「誰……貴方達は?」
「警戒なさらないでくださいローワイヤ様」
「はい、私たちは協会とはなんのつながりもありませんのでご安心を」
顔の半分を薄いヴェールで隠したその二人の女性は全く同じ声のトーンでそんな風に言ってきた。俺が見た感じ、この二人はとても体つきが似てる。見えてる目の部分もそうだが、髪型だってたぶんだけどあえて同じにしてる感じがあるし、肉感的な感じも似てる。ちゃんと局部は隠してるけどさ、この世界は暑いから、けっこう皆さん薄着だ。
だから肌が透ける布の服を着てるわけだけど、スタイルが全く同じに見える。胸の膨らみとかお尻の大きさ、脚の感じ……うん、自分は変態かと……
「どうしますか?」
そういってローワイヤさんが俺の服を引っ張る。彼女たちは武器も何も持ってないし、油断したところでさっくりと……というわけでもなさそうだ。
「大丈夫じゃないですか? 彼女たちには敵対心はありませんよ」
「本当ですか? 奇麗な女性だからって騙されてはいけません」
「そういうわけではないですけど……」
確かにこの二人はなかなかに美女だと思うけど……だからって油断してるわけじゃない。ちゃんと客観的な情報を得たうえでの判断だ。
「協会と関係ないといったけど、じゃあ君たちはいったい?」
協会はこの世界では最大勢力とかでは? ほかに宗教があるなんて聞かないし、奴らが幅を利かせてるのは間違いない。協会勢力以外って一体……
「今ここでは言えませんが、ついてきてくだされば、私たちのバックが誰か、おのずと分かることかと……」
「僕たちが君たちについていかないと言ったら?」
「そうなると、次々と協会側が刺客を送ってくることになるでしょう。勇者様はそれらすべてを相手にしても退けられるほどの力をお持ちかも知れませんが」
ふむ……なんかかなり高い評価を俺はもらってるみたいだ。それは単純にうれしいが、次々と刺客が送られるのは正直勘弁願いたいな。それに俺たちは今や、この中央で行く当てがない。一応ローワイヤさんが使ってたであろう屋敷はあるだろうが……そこは実質協会の手のものだろうしな。
こいつらが協会以外の手の者なら……接触する価値はあるのかもしれない。
「どうしますかローワイヤさん? 僕たちにはいくところがないですけど」
「勇者様の判断にお任せします」
一応ローワイヤさんにも聞いたが、まあそういうとは思ってた。なら決まりだな。他の人たちも俺の意見を通してくれるだろう。
「わかりました。貴方達についていきます。でも下手なことをしたら……」
「ご安心を――」
「――我等はわきまえておりますので」
そういって丁寧にお辞儀をしてくれる。なかなかにできた人たちだな。いや、普通だけど……協会の奴らって礼儀がなってないじゃん。だからめっちゃまともに見える。とりあえず俺は他の皆にもこのことを伝えることにした。