同じように動いてる。遅延もない。まさにこのロボットの体は私そのものなのだ。

 勇者と魔王の世界では無我夢中で動かしてたからね。寧ろあの時はこんなモニター越しじゃなかったし、感覚も全てロボットに同調しててまさに私がロボットになってた。だからあの時と今はちょっと違う。私は私という存在がいて、そしてやっぱりロボットに乗ってる搭乗者なのだ。

「いきなり派手な事をする奴だな君は……」
「ふん、何か見えたのか? 俺達も一応周囲は確認したが、何もなかったぞ。森だけだった」

 んん? 魔王の奴、何言ってるの? あんな目立つの見堕とすとか、その目は節穴か? そんな事を思ってるとAIに指摘された。

『あの木の集合体の様な物は不確かな測距ですが、千キロ以上は離れています』
「へえーならしかたない……ん?」

 今私の思考を読まなかった? よくよく考えら今までもそんな事があったような……怖い。もしかして私ってこのロボットにつながってるから、AIに考えてること筒抜けになってる? 何か嫌なんですけど? でも指摘するのも怖いし、私は黙っておいた。私は楽天的なのだ。

「ずっと向こう、千キロ以上先に何か木の集合体みたいなものがあった」
「千キロ? それはかなり遠そうですね」

 ん? 何か変な事をいっただろうか? いまいち勇者はピンと来てない感じだ。

『単位では? 世界によって単位が違うのはよくある事です』
「なるほどね」

 よくそんなことに気づくね。私は全然思い至らなかったよ。てか絶対に思考読まれてるよね? まあいいか。別に単位なんて気にしない。ニュアンスで大体伝われば十分だ。

「ではそこに向かうという事ですか?」
「うーん」

 私は考える。確かに普通はあそこを目指すべきだとは思う。なんか空には動物居そうだし、空に向かって集まってるあの木の集合体には何かがいそうだ。けどな~なんか嫌な予感もするというか。そんな事を思って考えてると、なんか魔王がいってきた。

「ちょっと待て!」
「なに?」
「貴様、何か忘れてないか?」
「ん?」

 何を言い出すんだこの魔王は。そんなにこき使ったこと根に持ってるのかな? 小さい魔王である。まあ私からしたら物理的に小さいんだけどね。てか分かんないから聞くことにした。

「なんだっけ?」
「おい、勇者。これでこいつを信用できるとぬかすのか?」
「あはは……本当に覚えてないんですか?」

 何だろうか? 魔王は別段どうでもいいが、勇者に呆れられるとなんかグッと心が痛む。でも私にはわかんないんだけど……そういえば元々彼らにここの鉱石を持ってこさせたのってAIじゃん。さっきからなんか意図的に黙ってると思ったけど、絶対にAIがなんか知ってるでしょ。

 普段なら無駄に思考読んで話してくるのに、今はだんまりだからね。絶対に何かしってる。

「ちょっとどういう事?」
『すみません。彼らの協力を仰ぐために力の譲渡を約束しました』

 なんだか申し訳なさそうなAIが新鮮だ。ちょっとだけ可愛いぞ。

「ふーん、そんな事できるんだ」
『はい、彼らは世界が違うので今体内にある力が全てです。それがなくなれば、ここでは存在を保つことはできないでしょう』
「へぇー」

 なかなかに事態は緊迫してたみたいだ。それって結構致命的じゃない? 

