uenoutaの日記

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転生したらロボットの中だった(ただし出ることは出来ません)運命という世界線を壊せ 48

 どうやらジャル爺さんはかなりの強者らしい。流石に前の状態でも、勇者であった俺達に追いつくかと言われたらそんなこと無いと思うが、けどその技術はたいした物だ。でも、たった一人では砂獣の物量はどうすることも出来ない。それこそ今の俺や魔王ほどに力の差があれば別だけど……幾ら強化されて年もなんか若返ってると行っても、圧倒的って訳じゃない。今のジャル爺さんでも、一度に相手に出来る砂獣は三体くらいだ。
 
 そして実際の砂獣の数はその何番も多い。一人じゃどうしようもない。それでも彼はその技術によって工夫してる。上手く足を傷つけて目の前の砂獣達の動きを鈍くしてる。けど……それが限界だ。鈍くした砂獣の後ろから次々と湧いてくる別の砂獣に対処が徐々に追いついていって無い。端的に言うと――追いつめられてる。そして決定的な瞬間が来るのも時間の問題だった。
 
「ぬっ!? しまった!!」
 
 そんな声の原意は剣だ。剣が折れた。焦ったんだろう。変な角度から振られた剣が、砂獣の硬質な外殻にはじかれてその衝撃でポキッと行った。これは不味い。幾らこの世界の人達が頑丈だと言っても、素手であの硬質な外殻を砕けるわけじゃない。それに砂獣の牙を受けたら簡単に肉は引き裂かれ、骨事食べられる。でもその時だ。ジャル爺さんに迫る砂獣達に向けられる攻撃があった。
 
「させねえよ!! 爺さん、待たせたな!!」
 
 そんな事を言うのは賞金稼ぎの奴だな。荒っぽいもん。軍の奴らは賞金稼ぎとは違ってまだ清潔感がある。まあそれに着てる物も違うから一目で分かる。軍の奴らは揃いの青い服を着てる。案外ぴっちりした奴だ。それに要所要所に防御力を高めそう防具を着けてる。まあけどそんなに防御力が高そうではないが……賞金稼ぎの面々は服装はバラバラだが、大概、裾が広いズボンと、上半身は布を巻いただけ……みたいな奴だ。そして各々の武器を持ってる感じ。
 
(他の奴らはそんなに見た目変わってない……いや、髪の毛めっちゃカラフル!?)
 
 ジャル爺さんの変化が劇的だったから、他の奴らはそんなでもないなーとか思ってたら、皆さんなんかカラフルな髪色になってた。いやいや、どういう事だ? やった自分でも分からない。そもそもがジャル爺さんが若返ること自体が想定外だしな。何か変な反応でも起こってしまったか? 
 
「お主等……」
「あんただけに戦わせはしねえよ」
「ああ、これは我ら全員……いや、この世界の為の戦いだ!!」
 
 精悍な顔つきの軍の人がそう言って彼は槍をかまえた。どうやら軍の標準装備は槍みたいなんだよね。だから軍の奴らは大体槍を持ってる。確かに槍ならリーチ稼げるからな。そこら辺は大きいと思う。
 
「おい、これを使ってくれよ」
「これは……」
 
 なんか賞金稼ぎの細身で調子良い奴がそんなことを言ってジャル爺さんに剣を渡してきた。それはさっきまでの作りが雑な奴と違って柄の部分に凝った装飾がされて刀身もなんか特殊な曲剣だった。
 
「おい! それは自分のだぞ!!」
 
 そう言うのはどら息子だ。あいつはそもそも力を与える対象にしてなかったらから女の子達と共に離れた所で待機して貰ってたはずだが……あいつくすねてきたのか? 
 
「ここを生きて戻りたいなら、グズグズしたこと言いっこなしっしょ! 死にたいんすか?」
「うぐっ……」
 
 そう言われてはどら息子戦えないからね。なんか感触を確かめてるジャル爺さんに向かって言い放つ。
 
「おい! 絶対に壊すなよ! 絶対にだからな!」
 
 なんかそう言われると……とりあえずジャル爺さんは「借り受ける」とだけいって砂獣に向き直った。これで二桁の数字になったジャル爺さんと仲間達。これでどれだけ今の砂獣に対抗できるか……俺も俺とて砂獣の相手をしながら観察する。