uenoutaの日記

好きなものを描いたり、買ったものを紹介していきます。

ある日、超能力に目覚めた件 95P

 チャイムが鳴ると同時に、トイレに駆け走る奴、スマホを早速取り出す奴。友達の席に行ったり、教室は一気に騒がしくなる。三時間目と四時間目の間ということもあって、後一時間を頑張れば昼休みって感じだから、後もうちょっと……という雰囲気がある。

 そして今日の昼には何かあるんでは? と皆が思ってた。いや、それは確定してる。なぜなら山田先輩が、既にそれを宣言してるからだ。彼はなんと、この学校のSNSで昼休みにはこの教室に来ると宣言してる。

 なにやらやるらしい。どうやら疑ってる奴らにぐうの音も出ないような証拠を突きつける気のようだ。それが一体何なのか……みんな興味津々といった所だろう。

 

(イケメンは全然動揺してないな……)

 

 野乃野足軽は自身の教室で休み時間になっても動いてない。スマホを見るふりをしつつ、その視界はスマホの画面を写してはない。上階の教室の様子を写してた。そこでは野乃野足軽の教室と同じように喧騒がある。そしてその中心で山田先輩が楽しく沢山のお友達とおしゃべりしてる。

 そこには別に緊張とかが見えるようなことはなかった。普通に楽しくおしゃべりしてる。あれだけ大きく昼休みに平賀式部の所に行く――と言ってる割には普通すぎる。

 

(いや、別にあの人に取っては女子の所にいくなんてなんでも無いんだろうな……)

 

 野乃野足軽には考えられないことだ。別になんとも思ってない女子であっても、野乃野足軽は声をかけるのは緊張してしまう。それほどに普段から女子と接してない野乃野足軽である。妹がいるじゃないかって? あれは妹という生き物であって性別でみてるわけじゃないから、ノーカンなのだ。

 

(平賀さん……)

 

 当然だけど、そのことは平賀式部自身もわかってる。けど何も反応してない。公なSNSで山田先輩は言ってたから、なにか反応を残すことは出来た筈だ。けど、それはしなかった。

 一応あれから二人はやり取りをちょっとだけ交わしたが、その返答は「大丈夫だから」というものだった。無理……と大丈夫……それはある意味で無理してるんでは? って野乃野足軽は思ってた。

 実際、野乃野足軽と平賀式部の関係ってなんともよくわからない感じだ。友達……とは思ってるが、それ以上ではないだろう。ならどのくらい踏み込んでいいのか……実際あの山田先輩が言ってるように、もしも幼馴染というのが本当なら、そっちのほうが関係は深いわけで……とか色々と考えてしまってる。

 

(でももしも、平賀さんを困らせる様な事をするなら……)

 

 その時は、やってやる……と野乃野足軽は誓ってる。何が出来るかなんて、全然全く分かんないが、その時はもうすぐそこまできてる。

転生したらロボットの中でした(ただし、出ることはできません)運命という世界線を壊せ 732

 明と宵の間の空間は外から見ると何も無いような……言うなら宵との区別なんて出来なかったが、数値的には確かに何かあるって分かる程度だったが、どうやら巧妙に隠されてたみたいだ。

 そこは勿論だけど、落ちてきてたプニプニが全体にある場所だ。そして中にはいると、外がボヤケて見える。外とは明と宵だ。ここが違う場所なんだと……どっちにも属してない場所だと感じれる。中と外を隔てる窓の中にでも入ったと考えればわかりやすいのかもしれない。擦りガラス越しに、どっちも見てるみたいな……そんな感じた。そんなことを思ってると、なにやら存在を感じる。この間の世界は全部があのプニプニだからきっとそれだろう。

 それにしても……

 

「大量にいるね」

 

 大きいのが一つ……とかではなく、この空間は大量のそれらが集まって形成されてるらしい。だからこそ、大量の反応があるんだろう。そしてなんかこっちに語りかけてるような? 存在が曖昧だから、それを受け取ることはできない。てか解読できない。G-01でもデータというか、前例がないから、ちょっとこれは……って感じだ。

