カッ! と集中して目を開けると、何か風景が見えてきた。そして同時に喧噪と、目の前の少女の声も聞こえる。
「ポニちゃん早く!」
最初はポニ子が先導して走ろうとしてたのに、いつの間にかネナンちゃんがポニ子の前を走ってる。どんだけ遅いのよ……とか思ったが、ふと気付く。
(これってポニ子の視点じゃん。やっぱ私は天才か?)
予定では上から見たこのアズバインバカラの地図に力を感じたポニ子の位置を投影する予定だった。私のが浮かんでる水槽というか浴槽というか、そんな所の周りには外を見るモニターがあるし、更にはG-01は高性能だから、立体映像だって近くに表示できたのだ。私の眼前には出番を待っていたAI作成のアズバインバカラの3Dモデルが有ったわけだけど……
(ごめん、出張んなく成っちゃったや)
私はポニ子の視点を見つつそう謝る。これって私がポニ子の視界を乗っ取ってる訳じゃないよね? そうだとポニ子は見えないことになるし、きっと私はポニ子の視界に介入してるんだと思う。ポニ子は私の力で染まったポニだ。だから私の分身というか、従属というか、なんかそんな存在になってる。だから多分、こんな事が出来てしまったんだと思う。同時に、このポニ子を引いてるネナンちゃんの力も探ってた。特別な目をこの世界の神に与えられたらしいネナンちゃん。彼女の力はどう考えても特別だ。だからこそ、捕らえる事は難しくないはず……で実際そうだった。でも気付いたらこうなってた。
いやはや、本当によくわからない事が行き成り起こって困ってます。いや、良いけどね。
(これって、AIとはこのまま会話できるんだろうか?)
『出来ますよ。私にはマスターの視界がそっちに飛んだのがわかります』
(マジか……やっぱり私のプライバシーを守るなにかが必要だね)
『それはご自身で勝手にやってください』
酷い。AIの奴、協力的な事とそうでないことがはっきりしてるんだよね。基本なんか私に学ばせるスタイルだし……でもG-01は高性能で訳わからん技術の塊。内部システムもそもそも読めないから翻訳から始まる。まあ資料片手ににらめっこしながら……なんて事はせずに脳細胞を駆使すればどうにかなるから、そこら辺はいいんだけど、一ページ? 一スクロール? 分翻訳するだけで頭に疲労感漂うからね。しかも高性能なG-01の取説というか、システムというか、それは膨大である。一生掛かっても読み解けないんじゃないか? って位はあるとなんとなくわかる。そうなるとヤル気がね……まあ今は可愛いネナンちゃんと子供達と鬼ごっこにいそしもう。遊びではないんだけど……鬼は怖い怖い怪しい大人である。奴らの狙いは力を授かったネナンちゃん。彼女を守ってみせるのが私達のミッションである。
(G-01を動かすと直ぐに終わっちゃうからね。ちょっとは遊んであげようかな?)
私はそんなノリで遊ぶことにするよ。