夜が終わりを告げる。空からある一つの物体が落ちてきて。それによって世界に光がもたらされるんだ。不思議な夜明け。けどこれを見るのをこれで数日目である。空から落ちててくる光によって、この世界のあらゆる物は目を覚ます。
花は開き、茎を少しでも伸ばして一番光を浴びようとどれもしてる。流水は朝日を浴びてキラキラと輝き、空も青さを取り戻す。そして所々でポニが見られる様になった。私達がこの世界に来て駆け回ってた時は、木の集合体くらいでしかみえなかったポニがそこらに時々現れる。どうやらポニは穏やかな時に現れる的な? 今はもうギラギラしてないからね。
この世界は今や魔王と勇者の物だ。けど二人ともそこら辺は興味ないみたい。いや、勇者はわかるけど、魔王は……ね。世界征服したんだよ? 念願の。それなのに興味ないってどういう事さ。それを聞いて見たら……
「こんな従わせる者も居ない世界など……」
って事らしい。全くわがままな奴だ。てかポニは居るじゃん。でもポニは従わせるとかじゃないからね。なんか神出鬼没だし、この世界にいるけど、根付いて生活してる訳じゃない。だから魔王的には支配する奴には当たらないみたいだ。
「ふう……」
顔を向けて、G-01の視界を川の方へと向ける。そして必死に拡大する。すると朝の水浴びをしてる勇者が見える。
「やっぱり良い体してるね」
『覗き、盗撮ですよ』
「そんな法律はない」
なんとなくなんだけど、ああいう逞しい体を見ると、ドキドキしちゃう。やっぱり私が女の子だからだろうか? 勇者の奴は綺麗な体してるよ。ニマニマしながら勇者の水浴びを眺めてると、AIの奴が余計な事をしてくる。
『しょうが無いですね。肉体が好きならどうぜ思う存分に』
そういってAIがG-01のカメラに干渉しやがった。人間だった頃の肉体に見えてたのに、今やマネキンが水浴びしてる。ダメじゃん、アレじゃあ、ぐひひってできない。
「ちょっと余計な事をしないでよ」
『よこしまな気持ちを持つからです』
「ポーニ」
ポニ子までなんかいってくる。ポニ子は味方だと思ってたのに。魔王も勇者もあれから経緯を説明して、そしてその力の制御に今日まで費やしてきた。本当は直ぐにでも世界を渡りたいんだけどね。ても私のダメージが酷かったから、私の回復待ちでこの世界の調整とか生まれ変わった体を確かめるとかやってるのだ。
そしてその過程で、二人はかつての体を取り戻した。私に掛かれば、もとの姿を樺することは出来るが、実際は無理だろう。なにせ体を作り替えてサイズも変えてるからね。今の本来の勇者と魔王は人サイズよりもかなりでかい。最初は自分の変化に戸惑った二人だったが、今は本来の姿も取り戻して、二人とも前向きに前を見てる。そして――
『修繕率100パーセントです』
――私も完全復活して、もうここには用はない。二人を輪廻の外へと出してしまったみたいなんだけど、それで力が手に入った。だから二人ともそのことを受け入れてくれた。それに何よりも、私達は強い絆で結ばれたのだ。