uenoutaの日記

好きなものを描いたり、買ったものを紹介していきます。

ある日、超能力に目覚めた件 109P

『別に何も力はないただの物体ですね』

(そういうことじゃないだろ)

 

 野乃野足軽は求めてるものがズレてるアースにそう突っ込むよ。あれにはたしかになんの力もない。当たり前だ。けどアース的にはもったいぶって出すナニカ……は大層な力のこもった何か……的なイメージがあるのかもしれない。どういう知識なのかは……ここで野乃野足軽はこいつがよくネットで漫画を読み漁ってるのを思い出した。あれは現実ではないが、アースは案外影響を受けやすい。

 

『指輪とは人間社会では特別な契約を結ぶ象徴だと存じてます。それならそれ相応の力がこもってるものです』

(フィクションならな)

 

 ここは残念ながら現実だ。けど野乃野足軽みたいに力を持ってる……いや、持ってなくても不思議な『力』事態は野乃野足軽という実例があるのだから、もしかしたらそういう指輪もあってもおかしくない……のかも? とかちょっと野乃野足軽は思った。

 そしてこれらの会話から分かるように、山田奏が出した物は『指輪』だった。ありきたりといえばありきたりかもしれない。それは装飾もないただのリングと言っていいものだ。

 実際山田奏や平賀式部なら、幼い頃から本物の宝石を使った指輪とかを持っててもおかしくない……とか思えるが、山田奏が出したのはとても二人には似つかわしくない様な質素なもの。

 

『サイコメトリを行えばあれにどんな思い出があるかわかりますよ』

(それはそうだが……流石にこの距離からじゃ無理だってわかってるだろ?)

『そうでしたね』

 

 距離に関係なくアースならサイコメトリが出来るのだろうが、野乃野足軽は流石にそこまでの力はない。直接触れないとサイコメトリを発動する事はできないのだ。

 

『でもどうでしょう? あんな物をわざわざ覚えてるでしょうか?』

(思い出があるのなら、覚えてると思うけど……)

 

 一体どういう反応をするのか……そんな事を野乃野足軽は……いやこの状況を見守ってる人たちは皆伺ってる。そんな中、平賀式部が動いた。しかも衝撃的な方向でだ。

 

 パァアアアン!!

 

 まるで甲子園で夏の空に響き渡るバットとボールのランデブーかのような音が響き渡った。

転生したらロボットの中でした(ただし、出ることはできません)運命という世界線を壊せ 746

 魂魄……それは簡単にいうと魂だ。そしてこの魂……なんかネナンちゃんに似てる。何が? と思うかもしれない。だって私は……というかG-01は別に生命の魂とかを見れるわけじゃない。だからこんな風に魂を直接見るのは初めてだ。ゆらゆらと空間に漂うような……そんな人魂的な物をイメージしてたけど……それよりももっとホタル的な感じだ。淡い光って感じ。

 まあけどそこまで大きな乖離はない。これが魂だと言われても、「ああなるほどね」って思える。ある意味でイメージ通りといえばそうなのかもしれない。

 

「これって……ネナンちゃんの溢れてる力の波長に似てるんだよね……」

 

 普通力には個性ってやつがある。世界によって、大元の力って奴は変わってないが、その生物……そしてその生命体によってその大元である力の表層に微妙な違いが生まれるのだ。その微妙な違いって奴は生命体の数だけある。

 そしてその微妙な違いにも特徴とか個性があって、やっぱり血の繋がりとか種族とかそんなので共通する部分はやっぱり出てくる。つまりはこの魂魄とネナンちゃんの力のデータ……それが似通ってるってことだ。それは種族単位とか……ではない。個人として……だ。

 そこそここの世界にいるわけだし、それに親子とか家族とか……地の繋がった人たちだって見てきてる。色々とこの世界を知るために色々と調べた中で、この世界の人達の力のデータ……なんてのももちろんある。

 なのでそれを細かく分類していけば、違いが分かるというものだ。それにネナンちゃんは私は要チェックしてるからね。普通のそこらの人達よりも調べてる。だからよりわかりやすいってのもある。

 そしてそのデータが似通ってるってことは……魂的にこれはとてもネナンちゃんと近いと言うことになる。

 

「つまりは……まじでネナンちゃんのお父さんとお母さん? ……の魂?」

 

