「証拠は出来た。だが直ぐにこれを公開は出来ない」
ラパンさんは神妙な面持ちでそう言った。まるでポニ子の機嫌を伺うような感じだ。まぁポニ子って何を考えてるのか分からない表情してるしね。
寧ろ何も考えてないんじゃって感じ。多分そんな気はする。でもラパンさん達にとってはそんなポニ子の表情は恐ろしいのかもししれない。
何せ私達は彼らではおおよそ理解できない力を持ってる。そしてその力が今はポニ子の一存で振るわれるかも知れないという危機感がラパンさん達にはあるっぽい。
それはどういう事かと言うと、私事G-01が命令に従う用な、彼らにとっては飼い慣らされた犬みたいな物だと思っているからだ。
普段はそれこそラパンさん達にとっては魔王と勇者が私への命令権を持ってると思っている。
魔王の奴は暴走がちだけどそこを上手く勇者が押さえてるから、私が変な行動をしないという安心感みたいな物があるんだろう。
けど今は二人はいない。いるのはよく分からないポニ子という存在だけ。つまりラパンさん達はポニ子が私に命令出来る唯一の存在だと思ってる訳だ。
本当は全然まったくそんなことないんだけど、彼らにはそれを知る術はない。
「必ずこの映像を活用するときは来る。だがそれは今ではない……ないのです」
別に部下に言った後にポニ子に向かって丁寧に言い直す必要なんて皆無だけどね。この子全く関心ないよ? まぁその表情が彼らには恐ろしいんだろう。
(ポニ子とりあえず頷いときなさい)
「ポニポニ」
私の言葉でポニ子は頷く動作をする。それによって明らかにラパンさんはホッとしてた。
「盟主よどうしますか?」
「この話しを使って、こちら協力者を募る。勿論秘密裏にだ。協会は大きくなりすぎた。その影響力を疎ましく思ってる者達は大勢居る」
「確かにその通りですが、下手をしたらアズバインバカラが孤立させられるやも知れません」
「そうならないように、相手は慎重に選ぶ。皆の意見を聞かせてくれ」
何やら、複雑な事を話し合おうとしてるラパンさん達。私達はこの世界についてはいまいちわかってない。いや、世界の仕組みとかなら興味あるんだけどね。人の営みにはそれほど……どの勢力がどうとか……実際どうでも良いよね。なんとなく、ラパンさんには協力してるが、それはたまたまだ。
でもまだ関わる気ではいる。なにせ……ネナンちゃんはこの世界でサンクチュアリを与えられた存在かも知れ無いからね。