『世界が違えば力の元素も違います。回復は見込めないのです』
「でも私なら二人に力を譲渡出来るんだ?」
『はい、G-01は多様な世界に対応する機能が盛り込まれてます。それを使えば、この世界の力を変換し、彼らへと渡すことが可能でしょう』
「別段それならいいじゃん。二人共無事で済むのなら」

 渋る理由が分からないね。二人が死ぬよりはいい思うけど……

『この機能は大部分がG-01の駆動と貴女の生命維持に使われてます。変換された力の譲渡はそれなりに負担となりえますし、修復に遅れが生じます』

 なるほどね。だからAIは渋ってたわけか。でも……

「二人は頑張ってくれたし、持ちつ持たれつだよ。私はそんなにやわじゃない……そうでしょ?」

 私はそういって次の行動を決定した。

「ごめんごめん思い出したよ。二人に力を与えましょう」
「ふん、早くしろ」
「よかったよ。正直、見捨てられたら困るからね」

 魔王も勇者ほどに謙虚なら可愛げあるんだけどね。まあそれだと魔王らしくないか。そう思って私は二人に力を……力を……

「どうやるんだっけ?」

 こっそりとAIにそう聞いた。

転生したらロボットの中だった(ただし、出ることはできません)輪廻の輪の外へ 8

「で、これからどうすればいいの?」

 私はAIにそう聞いた。だってAIに聞かないと何にもわかんないし……そもそもこの世界の情報とか無い訳?

『成分分析でこの世界の力にジャネスが多く含まれてる事がわかりました。なのでここで知的な生物と出会うのは難しいでしょう。ジャネスは自然を尊ぶのです。きっとこの世界のサンクチュアリは特殊な個体に宿ってる筈です』
「つまりは、動物でもさがしてればいいと?」
『そうですね。ある程度の種類を把握してないと何が貴重なのかわかりませんから』

 そういうことらしい。動物探しか……知的な生物も居ないとか、この世界は未開の地なのかな? いや、そういう世界もあるだろうけど……

「原始人とかも居ないわけ?」
『どうでしょうか。ですが、無駄に規定概念に当てはめて考えるのは止めた方いいですよ』
「何でよ?」
『ここは異世界だからです』

 それを言われたら確かに……としか言い様がない。ここは異世界なのだ。私がうろ覚えてる歴史とか全然役に立たないんだ。

「ねえ、二人とも、ここら辺かなり動き回ったんでしょ? 何か居なかった?」

 私は足下の勇者と魔王にそう尋ねる。あれだけ動き回ってたんだ、何かみてるくらいするだろう。

「いや、この周囲では何も見なかったが……」
「ふん、そんな手頃な動物が居たら仕留めてくってるわ!」

 むむ……あれだけいろいろと動き回ってた二人が動物を見てないって……あり得る? そんな馬鹿な……それにさっき私がいたずら心で土下座したときにはなんかの鳥の羽ばたきみたいな音が聞こえたが……空にいる? でもこんなどでかい森に何も居ないなんて……

(いや、まて。私の常識は前の世界での常識だ)

 もっと正確に言うなら、前々回の世界でもある。だから役になんて立たない。そもそも自然を尊ぶとか……何がっ感じだが、知的な生物が居ないわけじゃなく、地上には生物が居ない世界って事もあり得るのでは? 

「何かレーダー的な物って無いの?」
『ありますが、使えませんね』
「それってまだ壊れてるって事?」

 まだ私は完全に治ってはない。一応動けるようになっただけだ。それを考えるとレーダーとかは後回しになっててもおかしくない。

『いいえ、使えはしますが、まだこの世界の情報が足りないのでレーダーとして機能できません』
「よくわからないけど、役に立たないのはわかった」

 どうしようか? とりあえずここは視界も悪いし、もっと視界よくした方がいいんではないだろうか? 

「ちょっと二人とも剣になってよ」
「うん? それはどういう……」
「何を言ってる貴様? 剣なんかになれるわけ無いだろうが。そもそもこれ以上こき使われる気は無い!」

 ええ? 何? もしかして二人とも剣になったときの記憶無いの? まあ、そもそもなんで剣になったのか全くの謎だしね。なって――っていってなれる物でもないのかも? 