 でもどうやって引っ張ってきたのか? てか魂ってあるんだ……とか私は思った。だって初めて見るし? こうやって直接はね。魂はデータとしては知ってるが……こうやって見るとなんとも言えない気持ちになる。

 

「私にもあるのかな?」

 

 あるような気はする。てか普通なら生命には魂というのはあるだろう。けど私は普通の生命? なのか微妙だ。なにせ造られたのは確実だし、この場所から私は出ることは出来ない。つまりはこの外以外では生きる機能がない……のかもしれない。もしかしたら……というようなそんな可能性はちょっと考えてる。

 私はなにも着てない、自分の胸に手を添える。どこに魂があるのか……なんてわかんない。もしかしたらあれが伸びて、体を覆ってたりするのかもしれない。それかやっぱり胸とか脳とか? にあるのかも。

 

「ネナンちゃんは正しかったんだね」

 

 私はとりあえず自分のことはおいておいて、その二つの魂をそっと私はG-01の手で包み込んだ。

ある日、超能力に目覚めた件 108P

「ちょ!? ちょっと待って!!」

「はい? なんでしょう?」

 

 慌てた山田奏がすれ違いざまの平賀式部に声をかけてようやく、明らかに彼女は反応した。そこらの女子なら山田奏に声を掛けられただけで、一週間は自慢話にするようなことであっても、平賀式部にとってはどうでもいい事なんだ。それだけで、ある程度の女子から既に「何あの生意気な女」とか思われてておかしくない。

 

「いや、その覚えてるかな俺の事」

「いえ、それじゃあ」

 

 早い。とても早い会話だった。てかそこはちょっと位は逡巡するものだろう。てかもうちょっと考えてあげても……と野乃野足軽も思わなくはなかった。なにせ今のはちょっと山田奏が哀れに思えたからだ。

  なにせ山田奏はイケメンである。これまでの人生で女性に邪険にされたことなんて無いんじゃないだろうか? そう思えるくらいに、いつだって彼は女性に囲まれてる。

 それを考えるといつだって女性関係で有利に立ってる山田奏に対して「ざまあみろ」と思わなくもない野乃野足軽である。

 

「ちょっとまってくれ!」

「もうちょっとは待ちましたよ」

 

 興味ないと言わんばかりに平賀式部はそう言って止まろうとはしない。けど、山田奏は諦めない。彼はすこし駆け出して、すぐに平賀式部の前に回った。そして何かを取り出す。それを野乃野足軽はかなり遠くから正確に確かめる事ができた。

 なぜなら彼には力があるからだ。視力を強化して、それこそ百m先にあるスマホの画面とかちゃんとみえる。勿論普段はそんなことはしない。そして実際野乃野足軽はそこそこ離れてて、まだ校門に近づいてはいなかった。校門まで続く道で止まってそこから人だかりを見てる感じだ。

 だから普通に見てたら絶対にあれはみえない。そもそもが平賀式部が壁になってその先に山田奏はいる。そうなると平賀式部の体で何を彼が出したのか……なんてのはわかりようもない。

 けどそれでも野乃野足軽にはみえる。目を強化するのは何も視力だけじゃない。透視だって野乃野足軽は訓練してる。同時に使うのは力の消費が上がるが、その御蔭で離れた位置からでも山田奏が何をだしたのかわかった。

 

 それは……

 

「俺の事は覚えてなくてもいい。けどこれはどうかな?」

「それって……」

 

 なにやら平賀式部が今までとは違う反応をした。

転生したらロボットの中でした(ただし、出ることはできません)運命という世界線を壊せ 745

 どうやら鬼は私に構うよりも、さっきの分解爆発で崩壊した穴を塞ぐ方に精を出してるようだ。つまりはそれだけこの穴がやばいと言うことか? でも確かに考えてみたら、そもそもがこの宵という空間は崩壊した世界を内包してる世界であって……私の昔の知識的に考えると、星を内包する宇宙の様なものである。

 ということはこれは宇宙に穴が空いた……と考えるべきなのかもしれない。宇宙に穴が空いたらその先は一体どこに繋がってるのか……これはブラックホールにもみえないからね。

 それにあれって、別のブラックホールに繋がってる……とかではなかっただろうか? 実際真実はわかってないような感じだったと思うけど……だってブラックホールに入って出てきた人なんていないだろうからね。

 

「けど助かった……」

 

