不思議だった。自身の体に降り注ぐ光が、力となりて糧になっていくのがわかる。悔しいが、やはり今の我ではこの目の前の巨大な奴に勝てるとは思えない。心沸き立つ勇者とのバトルに水を差した許されざる存在だが、我らよりも高位に居ると慣れば、どうしようもない。
だが我は諦めた訳ではない。こいつらと仲良くする気など毛頭無いのだ。ただ使ってやってるだけ。この目の前の存在の力を解明して我が物とすれば、更に高みに行くことが出来る。我は魔王……世界を統べる者として生まれた存在。
その力は元から頂点であり限界だった。最強であるがために最強でしかなかった。だがそれはどうやら一つの世界の中でだけだったらしい。世界には……いや、違うか。世界を超えれば、最強はいくつもある。この世界に来て、初めて力の喪失という物を感じた。
魔王である我の力は常にあふれ出ていた。だからこそ、定期的に発散させなければいけいない。そのせいで勇者達の国というか、世界の半分を震撼させていたが、それは仕方ないことだろう。なにせ自分の庭をボロボロにしたい奴にはいないだろう。
我はこんなだが、いつだって暴れてた訳ではない。なにせ我は魔王。それは魔を統べる物のことだ。魔にも営みはある。確かに勇者達よりも統治されてるとは言えないがな。世界の半分を分けて我らは戦う居続ける宿命だった。
それを終わらせるのが、我と勇者の長年の願い。だが、どちらが勝っても、どちらが負けても、いつまでも魔王と勇者の戦いは続いていた。だからこそ、我は全てを灰に一度帰そうと思ってた。世界の断りがどちらかが全てを手に入れる事を拒むように出来ていた。
魔は魔の大地に根付き、勇者達は光の大地に根付いてた。ほしいが手に入らない。長年の戦いでそれはわかってても、力があふれる我はどのみち勇者達に攻め入るしかない。そして奴らもそんな脅威を放っておくことはない。やはり終わらない……ならばやは利壊すしかないだろう。
「待てジゼロワン。お前は今、一つの力を注いでないか?」
我はそんなことを問う。いや、だが、それは大切だ。なにせ、我と勇者の力は違う。我は魔で勇者は光を司ってる。本質が違うはずだ。
「それがなにか?」
なのに、このジゼロワンはそれをわかってない……もしくは何でも無いかのようにいう。こいつ馬鹿か? と思うが、我らよりも強く、世界の力を変換まで出来る奴が馬鹿なわけはないだろう。時折、とても賢くなったようになることもある。
まあ今は馬鹿っぽいがそれも親しみを持たせるためかもしれない。
「我らの力は違うだろう?」
我は勇者をみる。あいつは馬鹿な顔して何言ってんだこいつ? 的な表情をしてる。元は田舎者だという情報があったな。
「うーん、けど大本が一緒なら馴染むってA――んん!? 馴染むのです。同じ世界なのだから力も同じですよ」
「何……」
それは衝撃だった。なら……我らの今までの戦いは……とりあえず隣の馬鹿に力をぶつけておいた。