uenoutaの日記

好きなものを描いたり、買ったものを紹介していきます。

転生したらロボットの中だった(ただし、出ることは出来ません) 運命という世界線を壊せ 252

「なぜじゃ……なぜ跪かん?」
「?」
 
 老子バンドゥンは何分か叫びまくってたが、ゼーハーゼーハーしながら、そんなことを言い出した。俺は?しかない。 まあこいつにとっては自分の言葉には誰もが従う……っていう感覚しかないんだろう。なんという傲慢……というか、常識? そんなもの捨ててしまった方がいいと思うが……この老子バンドゥンは百五十歳らしい。
 
 そこまで歳行ってしまうと自分の考えを変えるってことは難しいかもしれない。
 
老子、勇者様にはあなたの言葉の縛りは効きません。なぜなら、彼は異世界人だからです」
「な……なんと。そういうことか。だからこそ、違う雰囲気をまとって、我らの……いやこの世界に混乱を起こそうとしておると」
「それは違います!」
「何が違うんじゃい!! 黙っておれローワイヤ。そなたはもう、ワシ等が造ったローワイヤではなくなってしまった。用無しじゃよ」
 
 そう言って手の甲を向けてシッシッとやる動作をする老子バンドゥン。本当に中央の奴らはクズしかいないのかと頭を抱えたくなるな。
 
 ペニーニャイアンしかり、この老子バンドゥンしかり……本当に自分以外をゴミとしか見てないし、他人に求めるのはあくまでも利用価値しかないと……てか育てたじゃなく造ったってローワイヤさんは人造人間か何かなのか? 
 
(まさか……な)
 
 でもその考えを完全には否定できない。何のために神託の巫女なる存在が必要かはわからないが、ローワイヤさんは簡単に切り捨てられて、その後釜にはすぐにピローネが入ってた。
 それはつまりいくらでも変わりはいる……ということだと思った。そしてそれは多分間違いじゃないとは思う。
 でも……今の老子バンドゥンの発言でより恐ろしい事が想像できてしまう。俺は代わりといっても、小さな子供をどこからか買い取ったりなんかして巫女の為の教育を施す機関があるのかと思ってたが、こいつらの他人を見下す性根は筋金入りだ。
 
 そんな奴らが孤児とかそこらの民の子供を巫女に据えたりするだろうか? 一応巫女は重要な位置らしいし……ってなると、さっき老子バンドゥンが言ったように『造った』という表現も信ぴょう性出てくるような……
 
異世界の来訪者よ。これはこの世界の問題なんじゃ。見過ごしてもらえんか?」
 
 なんか俺が異世界人で自分の力が通じないとわかったら、急に丁寧になりだした。やっぱりさっきの癇癪みたいな様子は実は俺に精神操作系の攻撃をしてたらしい。まあ全然効かなかったからわからなかったが。でも力の流れとかもなかったように思えたが?
 これまでピローネやペニーニャイアンの力の流れる感覚って奴は感じることが出来た。それはそうだろう。なにせ何か動く時は大なり小なり周囲に影響を与えるし、周囲じゃなくても自身にはその変化が僅かでも起こる。
 俺や魔王クラスになると、その変化を感じて行動の先読みなんてのは当たり前だ。それをできないと、気づくと首と体が離れてる……なんてことが起こりえるからな。
 
 それだけ俺は周囲に気を配ってる。なのに、力の流れを何も感じなかった。たがらただの老人の癇癪と思ったんだが……どうやら違ったらしい。
 
(俺が感じ取れない力がある?)
 
 そうだとしたらそれは厄介だ。たとえ俺には効かなかったとしても、仲間たちがその攻撃にさらされてもこっちがそれを感じ取れないのなら、守るという行為が難しい。
 やはり異世界となると一味違うな……と思った。