 それは私の周囲でうねうねしてる。まるで赤ちゃんの手のようなそれが無数に見える。はっきりいうと気持ち悪いが、それには敵意って奴はないから、恐ろしくはない。私がネナンちゃんを装ってるからだろう。それは、私から……というかG-01からちょっと離れてる。けど、何か求めてるようにその手を伸ばしてる。絶対に触れないけど、なんか握ったり離したり……そう思ってると次はなんかその手をペチペチしだした。

 

「流石にちょっと怖くなってきたかも?」

 

 そんな事をボソッと呟くよ。一体何を伝えたいのか? ゴメンだけど、私には受け取るすべがない。いやG-01が受け取れないと、誰も受け取れないような気がするけどね。だって様々な世界の知識とか進んだ技術を搭載してるG-01がどうしようもないのなら、誰もこれを受け取ることなんて出来ないような……

 何を彼らが言ってるのか気になるが、もたもたしてる場合でもない。私はこの空間を進むよ。というか、既に道は出来てた。どうやら気を使ってくれたらしい。これは私に……というかネナンちゃんに気を使ってくれたんだろう。なにせ今の私の事をこの空間の存在はネナンちゃんだと思ってるはずだ。

 だからこれはネナンちゃんへの気遣い。ということで、私は万雷の拍手の中、宵へと向かうことになった。

転生したらロボットの中でした(ただし、出ることはできません)運命という世界線を壊せ 730

 ネナンちゃんの容態は安定しだした。今はもう寝てる状態になった。本当ならもっと両親? といろいろと話したかっただろうが……あとは私が引き継いであげよう。宵の向こうに見える鬼が本当にネナンちゃんの両親というのなら……伝言くらいはしてもいいかなって思ってるよ。

 一応、ずっとチャンネルを合わせる努力はしてる。けどやっぱりネナンちゃんが受け取ってたほどに、私ではうまく彼らの声? を聞き取ることは出来ない。それはもしかしたらこの明と宵の隔たりのせいかもしれないし、本当にあれがネナンちゃんの両親だからという理由でチャンネルの強度というか周波数がピタッと合ってる……という可能性もある。そうなるとより深くネナンちゃんを模倣したほうが良いのかもしれない。

 

 けど今はそれよりも……だ。まずは宵にいかないと。明と宵には明確な隔たりがある。それがこのプニプニだろう。これはきっと明を守ってる。けどだからこそ、柔軟性に飛んでて、強固で、そしてきっと宵の色々な影響を防ぐ役割があるんじゃないだろうか? それこそ……鬼の侵入とかさ。実際、鬼が勝手に明に現れるってことは早々ないと思う。

 なにせ鬼は想像するよりもずっと機械的だからだ。普通の鬼には感情ってやつは感じられない。なぜなら彼らはただの装置? みたいなものだからだ。いわば明という世界を組み上げるためのロボットと言ってもいい。

 だから実際、鬼が侵入をしてこようとする……なんてことは早々ないとおもうけど……もしもそんな時の為に鬼さえを防ぎ切るって意味でかなり強固でないといけない。まあならなんであの黄金の鬼はこっちに来てるのか……だけど、あれだけすんなりとこっちに現れたところを考えるに、きっとやつは許されたんではないだろうか? 

 

 どうにかして通行証的な物を得たとかさ。普通の鬼よりもあの黄金の鬼は感情って奴が強いし……今空の向こうに見えてる鬼のようにあれにも何か魂的なものが? じっさい無理矢理あの黄金の鬼がこっちに来たのだとしたら、その穴を通って他の鬼も来てないとおかしい。まあもしかしたら機械的な鬼だから、そんなのには感心しなくて、普通に直した……という可能性もないわけはない。

 けど鬼にもどうやら感情を呼び起こされる瞬間というかなんかはあるみたいだし……無理矢理あの黄金の鬼が明に渡ってるとしたら、その綻びをあの、今見えてる鬼が使わないのはおかしい。だって彼らはネナンちゃんと対話してる。

