「あれが『ズンジャイサンバ』だね」
『そのようですね』
その町を遠くに見ながら私はAIに確認を取る。位置関係的にそうなるんだよね。記録の中にある地図と照らし合わせるとね。
「陽気そうな名前とは裏腹になんかやばそう……」
『規模はなかなかですが……』
実際、ズンジャイサンバは今まで見た中では一番大きい。それに立派な壁もある。でも……なんていうか、屍臭って奴が漂ってる。とりあえず装置を作ってもっと近くから観察だね。それを飛ばして、上空からズンジャイサンバをみる。
「なんか街の規模に対して人が少ないような?」
『確かにそうですね』
カメラで見て真っ先に思ったのがそれだ。壁の中の最初はそれこそなんか作物とか育ててるエリアみたいだから、まばらなのはわかる。まあまばらと言うか、居ないんだけどね。そこからもう一つ中に壁があって、その内側から街が広がってる感じだね。様子がおかしいと思ったのは内側の壁の門はなんか壊れてた。砂獣がここにも来たのかと思ったけど、外側の門は大丈夫だったからね。
今まで街中に直接砂獣が現れたってことは聞いた事はない。なら……あれは砂獣の仕業ではないよね? 内側の壁のむこうは建物がめっちゃ密集してる。建物自体にはアズバインバカラとかと違いはあんまりない。ただやっぱりだけど、一番大きな建物は違うね。アインラザードがどんな建物だったのか既にわからないけど、ここズンジャイサンバの一番大きな建物はピラミッドみたいだった。ようは三角だ。でも壁は段々状じゃないね。なんかめっちゃキラキラしてる。ガラスなんてそれこそ領主の建物でしか見たことないが、あれは別格の量を使ってる。いや、ガラスかどうかはわかんないけどね。なんか輝きがちょっと異常な気がする。
「ん? あれは……」
ようやく第一街人発見。けど……あら……なんと地面に倒れてしまった。そしてそのまま動かない。
「むむむ……これって……」
私はとりあえずもうちょっと高度を下げてズーム率を上げてみる。それでもっとよく建物の影とか、間を見てると……
「うーわ」
思わずそんな声が出る。なにせズンジャイサンバの影の部分では人々が倒れてるからね。それも沢山だ。生きてる人もまだいるが……皆さん虫の息。なるほど屍臭がするわけだ。これは酷い。でもなんでこんな事に? 更にカメラを進めると、街の後方に沢山の元気な人達がたむろしてた。そいつらを高見で見ながら、更にカメラを進めると、長蛇の列を作って、壁から出た人達がどこかを目指してる。
「これって……この街を捨ててるの?」
『そのようですね』
なんかズンジャイサンバはヤバい事になってた。