 流石にこの数の鬼を相手にするのは今の私には厳しい。だってなんとか破壊されることは防いだが、G-01には大きなダメージが残ってる。それに私にも……今のG-01はそれこそ稼働率が40%低下して、その処理速度も半分くらいは低くなってる。それだけ、いまの爆発はやばかった。本当なら助からなかったかもしれない。

 うまく言ったのは本当に奇跡かも……とりあえず私は体の回復を優先させる。私という操縦者が万全でないと、G-01の力は十全に発揮できないからね。

 

「ネナンちゃんは……無事だね。よかった」

 

 今の爆発で格納してるネナンちゃんが無事だったのか確かめた。なにせここよりもどう考えても防備が薄い場所にネナンちゃんはいる。だから心配だった。でもネナンちゃんのバイタルは安定してる。私はホッとするよ。

 

「さて……襲ってこないのなら、あれを確かめようかな?」

 

 とりあえず宵に開いた穴は鬼たちに任せておけばいいだろう。私はあの穴の修復方法とかわかんないし。そもそもが鬼が勝手に開けた穴だ。私には関係ないし……それよりもさっきの棒を振り回してた鬼の残骸である。分解爆発でほぼ消え去ったが……淡い光がなんか残ってる。

 鬼はそれにはなんの興味もないのか、なにもしてない。あれは一体なんなのか? てかなんか、動いてない? 鬼を避けてる? 鬼なら勝手に修復とかしそうだが……どうやらそんな動きはない。あれがなんなのか、普段のG-01ならセンサー類で確かめる事ができたかもしれないが、今はそれらは全ていかれてる。

 

「てか、ここでこれだけのダメージ負ったのはまずいね」

 

 だって私はサーザインシャインインラの黄金の鬼を倒すために動いたはずだ。それなのに、こんなところでG-01には珍しく満身創痍になってしまった。鬼一体ならいけるか? とか勇者と力を合わせれば可能性はある。それにこの際アイも連れてって武器に使えばもうちょっと可能性はあがるだろう。

 けどまずは目の前のなにか……だね。私はとりあえずその光に近づくよ。逃げようとするかと思ったけど、そんなことはなかった。……寧ろ近づいてくる。なんで? まるで惹かれ合ってるかのような……そしてかなり近づいて目視できるほどになると、色々とモニターに情報が出てきた。

「これって……魂?」

 いうなればそれは魂魄……とかいわれるものだった。

転生したらロボットの中でした(ただし、出ることはできません)運命という世界線を壊せ 744

 鬼の棒が核よりもものすごい超新星爆発のような爆発を起こした。大きな爆発の中、物質を分解させて消滅させるようなそんな爆発が連鎖的におきて、巻き込まれた存在はそれこそ塵すらも残さずに世界から消滅する……そんなレベルの爆発である。実際盾で防げるようなものではなかった。でも私……G-01は無事である。なぜか? 

 それは散布したナノデバイスのおかげである。ナノデバイスはレーダーとか妨害したり、色々とこっちに有利な情報をもたらしてくれたり、屈折率を変えたりとか、有用性が高いが、流石に分解爆発とか起こすようなやばい爆発をふせぐような事はできない。

 じゃあなんで私はこんな爆発の中無事だったのかというと、まあその分解をナノデバイスで精密にリアルタイムで分析して対応したからに他ならない。お陰で……

 

「くらくらする……」

 

 私は鼻血を出して目からも赤い涙が出てた。限界を超えた頭の使い方をした。流石にリアルタイム……いや、それこそ1秒未満の計算を人がやっていくことなんて不可能に近い。私は厳密には人ではないが、それでもそういう計算的なものって機械の方が得意なものだろう。なら私は関係なく、G-01の方に任せてればいいと思うかもしれない。

 でもそうじゃないのだ。私の拡張された脳とそしてG-01の機械的な計算能力を掛け合わせることで、それこそ何段階か上の計算能力をプラスするっていうね。人の頭は柔軟性に飛んでる。それとは反対的に、機械的な計算能力は公式みたいなものである。もとからある計算式に当てはめて次々と計算をしていくのに向いてる。

 まあアイが居たときなら、まだG-01事態にも柔軟性はあった。けど、アイはもう分離してしまった。だから私の負担が増えてる。でもそれも脳を拡張することで色々と補ってたわけだけど、流石にこれだけの情報は私の頭の知識とかではどうにも出来ない。だから私の頭をG-01の方に使わせたのだ。