 

 本当に両親かはわかんないが、色々な思い出を共有してることは間違いない。それが一体どういうことなのか……私もちゃんと知りたいと思ってる。だから宵に渡る。普段なら宵になって動き回るから、明と宵の堺なんて気にしたことなんてなかった。

 その時には明は結界の街を残して崩壊してるからだ。でも今は明の時間だからこそ、このプニプニが明と宵の間に存在してる。じゃあ宵の次回はこれはどこにいってるのだろうか? よく分かんない。 

 でもそんなのはどうでもいい。重要なのは、このプニプニの攻略方を見つけたということだ。

 

「とりあえずネナンちゃんだと思わせておけばプニプニが侵食してくることはない。更にこの状態で腕を差し込めば……」

 

 私はニヤリとしたよ。思った通りだ。この世界を覆うプニプニはネナンちゃんによせたエネルギーを纏ったG-01の腕を避けた。つまりはこれを全身に適応させれば、このプニプニの妨害を受けずに宵に行くことが出来るだろう。

 まあ実際、このままではこの世界にどういう影響が起きるのか……よくわかんないから、どうにかして、このプニプニが明の世界へと落ちるのを止めたいところだけど……取り合えずそれは力技でなんとかすることにするよ。長くあの鬼となにかやる気はない。ちょっとだけ確かめるだけ。それが僅かな時間で済むかは全然分かんないけど、とりあえずがんばるよ。きっと何かきっかけというか、一つ繋がりがわかれば、そこからきっと色々なことが分かると思う。そして分析力とかはG-01はお墨付きである。

 任せておけ……といいたいね。

ある日、超能力に目覚めた件 94P

「いや、意味分かんねえ……」

 

 そういった野原先輩の言葉にその場にいた奴、そして聞き耳を立ててた人達全員が共感した事だろう。もしかしたら山田先輩は平賀式部のお兄ちゃんと思ってるかなり危ないやつ……なのかもしれないと野々野足軽は思った。

 

「ええー何それ〜どういう事なの?」

「実の兄妹ってわけじゃないでしょ? そもそも苗字違うし。てかあんたに妹がいるなんて聞いた事ないわ」

 

 山田先輩の周囲にいる派手な女子がそんな事を言ってる。彼女たちはきっと平賀式部のライバルなんだろう。いや平賀式部は彼女たちのことなんてライバル視なんてしてないと思う。そもそも存在も認識なんてしてない。けど彼女たちはきっと平賀式部をライバルと思ってる。

 だからこそ、なんか必死というか……相手が敵なのかどうなのか見極めようとしてるかのような瞳の奥に獣のような獰猛さが野々野足軽には見えていた。

 

「あははは、まあそうだよな。簡単にいうと、幼馴染……みたいな?」

「え? まじかそれ?」

「こんなことで嘘ついてどうなるんだよ」

 

 なるほど幼馴染み……幼馴染み……と小さな声量でその言葉を野々野足軽は噛み締めてるようだった。

 

「なんだそんなことか……」

 

 逆にそんな風に呟いたのは桶狭間忠国だ。彼は別に気にしてない風だ。

 

「な、なんとも思わないのか? だって幼馴染みって……かなり大きくないか? 特に平賀さんはそんなに知り合いなんていない。友達だって……そんな中、幼馴染みってかなり重要性高いぞ」

 

 野々野足軽はそんな風に桶狭間忠国に訴えた。というか……ここで一番気になってることは実はそんなことではない。本当のところは……

 

(なんで平賀さんは俺に幼馴染みのことを伝えなかったんだ?)