「ちょっと……」

 私は文句をAIに告げる。するとAIがこう返してきた。

『どのみちここではアレは使えません。ここは世界が違いますから』
「あれは自分たちの世界限定の大技みたいな奴って事?」
『その認識でとりあえずはいいです』

 私が理解できないからっておおざっぱだな。でも剣が無いんなら、伐採する事も出来ないじゃん。

「しょうがないか」

 私は屈伸を何回かして感触を確かめる。そして膝に力をためる。膝関節部分が何やらキュイーーーンと唸ってるが気にしない。力を開放する様に膝を伸ばすと、凄い勢いで私は跳んだ。小さい枝は無視だ。私の体にあたるだけで折れる。けど、私よりも大きな木は当然枝だって大きい。

 端っこに行くほどに細くなってるが、進路上邪魔になる枝はある。だからそれを殴って押し通る。そしてついに私の見てるモニターにいっぱいの青空が映った。

「これで生き物でも森の出口でも見えれば――え?」

 視界に広がるのはどこまでも続く森……森・森である。終わりはない。そして遠くに変なのが見えた。それは沢山の木々が集まってどこまでも空に昇ってる木の集合体だ。まさかこの世界って、森しかないんじゃない? そんな疑念がわいてきた。

転生したらロボットの中だった(ただし、出ることはできません)輪廻の輪の外へ 7

「どうだ? 動けるか? 大分きれいになったように思うが……」
「これ以上はやらんぞ! さっさと動け、この木偶が!!」

 ふむ……外の魔王と勇者が五月蠅い。まあ五月蠅いのは魔王だけだけどね。あんまりギャーギャー言ってると手元が狂ってプチッと行くかもしれないよ? しょうがないよね。手元が狂う事って誰しもにあるし。それに私はまだこの体の動かし方になれてない。
 そんな状態だから、事故って起こると思うんだ。

「おっとっと」

 私は立ち上がるために腕を支えにするために動かした。そして地面に手形がつく。その間に魔王と勇者がいた。立ち上がったけど、あんまり視界よくないね。何せ私よりも背が高い木がいっぱいあるからだ。まあそれでも倒れてるときよりはよっぽどいい。思いっきり空気を吸い込みたいね。

「って私中じゃん」

 ロボの内部にいる私は外の空気を吸うって事はできない。試しに聞いてみた。

「ねえ、外の空気って吸えないの? 外気を取り込むとかしてないの?」

 換気とかはきっとしてるよね? それなら知らずに外の空気を吸ってる可能性だって――

『必要ではありません。それに世界が違うのですから、どんなウイルスがあるかわかりませんよ?』
「けど、二人は外で元気にしてるけど?」

 私はそう言ってしたの二人に視線を向ける。今はこの内部の半周くらいのモニターが復活してる。だからかなり視界はいい。本当なら、三百六十度……とは行かなくても二百五十位は見える範囲を確保できるらしい……けど、まだ完全に治ったわけじゃないから視界百三十度くらいが見える感じだ。

「貴様、今わざとやっただろうが!! こき使ってその狼藉、万死に値するぞ!!」
「魔王やめろ! けど、流石に今のはちょっと肝が冷えたかな?」

 一応勇者が魔王をとめてるけど、あれは勇者もちょっと怒ってる? 確かに二人はよく働いてくれた。私だけではこんなにすぐに動くこと出来るようになはならなかったしね。それを考えると悪いことをしたかもしれない。

「謝った方がいいかな?」
『ご自由に。ですが彼らはまだ利用価値はあります』

 利用価値って……そういう所AIらしい。まあけど、利用価値があるのなら謝ろうかな。こんなところで一人とかイヤだし。いや、結局AIはいるか……でもAIと談笑とか……ないな。ってな訳で私は二人に謝ることにした。