 ナノデバイス達によってもたらせれる情報を分析、そしてG-01の装甲のコーティングの変化。アホみたいな分解爆発へと対応させるのには拡張された私の脳が必要だった。けどあんまりいい気分ではない。片手間でやれるような……それこそ普段、運転しながらも頭の片隅で別のことを考える……的なそんな気分で出来ることではなかった。

 もう完全に自分自身が乗っ取られてるような……一つの部品になったかのようなそんな気分だったよ。あんまり使いたいと思わせる能力ではない。まあ能力というか、機能? 私はだいたいG-01に助けられてるから、逆にG-01を助けたと思えば……まあ悪くはないのかもしれない。

 そもそもがG-01が壊されたら、私だってどうなるかなんてわかんないんだけどね。だから究極的には私は私のためにこの頭を差し出したのだ。だから後悔なんてない。そもそもが今助かってるのに何を後悔する必要があるのか……

 

「鬼は……」

 

 流石にあの分解爆発は宵にも多少の影響はあったのか……なんかよくわかんないことになってる。宵が割れて、向こうがみえてるというか……でも見えないっていうか? 観測する手段が今の私にはないのかもしれない。それに……鬼だったあの腕の中心には弱い光がある。光なのか闇なのか……けれども確実に小さなエネルギーが観測できる。あまりにもデータが滅茶苦茶になってるからこれがどこまで信頼できるのかも分かんないけどね。

 そんな事を思ってると、なんかどこからともなく鬼がぬおおおと湧いてきた。空間から出てきた……みたいな? 

 流石に色々とG-01にもガタが出てるのに……沢山の鬼を相手になんて出来ないよ。これは逃げるしか……とかおもったが……

 

「私に興味ない?」

 

 なんか鬼は一心不乱に分解爆発でおきた穴を閉じる作業に精を出し始めた。

転生したらロボットの中でした(ただし、出ることはできません)運命という世界線を壊せ 744

 鬼の棒が核よりもものすごい超新星爆発のような爆発を起こした。大きな爆発の中、物質を分解させて消滅させるようなそんな爆発が連鎖的におきて、巻き込まれた存在はそれこそ塵すらも残さずに世界から消滅する……そんなレベルの爆発である。実際盾で防げるようなものではなかった。でも私……G-01は無事である。なぜか? 

 それは散布したナノデバイスのおかげである。ナノデバイスはレーダーとか妨害したり、色々とこっちに有利な情報をもたらしてくれたり、屈折率を変えたりとか、有用性が高いが、流石に分解爆発とか起こすようなやばい爆発をふせぐような事はできない。

 じゃあなんで私はこんな爆発の中無事だったのかというと、まあその分解をナノデバイスで精密にリアルタイムで分析して対応したからに他ならない。お陰で……

 

「くらくらする……」

 

 私は鼻血を出して目からも赤い涙が出てた。限界を超えた頭の使い方をした。流石にリアルタイム……いや、それこそ1秒未満の計算を人がやっていくことなんて不可能に近い。私は厳密には人ではないが、それでもそういう計算的なものって機械の方が得意なものだろう。なら私は関係なく、G-01の方に任せてればいいと思うかもしれない。

 でもそうじゃないのだ。私の拡張された脳とそしてG-01の機械的な計算能力を掛け合わせることで、それこそ何段階か上の計算能力をプラスするっていうね。人の頭は柔軟性に飛んでる。それとは反対的に、機械的な計算能力は公式みたいなものである。もとからある計算式に当てはめて次々と計算をしていくのに向いてる。

 まあアイが居たときなら、まだG-01事態にも柔軟性はあった。けど、アイはもう分離してしまった。だから私の負担が増えてる。でもそれも脳を拡張することで色々と補ってたわけだけど、流石にこれだけの情報は私の頭の知識とかではどうにも出来ない。だから私の頭をG-01の方に使わせたのだ。

 ナノデバイス達によってもたらせれる情報を分析、そしてG-01の装甲のコーティングの変化。アホみたいな分解爆発へと対応させるのには拡張された私の脳が必要だった。けどあんまりいい気分ではない。片手間でやれるような……それこそ普段、運転しながらも頭の片隅で別のことを考える……的なそんな気分で出来ることではなかった。

