あれから4日くらいたった。テントのおかげで、宵の時間はやり過ごせる。世界が崩れるように見えてる宵を知るために自身で作った結界で宵を明かそうとも試みたが、それは無理だった。やばい化け物が集まってきて排除しよとしてるんだ。俺だけなら、そいつらと戦うという選択肢もあるが、他の奴らもいる中ではそれはできない。いや、宵の中ならなんかテントは絶対に守られる守護領域という感じだから何が起こっても、寝てる人たちには影響なんてないのかもしれないが、流石に博打を打つわけにはいかないからな。
だからそこは自重した。
そして何回か……とうか何十回も砂獣と戦闘をしながら、俺達はようやく中央、正式名称『ドリアランド』が見えてきた。なんか皆さん中央ってしか言わないから実は正式名称がないのか? と思ったが、そんな訳はなかった。どうやらそんなに名前が気に入らないから……って理由ではなく、どうやら中央の正式名称は口に出しては行けないとかなんとか? だから皆さん中央と呼んでるらしい。理由はローワイヤさんも知らないみたいだ。
いや、隠してるのかもしれないが……まあ多分本当にしらない。だって彼女は俺にはなにもかも話す。まあ流石に自分の後ろめたいことは話してないだろうが、大抵のことは話してくれてると思う。
「きゃああああ! 勇者様あああああ!!」
でかい、それこそありよりも二周り大きいバッタのような砂獣を俺が倒すと、馬車の方からそんな黄色い声援が聞こえてくる。既にローワイヤさんはトラウマを克服し、戦闘中は目をキラキラさせて俺の応援を熱心にするまでになってた。そして仕事を終えた俺に小走りで近づいてきて、水が入ったコップを差し出してくれる。水は大きな石の樽に入れられてて使うときだけ汲み取る方式だ。
結構な暑さなのに腐ったりしないのか……でもそこは限りある魔法で大丈なようになってるらしい。石という移動中に破壊しそうな入れ物が気になるが、そもそも材料が少なそうなこの世界では仕方ない。砂獣が残した外皮とかなら石なんかよりも頑丈だが、それに飲水を入れるのはためらわれたのかもしれないな。気分的にわかるし。それに砂獣の素材は武器や、防具に多くは回されてるみたいってのもあるだろう。
「どうぞ、いつみてもその戦闘に惚れ惚れしてしまいます」
「ありがとうございます」
褒められるのも慣れっこだから、俺は軽く流して水を受け取って喉を潤す。まあ潤す程に乾いてはないが。というか、この体、最悪エネルギーだけで動くからな。前の体で出来ることは普通に出来るから忘れそうになるが、俺や魔王の体は根本的に変わってる。まあだが、普通に食って普通に寝たり出来る方か違和感がないから溶け込むにはそれがいい。俺も普通に食事とかがなくなるとなんか寂しいしな。
できなくても生きていけるが、だからってなくす必要はないって感じだ。
俺は飲み終わったコップをローワイヤさん……ではなくフェアへと渡す。本当はこの水を持ってくるのも最初はフェアがやったんだよね。それをみたローワイヤさんがその役得に気づいて無理やりその役目を奪ったのだ。実際最近は最初の時とは違って賞金稼ぎの人たちも戦ってるんだが……その人達には誰も水を持っていったりはしない。悲しいし、俺に不満が募るから、ちゃんと俺は彼らもフォローしつつ、この道中が滞りなく進むように結構気を使ってた。
だからようやく中央が見えたことで結構ホッとしてた。中央になら、ローワイヤさんの知り合いもいるだうし、彼女が頼れる人もいるはず。彼女の世話というか、相手から開放されるときだ。