「ごめんなさい。ちょっと魔王が五月蠅かったから」
「それが謝ってる態度か? 頭が高いぞ?」
「こら魔王!」

 ふっ、調子に乗った魔王を勇者がいさめてるが、もう遅い。そいつの操縦をするのは今から勇者の役目だから。そして魔王の失言は二人の失言なのだ。

「それもそうだね……どうもすみませんでした!!」

 私は後ろに下がって膝をつき、渾身の力を込めて頭を下げた。いわゆる土下座である。勿論ただ屈辱に耐えてそんなことをしたんじゃない。私の頭は魔王と勇者の居る場所数センチ手前だし、私の頭がぶつかった衝撃でこの森を大きく揺らして木々がゆれて何やら森が騒がしくなった。

「これでよかったかな? まだ足りないならもう一度」
「…………ふん、まあ今日はこのくらいにしといてやろう」

 そういう魔王の脚はなんか震えてた。見間違いじゃない。私の機械の目は細かいことさえ見逃さないのだ。勇者もあきれてるし……
 ふん、これに懲りたら、自分の立場って物をわきまえる事ね。私は気分よく立ち上がる。さて、これからどうするか。たしかサンクチュアリが何たらなんだっけ? うん、よくわからない。

お座りマリア

#キラッとプリ☆チャン お座りマリア - uenoutaのイラスト - pixiv

 

 マリアちゃんは最高にスタイル良いですよね。背高いし、おっぱいもあるし、モデル体型してます。まあこのイラストじゃ、おっぱいは見えないけど。でも足裏見えますから! 普段見えない所が見えるってなんかよくないですか?

 

 

転生したらロボットの中だった(ただし、出ることはできません)輪廻の輪の外へ 6

 あれから魔王と勇者が何回か、この森をかけて岩を持ってきてくれたおかげで私は動けるまでに回復してた。いや、回復じゃないか。修繕してた? だって外の体はロボットだからね。私はこの時間にいろいろと、自分の事をAIに聞いていた。

 まず自分は何者なのか?

『貴方はこのGー01に接続され、生命を長らえさせていたプチュオクミです』
「意味がわからないんだけど? なにそのプチュオクミって?」
『プチュオクミとは選ばれた存在であり、帰ることが出来ない彼方の人です』
「はあ……」

 それは答えなのか? もっと具体的に言ってほしい。

「私は、人間なの?」
『貴方は大きくくくるなら、限りなく人間です』

 それは人間か怪しくないだろうか? ここはこのAIには私の事を言った方がいいのだろうか? 私が実は前の記憶を一部持ってる様だと……

「あのね、私はどうやら以前の記憶がちょっとあるっていうか。ここじゃないどこかを私は知ってるんだよね。まあほぼ記憶ないだけど、なんとなくそれがわかるっていうか? 私って実は転生者とかじゃないかな?」
『そうですね。プチュオクミですからね』

 だからそのプチュオクミって何だよ!? なんかちょっと優しい声にAIがなってた気がする。私……痛いやつって思われた? 納得いかない。だって私よりも中二的というか、おかしな事を言ってるのは端から聞くとAIじゃん。それなのに私が痛い奴って思われるのっておかしくない!? 

「私、ここから出たいんだけど?」
『出たら死にますよ? それにそれは願いに反します。受理できません』
「死ぬんだ!? それに願いって何?』

 なんかいちいち返しが衝撃強すぎて困る。このままじゃ私、心臓が早くなり過ぎちゃうよ。

『すべては願いのためなのです。その為に私たちはあるのですから』
「だからその願いを教えてよ」
『それはわかりません』
「おい、そんなのでごまかされないよ! だって意味有り気に言ってたじゃん!!」

 あれ絶対に知ってる体だったから! 

『願いの内容はロックされてます。ですが、それが私たちの目的だと言うことは示されてます』
「むむむ……」

 なんか機械にあり得そうな設定もって来やがった。そう言われたら、そうなのかなって思うじゃん。私は機械のことなんか全然わかんないし……確かめる術もないんだ。だからそう言われたらもうどうしようもない。

「はあ……」

 私はおおきくため息をつく。私は何もしらない。知らないから、AIの言うことを確かめる術もない。

(いっそ無理矢理出てみる?)