 もう完全に自分自身が乗っ取られてるような……一つの部品になったかのようなそんな気分だったよ。あんまり使いたいと思わせる能力ではない。まあ能力というか、機能? 私はだいたいG-01に助けられてるから、逆にG-01を助けたと思えば……まあ悪くはないのかもしれない。

 そもそもがG-01が壊されたら、私だってどうなるかなんてわかんないんだけどね。だから究極的には私は私のためにこの頭を差し出したのだ。だから後悔なんてない。そもそもが今助かってるのに何を後悔する必要があるのか……

 

「鬼は……」

 

 流石にあの分解爆発は宵にも多少の影響はあったのか……なんかよくわかんないことになってる。宵が割れて、向こうがみえてるというか……でも見えないっていうか? 観測する手段が今の私にはないのかもしれない。それに……鬼だったあの腕の中心には弱い光がある。光なのか闇なのか……けれども確実に小さなエネルギーが観測できる。あまりにもデータが滅茶苦茶になってるからこれがどこまで信頼できるのかも分かんないけどね。

 そんな事を思ってると、なんかどこからともなく鬼がぬおおおと湧いてきた。空間から出てきた……みたいな? 

 流石に色々とG-01にもガタが出てるのに……沢山の鬼を相手になんて出来ないよ。これは逃げるしか……とかおもったが……

 

「私に興味ない?」

 

 なんか鬼は一心不乱に分解爆発でおきた穴を閉じる作業に精を出し始めた。

ある日、超能力に目覚めた件 107P

「お待たせ」

 

 そんな風にイケメンが爽やかな笑顔をみせている。それに白く輝く歯は他人よりも真っ白で、そして歯並びだって一切の乱れはない。どうやらやっぱりそこそこ上流階級ともなると、歯並びにだってお金を使うらしい。

 別に野乃野足軽が歯並びガタガタってわけじゃない。訳じゃないが、明らかになんか歯の綺麗さが山田奏は違った。山田奏は今日は絶対に平賀式部に会うために、校門前でスタンバってた。

 一体いつから……なのは不明だが、かなり早くから来てたのは確かだろう。昨日あんなことがあったのに……とか野乃野足軽は思う。そしてその大きな体からただならぬ雰囲気をにじませてる桶狭間忠国。

 そしてその様子を他にも沢山の生徒が見てる。てか先に登校してた沢山の生徒が、学校に入らずに校門にたむろしてる。勿論用事があったり、朝練があったりしてる人たちはその中には入ってないだろう。

 でもそうじゃない人たちは校門にとどまってた。だからなんかイベントでもあるのか?ってくらいに校門には人が居た。

 

(みんな暇なんだな……)

 

 とか野乃野足軽は思ってるが、そんな暇人の一人に野乃野足軽も入ってる。今日は流石に野乃野足軽は色々と力を使って桶狭間忠国を避けて学校にきた。昨日の今日で、野乃野足軽は自分があの大男である桶狭間忠国と一緒にいるところを山田奏に見られるのはまずいのでは? と思ったからだ。

 でもまさかこんな早く行動に移すとは……と思ってる。スマホもなくなったし、もうちょっと後にするかと野乃野足軽は思ってた。それがなんで影響あるのか……と思うかもしれないが、現代っ子にはスマホは必須なのだ。なによりも優先すべきはスマホってくらいには必須ツールとなってる。だから野乃野足軽は「まだ大丈夫」とか思ってた。でもどうやら野乃野足軽は山田奏をわかってなかった。

 いや、陽キャこそスマホで沢山の人と繋がってるわけで、それを先に優先にするのは当然……という先入観がこれである。

 

(焦ったのかもしれませんよ? 命の危険を感じると、生命は種を残しておきたくなるでしょう)

(その言い方はなんかやだな……)

 

 アースのその分析は生物としては合ってるが……果たしてそうなのか疑問に思う野乃野足軽だ。でもそうだとしたら山田奏は平賀式部とそういう事をしたいと思って近づいてるってことに……それは流石に最低では? って思う。

 沢山の衆人環視の中、なにが「お待たせ」なのかよくわからない平賀式部は何を言うのか……そんな事に注目が集まってる。けど……

 スタスタスタ――

 と彼女は山田奏の横を何も言わずに通り過ぎた。一応なんかちらっと見てたような感じはするけど……一切の無視だった。平賀式部はどうやら鉄の心を持ってるらしい。