 

 −−ってことである。だって伝える機会はあった。朝のやりとりの時、友達は野々野足軽だけと彼女は言ってた。けど幼馴染みは居たってことおおおおお!? って感じである。

「確かにそうかもしれない。だが、今のあいつの言葉だけでそれを信じるなんて出来ない。確証なんてない。それに幼馴染みが全員特別な関係……なんて訳はないですし。普通にただ近所だった間柄でも一応は幼なじみでしょう?」

「そうだけど……」

 

 明らかに山田先輩の言葉的には親しい間柄だったと感じる様に話してる。それこそ昔、結婚の約束をした−−みたいな定番くらいやってそうである。

 

「幼馴染ね……でもお前、全然学校では喋んないじゃん」

「それはほら、彼女の意思っていうか。そういうの知られたくない年頃なんだよ」

 

 なんかそんな風に野原先輩と山田先輩が言ってる間にとりあえず野々野足軽スマホで平賀式部に確認することにした。

 

『例の犯人が幼馴染とか言ってますが本当でしょうか?』

 

 的なとても畏まった文になった。これはもちろん野々野足軽の緊張もあるが、相手が平賀式部だからこそ、丁寧にしなきゃ……という意識が働いたせいでもある。そしてそんな文章に対して秒で返信が返ってきた。

 

『無理』

 

−−と。日本語の難しさを野々野足軽は感じてた。

転生したらロボットの中だった(ただし、出ることは出来ません)運命という世界線を壊せ 731

 私の頭には今、さまざまな情報が流れては出力されている。そもそもが……である。私もすでに何度も脳を拡張してるのだ。継ぎ足してるわけじゃないよ。私の頭は平均的だし、どっちかというと小顔である。頭が異様にでかい宇宙人スタイルにはなってない。

 まあだからこそ、どこを拡張してるのかは謎である。でもG-01をアップグレードするたびに、私だってアップグレードしないとじゃん。そうしないと外側は立派になってるが、中身がスカスカ……なんてことになりかねない。いや、実際は外側よりも中身を重視してG-01アップグレードしてる。

 けどそれを使う私自身もアップグレードしないと、上がった性能に振り回されることになる。色々とG-01の基礎能力をアップさせてるわけだけど、早く動けるようになったり、周囲の状況をよりわかるようになったりとしたら、もちろんだけど、私だってそれを理解しないとダメじゃん。

 いや、G-01は優秀だからある程度は色々と配慮してくれる。けどさ、やっぱりG-01を操縦してるのは私なのだ。そんな私がダメダメだとどんなに優秀で性能がいいG-01でもその性能を発揮できずに終わってしまうだろう。だからこそ、私のアップグレードも必要なのだ。

 だからと言って私は機械じゃない。まあ人間でもないみたいだけど……プチュオクミという謎の存在だが、一応体は機械ではないのは証明済だ。いや、血を流したとかないけど、心音はあるし、出すものは出すし……この体は生命活動ってやつをしてるだろう。

 けどなぜにAIみたいな高度な物も作り出せるこの創造主たちは不完全で、そんなに優秀でもない私のような生命にG-01を預けたのだろうか? それがある意味で一番謎だ。もしかしたら預けたというのが間違いって可能性もあるけど……取り敢えずは私も成長しないとG-01を活かせないから私自身も脳の拡張という荒技で思考力やらなんやらをあげてるのだ。

 これがどういう原理かなんてのは知らない。知らないけど、実際G-01の膨大なよくわからん言語のマニュアルを読むスピードは上がってる。こうやって処理されるデータを読み込む速度だって上がってるよ。きっと側から見たら私の目は怖いくらいに世話しわなく動いてるだろう。

 

「それで本当に読めてるの?」

 

って言いたくなるくらいだと思う。そもそもが私の周囲に展開してる仮装モニターに表示されてる文字列だってアホみたいに早く動いてるのだ。それを処理できてるのだから、私の頭の能力は確実に上がってるだろう。

 なにせ前は一つの画面に釘付けになってようやく読み解ける……という物だったのに、今やこれだけ高速でスクロールされてても私にはその意味を理解することができている。もちろん、G-01側である程度情報というのは整理されてたりする。私が読み解きやすいようにね。

 でも前はそれを理解する頭も処理能力もなかったのだ。それに比べたらとてつもない進歩をしてると言っていい。

 

「よし……」

 

