「くっく……恐れを感じたか?」
そういって老子バンドゥンは笑ってる。どうやら俺が信者達を調印を壌土する前に昏倒させていってる行動が彼にはそう映ったようだ。まあそう思わせておいてもいいから別に反論なんてしない。
俺は残ってた大体の信者達を昏倒させた。これでこれ以上犠牲者は出ない。それが大切なことだ。まあ協会の犬になってるこいつらを助ける必要なんて一ミリもないんだが……でも俺は勇者として殺生はちゃんと判断したいからな。
とりあえず今は殺さないでもいいだろう。再び老子バンドゥンの前に戻ってきた俺は、彼を見つめる。老子バンドゥンのローブには奪った調印の印が輝ている。あれは命の輝きなのだろうか? 戻したら奪われた人は復活できる? まあ肉体がある必要があるだろうが。
「くくく、まあ十分じゃ。貴様を殺し、そしてローワイヤを殺すにはこの調印で十分じゃ」
そういって老子バンドゥンはローブの調印を混ぜ合わせだした。
「さあゆくぞ。我等の秘術を見よ!!」
俺はとりあえずそういってる老子バンドゥンに近づいてその胸に聖剣を刺してみた。
「くくく……くはーはっはっはっ!! 隙だらけに見えたか!? そんな物、今の儂には効かぬよ!!」
マジか? 完全に老子バンドゥンの体を聖剣は貫いてて、その手ごたえも確かにあったと思うんだが? 俺はとりあえず刺した聖剣をグリグリとしてみた。
「――ぐはっ!?」
あっ、血を吐いた。顔もすっぽりとローブに包まれてるから血が出たかはわからないが、でも今のは血を吐いたでしょ。間違いないと思う。
「なぜじゃ? なぜ……痛みが――いたいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!」
自身で後ろによろめいて聖剣が抜けた老子バンドゥン。でもその足取りはとてもよろよろとしてる。
「ん?」
なんか聖剣を見てみると、調印なるものが聖剣の方にあるようにみえるぞ。
「うわっ……そんなの取り込むのやめたほうがいいぞ」
そう聖剣に言ってみる。すると中から……
『マイロード! これはすごく使えるぞ』
(あっそ、反抗するなよ)
『マイロードにそんなことはしない!』
なんかノアの奴、めっちゃ従順になってるな。いいけど。
「なぜ……なぜ調印がその剣に……その剣は……一体! かえせ! それは儂の!!」
「命はその人だけのものだ」
俺はそういって聖剣の切っ先を突き付けた。それによってこっちに来ようとしてた老子バンドゥンはその歩みを止める。けど次の瞬間には膝をつき、そして横に倒れた。まあ腹さしたし。致命傷だ。
ぞういって誰の助けも来ないまま、老子バンドゥンは息絶えた。それはとても寂しく、そしてふさわしい最後だった。