 けど私のひ弱な力ではこの脚の奴とか脱げないんだよね。唯一この身で確かめられることと言ったら生死なんだけど、実際それを体を張ってやれたらやるか……といわれたら、私的にはノーである。だから確かめられる事なんかない。

「降参だー!」
『何馬鹿なことを言ってるんですか。動けるようになったらこの世界のサンクチュアリ保持者を探しましょう。それでまた一つ、願いに近づきます』

 降参した私には拒否権なんかないし、めんどいから気になったワードも聞かなくて「へーい」と言った。

転生したらロボットの中だった(ただし、でることはできません)輪廻の輪の外へ 5

 俺たちは巨大な木々を渡っていってる。そして俺の手には手のひらサイズの機会が握られている。それはただ単に、目的のものを点で示すだけのアバウトなものだ。目的のものを表示してくれるだけでもありがたいから助かってはいる。

 なにせここは俺たちの世界ではないんだ。最初は信じられなかった。だが、こんな場所は俺たちの世界にはなかった。

「全く忌々しい奴だ。この我を小間使いにしおって」

 魔王も最初はあの巨大な物の言葉を信じてはなかった。だが信じるしかない。場所……は魔王は魔大陸から出たことがなかったらしいからわからないらしいが、俺はこいつを倒すために世界をまわった。もちろん世界の全部をまわったかと言えばそんなことはないが、それでもかなりの場所をまわったし、秘境と呼ばれてるところにも俺は仲間たちと共に行き、そして踏破した物だ。

 そんな苦労をしてたのも、全部こいつを倒すためだ。それなのに、今は一緒に小間使い……人生とはわからない物だ。

(しかも別世界にきてる)
「何がおかしい? 貴様も貴様だぞ勇者!」

 思わず笑ったのを魔王の奴に見られたみたいだ。魔王の奴がこっちに絡んでくる。けど別にその絡みに殺意はない。俺たちは傍若無人で、世界を滅亡させる魔王と戦ってた筈なんだが……何故か魔王もその力をこちらに向けるような事はしない。

 原因は簡単だ。俺も魔王もこの世界に適合してないのだ。考えてみれば当然のことだ。俺たちは空間を超え、そして世界を渡ってしまった。元の世界でも、様々な国があり、そして言葉が通じないこともある。一つの世界でそれだ。

 ならば……だ。世界を渡るというとこはどういうことか……俺の貧弱な想像力では以前はそんなことを考えることもなかったが、今はまさにその想像の範囲外の場所にいる。元の世界なら、力というのは自然と回復していく物だった。だが、ここでは違うみたいだ。

 俺たちの力は回復しない。だが、その術はあるようだ。それが『ジゼロワン』が言うには彼が直れば、それが可能になると言うこと。魔王は疑ってるが、俺は勇者の力で信じれる奴がわかる。いや、この力も実は今はちょっと精度が悪くなってるんじゃないかと思ってるんだが……

(なんか魔王が信頼できる奴になってるからな)

 元の世界では間違いなく、この魔王は史上最悪の魔王で、倒すべき世界の敵だった。だが、今俺の力で見た魔王は、少なくとも危険ではないとでてる。そしてジゼロワンもそうだ。だから俺は動いてる。なにせ俺は勇者なんだ。世界は崩壊は免れたようだが、俺は元の世界に仲間や、そして……大切な人を残してきてる。帰られないといけない。その為には、こんなことになった現況と一緒に居るのがいいだろう。

 俺はチラリとふてくされてる魔王を見る。これから一体何が起こっていくのかわからない。だが、今頼れるのはお互いに敵だった物しか居ない。そして力は魔王が、少なくとも今は倒すべき存在ではないと言っている。でも……

(元の世界に戻ったら、あの続きをすることになるんだろうか?)

 ……俺はそんな事を思ってた。