 私は様々な情報からいくつかを判断して次の行動を決定した。まずはいろいろな物資を絶賛生産中の施設から簡単な板を作らせてドローンに運ばせる。それには最低限の技術を組み込んでる。まあ簡単にいうとただの移送技術見たいな? パイプが接続されてるわけじゃないが、同じ機能がある板に荷物を転送させることができるという代物だ。 

 A地点の物資をB地点にある板まで一瞬で運ぶとかいう、そんな設置型の転送装置みたいなものだ。応用は効かない。

 これはAからBにしか転送できないが、そのぶん簡単に製造できるし、転送容量もでかい。そもそもが触れた瞬間に転送されるから板自体はその機能を組み込める最小限の薄さとかにしても問題はない。

 これはこのプニプニを受け止める受け皿だ。そしてそれを転送するB地点を宵と明の間に落としておけば、こっちに落ちてるプニプニを元の場所に帰せるといった戦法である。すでに落ちた分? それは知らない。まあ大丈夫でしょう。

 これ以上落ちなければ世界が溺れることはない。そして明と宵に隔たるこのプニプニも、ネナンちゃんと誤認させることで影響されない術を見つけたわけで……あとはそれを安定的にG-01に纏わせることが必要だ。

 でもこれってリスクも高い。G-01の力は膨大で、その全てをネナンちゃんへと寄せるのは現実的じゃないし、エネルギーの無駄だ。なのでこのプニプニにそっくりそのまま、ネナンちゃんだと誤認させるために、ネナンちゃんの人型をエネルギーで作成。そしてそれを纏うことにした。どうやらプニプニはサイズ感は気にしないらしいからこれでいけるだろう。

 ということでG-01は全身を明と宵の間の空間に投げ出した。

ある日、超能力に目覚めた件 86P

「それじゃあ、心惜しいけど、私は先に行きますね」

「うん、また教室で」

 

 そう言って扉を開けて、周囲を見回して平賀式部は去っていく。扉が閉まると同時に大きな体をこそこそとしてる桶狭間忠国が動き出す。そしてそれを扉越しに透視で見てる野々野足軽である。

 とりあえず平賀式部が去ったのを確認して中を確かめようとしてる。けどそれはいつものパターンだ。その前に野々野足軽はさっさとベランダから脱出するだけ。とか思ったけど、なんか今回は素早い。一足で扉に近づいてきた。

 

「げっ!?」

 

 あまりの速さに野々野足軽は驚いた。今までは慎重に行動してたのに、今回はやけに大胆だ。でもその巨体から信じられないが、音は全くしてない。どういう人生を歩んだら、そんな暗殺者みたいなことができるようになるのか……そして素早く取っ手に手をかけて、音もなく引いた。

 そして教室と比べたら狭い部屋に視線を走らせる。

 

「誰もいない……か」

 

 そう呟く桶狭間忠国。そして目を閉じる。何かを感じてるようなその動作……そしてふと上を見た。そこには天井にへばりついた野々野足軽が……

 

「気配はあるんだが?」

 

 桶狭間忠国はそう呟いて野々野足軽を見てるはずだが……どうやら見えてないみたいだ。そして諦めたように扉を閉めた。それを確認してから、野々野足軽は地面に落ちた。華麗に着地したかったが、そんな華麗にはできなかった。尻から落ちた。

 

「いてて……アース、お前」

(あのままだとバレてたでしょう?)

「そうだけど……いや、助かった」

 

 あの時、どうやら野々野足軽はかなりドキドキしてた。実際バレたと思ったみたいだ。けど、バレなかったことに野々野足軽自体が困惑してた。その正体はどうやらアースだったらしい。アースがどうやら何かして野々野足軽を隠してたみたいだ。

 

「何したんだ? 透明にしたとか?」

(そんな複雑なことはしてないです。ただ意識に干渉しただけです)

そっちの方が複雑そうなんだが……と野々野足軽は思った。

転生したらロボットの中でした(ただし、出ることはできません)運命という世界線を壊せ 730

 ネナンちゃんの容態は安定しだした。今はもう寝てる状態になった。本当ならもっと両親? といろいろと話したかっただろうが……あとは私が引き継いであげよう。宵の向こうに見える鬼が本当にネナンちゃんの両親というのなら……伝言くらいはしてもいいかなって思ってるよ。

