2025-08-01から1ヶ月間の記事一覧
『男をみせんかい!! このバカモンが!!』 どこからとも無く野々野国人に聞こえたその言葉。周囲を見回しても、当然だけど親父はいない。いるわけがない。だってここはそもそもが婚約者のマンションだし、流石にそこまで親父はしらない。 じゃあ今の声と衝…
「ミーお姉ちゃん!」 リファーちゃんはそういってその手の先に大きな岩の塊が現れてる。そしてそれに対してミレナパウスさんが魔法をかける。岩の塊は光に包まれて、なんと……うん、なんとそれはG-01の姿になった。まあ上半身だけだけど、岩の姿のG-01が両手…
「本当に……信じていいの?」 スマホを見せて、誠意を見せた野々野国人。その中にはそのまま彼女とのやり取りが残ってた。消す……なんてことはしなかった。むしろ見せることで、なんのやましさもないって証明することが出来ると思ったからだ。 消したら、黒を…
どうやらこの場所……この大地にいる生命には亀の影響が多大にある……みたいだ。けどそれも当たり前と言えばその通りではある。だってこの大地は亀の背にある大地だ。だから影響を受ける……というのは別におかしなことじゃない。 やっぱりその地域の特性ってもの…
「おおーここが!」 「なんだか不思議な場所ですね」 私はコクピット内で二人の言葉にうなづいてた。だって……ね。そこは普通の大地ではなかった。いや、遠目で見る限りではそこまで変ではなかった。ふつうに木々が生い茂って、川があって泉があって大きな海…
落ちていく因子を入れられたトビウオ。それを二人は見つめてる。私も世界越しにみてる。リファーちゃんはその素の視力で……ミレナパウスさんは眼球に魔法陣が浮かんでる。そして二人が見守る中……トビウオはただ落ちていく。私の観測とリファーちゃんの挑戦、…
(不味い……) そんな風に野々野国人は思った。その間にも婚約者は国人の身体にその鼻先を押し付けてくる。スンスンとされてるのがわかる。実際女性にそんなことをされたらドキドキしそうなものである。 普通ならそうだろう。野々野国人だってなんもやらしい…
「国人君!」 野々野国人は婚約者と久しぶりにあった。本当なら結婚式に向けて密に連絡しあって、必要な時に会っておなじ目標である『結婚式』――に向けて歩いてないとおかしい。でも二人とは久々にあった。それこそ二週間ぶり……くらいである。だからこそ、会…
電車のスピードが落ちていく。次の駅名がドアの上の液晶に表示されてる。駅構内の明るさと喧騒……それが伝わってくる。止まるとき、慣性によって進行方向へと傾いたとき、もう……彼女はこっちに寄りかかることはしなかった。そして扉が開くと同時に立ち上がっ…
「みーお姉ちゃん、お魚さんが怖いの?」 「怖くはないです。ちょっと不気味だなって思うだけで。こんなの初めてみますし」 なるほど確かに考えてみだらミレナパウスさんは魚を見るのは初めてかもしれない。だってミレナパウスさんの世界は砂の世界だった。…
ガタンゴトン、ガタンゴトン―― 静かに電車が動き出す。次の駅を表示する電光掲示板。そして広告が流れ出す。そんなのを一生懸命見つめてる野々野国人。そうしないと見るところがなかったのだ。だって左隣には彼女がいる。圧迫感を感じる。比較的電車内は空い…
「はぁ……まあいいわ。とりあえずその魚にジーゼ様が渡してくれた因子を……」 「みーお姉ちゃん?」 ミレナパウスさんはリファーちゃんのおかしな時空間の魔法になにか言おうと思ったみたいだけど、口に出す前にそれを飲み込んだみたいだ。口には出さずに私が…
「だ、大丈夫そうですね。お大事に」 これ以上関わってはだめだ――という警報が野々野国人の頭には鳴り響いてる。ようやく距離を取ったのだ。なのにまた関わる? そんなことをするべきじゃないって野々野国人だってわかってる。 だからすぐに回れ右をした。で…
「それでは受け取ったデータを……リファーちゃん、何かこの世界の物とってきてもらえる?」 「はい」 「きゃああああああ!?」 そんなやりとりの次の瞬間だった。リファーちゃんの手に再びトビウオが現れた。ええ? 今、リファーちゃんは一回も消えることが…
『この大きな亀の因子……それが必要なのかもしれないですね』 「因子?」 リファーちゃんは私の言葉にナンノコッチャ? という感じだ。ミレナパウスさんはなんとなくわかってるようだ。 「つまりはこの大きな亀? に関連した何かを内包してるかどうか? とい…
