uenoutaの日記

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転生したらロボットの中だった(ただし、でることはできません)輪廻の輪の外へ 79

 勇者と魔王が覚醒したが、二人は自分の姿にショックを受けてるようだ。まあ前の姿と比べるとあまりにものっぺらというか、なんというかだからね。てか二人はどうやって見てるのだろうか? こっちから見てると、マジでなんか堅そうな体のマネキンって感じで、眼球とかみえないけど。
 
「私……なにか失敗した?」
 
 ちゃんとイメージを送ったはずなんだけどね。別にちょっと不細工にしてやろうとか思わなかった。私としては珍しく純粋な二人の記憶を伝えた筈だ。それであれって……実は私は二人の事をちゃんと見てなかったのだろうか? いやいや、私それほどアホじゃないはずだ。寧ろ天才だと思ってる。なら一体何が原因でこんな哀れな事に? 自分ではわからないからとりあえずAIに聞く。
 
『失敗ではないでしょう。ベースとなる体は完成しています。色も彼等の力の特色が出てるのでしょう』
「じゃあ……別に失敗ではない?」
 
 そもそもがこっちはボロボロなのに、やけに魔王と勇者は肌つやがいい。テッカテカである。いや復活した直後からボロボロなんかやだけどね。だからいいんだけど……うらやましくもある。てか別に体なんてどうでも良くない? 今はマネキンみたいだと言っても人型だよ? さっきまでアビスの目玉だったんだから、めっちゃ恵まれてるじゃん。
 いや、その状態の事、二人はしらないだろうけど! 
 
「一体何でこんな……」
「だが……不思議と力が沸いてくるぞ……」
 
 二人は混乱してる。まあ記憶とかどうなってるのかわからないし当然と言えば当然だろう。けど私の事はなかなか丁重に扱ってくれてる。でも色々と周囲の事もあるし……二人にはしっかりして貰わないと……自分がこんな状態だしなおさらだ。
 
『今はこの世界が不安定なのも原因かもしれません。崩壊が進んでいます。救えるとしたら、この世界のサンクチュアリを保持してる二人でしょう』
「確かに……世界が大変だと、ゆっくりする事も出来ないしね……」
 
 私はそういって、二人に伝える事にするよ。
 
「今はそんな事よりも……世界のことを助けて……二人なら出来る筈。その力はこの世界に認められた……証だから」
「認められた……」
「証……」
 
 二人が私の言葉を復唱する。口がないのに声だけ聞こえて来て、考えると不気味だ。二人とも単純だし、其れっぽいことを言えばどうにか……とか考えたけど、流石にそこまでアホじゃないか?
 
「確かにこの世界は泣いている」
「ふん、助けるなんてことはしない。何故なら我は魔王。救わず、支配する! その為にもあり続けて貰わないと困るだけだ!」
 
 だから魔王はツンデレか? それに勇者は流石にイケメン補正がなくなってるから、歯が浮くような台詞が痛いぞ。でもどうやらヤル気にはなったみたい。どっちも単純でよかった。