 一応、ずっとチャンネルを合わせる努力はしてる。けどやっぱりネナンちゃんが受け取ってたほどに、私ではうまく彼らの声? を聞き取ることは出来ない。それはもしかしたらこの明と宵の隔たりのせいかもしれないし、本当にあれがネナンちゃんの両親だからという理由でチャンネルの強度というか周波数がピタッと合ってる……という可能性もある。そうなるとより深くネナンちゃんを模倣したほうが良いのかもしれない。

 

 けど今はそれよりも……だ。まずは宵にいかないと。明と宵には明確な隔たりがある。それがこのプニプニだろう。これはきっと明を守ってる。けどだからこそ、柔軟性に飛んでて、強固で、そしてきっと宵の色々な影響を防ぐ役割があるんじゃないだろうか? それこそ……鬼の侵入とかさ。実際、鬼が勝手に明に現れるってことは早々ないと思う。

 なにせ鬼は想像するよりもずっと機械的だからだ。普通の鬼には感情ってやつは感じられない。なぜなら彼らはただの装置? みたいなものだからだ。いわば明という世界を組み上げるためのロボットと言ってもいい。

 だから実際、鬼が侵入をしてこようとする……なんてことは早々ないとおもうけど……もしもそんな時の為に鬼さえを防ぎ切るって意味でかなり強固でないといけない。まあならなんであの黄金の鬼はこっちに来てるのか……だけど、あれだけすんなりとこっちに現れたところを考えるに、きっとやつは許されたんではないだろうか? 

 

 どうにかして通行証的な物を得たとかさ。普通の鬼よりもあの黄金の鬼は感情って奴が強いし……今空の向こうに見えてる鬼のようにあれにも何か魂的なものが? じっさい無理矢理あの黄金の鬼がこっちに来たのだとしたら、その穴を通って他の鬼も来てないとおかしい。まあもしかしたら機械的な鬼だから、そんなのには感心しなくて、普通に直した……という可能性もないわけはない。

 けど鬼にもどうやら感情を呼び起こされる瞬間というかなんかはあるみたいだし……無理矢理あの黄金の鬼が明に渡ってるとしたら、その綻びをあの、今見えてる鬼が使わないのはおかしい。だって彼らはネナンちゃんと対話してる。

 

 本当に両親かはわかんないが、色々な思い出を共有してることは間違いない。それが一体どういうことなのか……私もちゃんと知りたいと思ってる。だから宵に渡る。普段なら宵になって動き回るから、明と宵の堺なんて気にしたことなんてなかった。

 その時には明は結界の街を残して崩壊してるからだ。でも今は明の時間だからこそ、このプニプニが明と宵の間に存在してる。じゃあ宵の次回はこれはどこにいってるのだろうか? よく分かんない。 

 でもそんなのはどうでもいい。重要なのは、このプニプニの攻略方を見つけたということだ。

 

「とりあえずネナンちゃんだと思わせておけばプニプニが侵食してくることはない。更にこの状態で腕を差し込めば……」

 

 私はニヤリとしたよ。思った通りだ。この世界を覆うプニプニはネナンちゃんによせたエネルギーを纏ったG-01の腕を避けた。つまりはこれを全身に適応させれば、このプニプニの妨害を受けずに宵に行くことが出来るだろう。

 まあ実際、このままではこの世界にどういう影響が起きるのか……よくわかんないから、どうにかして、このプニプニが明の世界へと落ちるのを止めたいところだけど……取り合えずそれは力技でなんとかすることにするよ。長くあの鬼となにかやる気はない。ちょっとだけ確かめるだけ。それが僅かな時間で済むかは全然分かんないけど、とりあえずがんばるよ。きっと何かきっかけというか、一つ繋がりがわかれば、そこからきっと色々なことが分かると思う。そして分析力とかはG-01はお墨付きである。

 任せておけ……といいたいね。