リファーちゃんが落としたトビウオは下に落ちていく途中でカメの甲羅の結界にはじかれた。そして…… 「うわぁぁぁぁ」 私はコクピット内でそんな声を漏らす。だってあのトビウオは何も悪くなかった。むしろ仲良くなってくれてた。それなのに、無情にも実験台…
(あっ、やばい……) ぶつかった視線。すぐに野々野国人は視線を外したけどその人物は動き出した。近づいてくる。それがみえる。 (来るな、来るな、来るな) そんな風に野々野国人は心の中でつぶやく。でも確実に彼女は近づいてきてる。とりあえず不自然だけ…
雨が強い。地面をたたく雨はその跳ね返りが数センチは飛ぶような……そんな勢いの雨だった。道の端の排水溝が苦しそうな音を出して、「もう限界」――といってるようだ。そんな中、野々野国人は走ってた。透明な傘を前に出して雨を防ぎながら国人は前に進む。足…
カタカタカタカタ……パソコンに向いてる目が滑る。それは仕事中でもちらちらと意識をしてしまうものがあるからだ。机に出してるスマホ。いつもの定位置。仕事中にはここに置く――と決め打ちしてる場所。そこでなら充電もできて席から離れる時でもさっとスマホ…
リファーちゃんとミレナパウスさんは断崖から下の世界を見据える。不思議なことにその大地にはうっすらと雲が浮かび、この外の世界とは別の……そうちゃんとした世界をそこに作ってるようだった。まあけどこれだけでっかいカメである。そしてサンクチュアリも…
野々野国人が誠実な人だと、彼女はわかってる。大学時代からの付き合いなのだ。周りが男女ともとっかえひっかえしてたときだって、二人はずっと付き合ってた。 「よく飽きないねー」 ――とか周りからいわれたものだ。でも今ならそれも正しかったのかもしれな…
リファーちゃんの活躍により亀がぐったりとしてる。どうやら今の空間振動パンチ(私命名)によって亀は頭ピヨピヨ状態になったようだ。あの巨体を一発で気絶させるとか、どんだけの威力だったのか……恐ろしい技を手に入れたね。 「やったー! やったよ!」 「…
「ここ、いいかい?」 失恋パーテー、そんな名目で彼女たちは集まってお酒を飲んでた。大学時代からの友人たち。結婚式にも招待する予定だった彼女ら。でも……その予定はなくなってしまった。 「あはは、ごめんね」 そんな風にいって誤魔化そうとしてた。けど…
「せいやああああああああああああああああああああああああああ!!」 そんな掛け声と共に、リファーちゃんがその拳を打ち上げる。何度も言ってるが、この亀とリファーちゃんのサイズの違いは明確だ。亀はとても大きい。その背に世界を背負う程に大きい。一…
「もう元には戻らない」 その彼女の言葉……それはどうやら正しかったみたいだ。なんでそんなことを思ったのか……それは当然、事実として今、それが野々野国人につきつけられてるからだ。あれかは数日がたった。 それで野々野国人の生活はガラッと変わった。言…
トビウオも……そしてほかの魚も海面へと浮いてきた。どうやらカメの落ちた影響……そして吠えた影響はトビウオたちやミレナパウスさんとかリファーちゃんだけに影響を及ぼしたわけじゃないみたい。まあ当然だよね。なにせカメは巨体なのだ。何かをするたびにそ…
大きな吠えるような声と共に、カメが大きく傾いた。てかそもそもがあのカメはどうやって浮いてるのか……そこらへんから疑問ではあるが、大きく傾いたカメはトビウオと一緒に斜めに空を落ちていく。実際トビウオもかなり大きくなったといっても、カメに比べる…
「楽しかった……」 そう不意に口をついて出たその言葉。けどだからこそ……不意を突いて出た言葉だからこそそれは本心……本音というのかもしれない。 「うん、楽しかったよね。これからはもっとたくさん会えるわね」 「そう……じゃない! もう会わないって言って…
「君は別に僕に恋してるわけじゃない。そうだろう? そんな奴と結婚しようとしてるのか?」 代わりに婚約する……ということはそういうことになる。野々野国人はまったくもってそんな気はないが。恋してもない……愛してもない相手と結婚する気が彼女にあるのか…
トビウオが下から突き上げるようにして亀へと突っ込んだ。あの亀の背にはリファーちゃんの時空間移動でさえ侵入することができなかった。あのスケール感がおかしい亀のどこか……その存在に溶けるようにきっとサンクチュアリはある。それはあの亀事態かもしれ…