uenoutaの日記

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転生したらロボットの中だった(ただし出ることは出来ません)運命という世界線を壊せ 52

「ジャル爺さん!!」
「ふん!!」
「え?」
 
 俺は最悪の事態を想定して動こうとしてたが、ジャル爺さんは自身の力でなんとかしてた。具体的には、人型砂獣の顎を切り裂いて脱出したようだった。凄いな、一応顎の筋肉? みたいな所を狙ったみたいな? でもそれでも簡単に切れるような強度じゃないはずだ。なにせあの人型砂獣は都市核を内包している。いや、そもそもが砂獣の強度が何に由来してるのとか分かってないが、単純に作られるときの力の強さって意見が有力だ。
 
 まあその強さってなんだよって事だし、どこから与えられるのか、どうしたら増減が決まるのかとか謎ばかりだ。けど、ただ一つ、あいつは都市核というとてつもないエネルギー体を内包してるってことは事実だ。だからだろう、切られた顎は即再生されてる。
 
「引くんだジャル爺さん! そいつは危険だ!!」
「いえ! こやつは我らが受け持った敵! 勇者様と魔王様は負傷した者をお願いします!!」
 
 そういってジャル爺さんは僅かにさっき食われてた奴に視線を向ける。どうやらまだ息はあるらしい。全身かみ砕かれて、飲み込まれてたと思ったが、どうやら次の獲物のジャル爺さんを喰うために一端離したらしい。けど普通……というか俺が知ってる人間はあれだけの傷を受ければ死んでるものだ。本当にこの世界の人間は頑丈らしい。まあけどこのままではどの道彼は……この世界は戦いの世界だ。なのでそれなりに医療的な事はある。だけど、この世界の医療はそれこそ、この世界の人達の治癒力に頼るところが大きい。
 
 病気になったら栄養のあるものを食べてそして寝る――それで大体回復するらしい。それに腕が切られたら、切られた腕を強引にくっつけてしばらく大人しくしておくと、数ヶ月位したらくっついてるらしい。勿論ちゃんと動く。実際凄い快復力らしい。だからこそ、そういう後方支援的な事よりも攻撃的な方が発展してる。そもそもが魔法って奴がこの世界では限定的だしな。万能那智からなんて物はない。
 
 でもここには俺と魔王がいる。俺も魔王も回復は専門ではない。そういうのは俺は仲間に任せてたし、魔王はそもそもその体に超回復って奴を持ってる。腕がちぎれたって直ぐに再生できる奴だ。まあ俺がやるのが妥当だろう。
 
「危なくなったら頼むぞ」
「ふん、今すぐにでもそうしたいわ」
 
 魔王の奴は言ったことは守る。だから一度譲ると行ったからか、ジャル爺さん達の戦いに手を出してはいない。今の所は。とりあえず魔王がみてるのなら、こっちは回復に専念しよう。自分だって専門じゃないことをやるんだ。自分のせいで殺してしまう……なんてことは後味悪い。
 
「これは……」
 
 酷い――と思った。はっきり言って生きてるのが奇跡。それだけ凄惨な状態だ。体は色々な所が避けてるし、内臓だって出てる。血が出まくって彼の周囲だけ砂が黒い。一刻も早く回復させないと! 俺は手をかざして光のドームで彼を囲んだ。