「ちょっと、背中のこれ役に立ってないわよ!」
『そんなことはありません。実感がないだけで、確かに効果は出ています』
「そう……なの?」
私的にはポニ子のおかげでなんとかなったと思ったんだけど……実は背中のこれも一役買ってた? わからない。そもそもこの背中のブースターを改良したのが何をやってるのか、私はわかってないからね。周囲の葉っぱや木を一気に枯らしたりしたし、確かに何かはやってるんだよね。
でもそんな視覚的な効果はさっきの攻撃にはなかったよ?
『背中のユニットはアナタの力を併せてると言う動作を省力して干渉してるのです」
「はい?」
もっとわかりやすく頼む。
『アナタは力を他の存在に併せる事で介入してます。それを強制的に可能にしてるユニットがこれです。それによって周囲の力の伝わりを阻害、崩壊に招いています』
「あの力が崩壊してないのは?」
『膨大すぎる力なので、幾らこっちが阻害しても一部にしかそれが伝染しないんでしょう』
「つまり役に立って無くない?」
『それは早計な判断だと言わざる得ません』
なんかAI怒ってない? でも私の指摘は間違ってないよね?
『崩壊は確かに起きてた筈です。だからこそ、アナタはアレを投げられたはずです』
あくまでもAIはこの背中のユニットのおかげと言うことにしたいらしい。
「ポニ子も手伝ってくれたと思うけど……」
「ぽに!」
ポニ子も胸を張ってる。やっぱりポニ子も何かをやってくれたんだと思う。G-01の腕力だけでも、そして背中のユニットだけでも足りなかった部分をポニ子は埋めてくれたんじゃないかな? それでようやくあの攻撃をなんとかすることが出来た。三人の共同作業だ。
「よし、今の内にあの鯨に反撃開……し?」
投げ飛ばした筈の鯨の攻撃が、なんか数倍のでかさになってますが? 鯨が作った玉がある箇所の緑がなにやら、光を発して力を与えてる様にみえる。まさかアレがあるからポニ子は周囲の緑を排除したほうがいいって言ったの? グッジョブ過ぎる。どうやらあの攻撃は緑から力を与えられるみたい。
てか、こっちが完璧にこの世界の敵と認識されてるせいかも……そうなると、魔王と勇者の復活が無事に出来るのか……私が染めたポニ達がきっと世界にでも干渉してるんだろう。それが上手くいくことを願うしかない。それを邪魔されないように、私は鯨を引き付けないといけない訳だけど……
「あれ、無理じゃない?」
さっきのでギリギリだった。更に強力になったあれを跳ね返せる保証なんてない。私はアレが再び動き出す前に走り出した。