ペニー二ャイアンを抱えて謁見の間を目指してると、今度は王宮の壁がどっがーんと吹き飛んだ。
「今度はなんだ?」
「ふふ、きっと第二案が発動されたんでしょう」
「第二案だと?」
俺に乱雑に抱えられたペニー二ャイアンがそんな風に言っている。一応ピローネの方も警戒していてくれって頼んだはずだが……まあ本気でピローネが暴れたら実際抑えられるやつなんて俺以外にはいないか。
俺はペニー二ャイアンを抱えたまま、吹っ飛んだ壁から内部に入った。
「大丈夫ですか?」
「おお、勇者様。ペニー二ャイアンは……流石です」
「それよりも一体何が?」
王様は抱えたペニー二ャイアンをみて感心してるが、それどころではないだろう。ピローネのやつが縄に縛られたまま暴れてやがる。
(俺が縛った魔法はまだ耐えてるのか……その状態でよくもまああれだけ暴れてるな)
ペニー二ャイアンを追う前にピローネも縛ってたから、なんとかこの程度で済んでるみたいだ。体を縛ってる縄があるから、どうやらピローネのやつは床を蹴ることしかできないみたいだ。
床を蹴って自身を人間ロケットにして暴れ回ってる。
「わかりません。いきなり暴れだして」
「誰かピローネに近づいた人はいませんでしたか?」
「いえ、流石にあのような存在には危険と判断して誰も近寄らないようにと言ってたので……」
誰かが何かをやったわけではないということか? でも、ペニー二ャイアンはさっき第二案って言ったぞ。ということは、ピローネのこの暴れっぷりも計算されてるとみた方がいい。意図的なはずだ。
「やめろピローネ。化け物に落ちるぞ」
一応そんな声をかけてみるが、当然だが何か返答があるわけはない。ただピローネは声にならない叫びを上げて、ロケットのように向かってくる。皆必死にこれから逃げてたようだが、俺は片手を前に出してそれを止めた。
「「「おお!!」」」
俺が片手でピローネを止めるとそんな風に皆が感心したような声を出す。
「ピローネ聞こえてるか? お前はまだ人なのか?」
俺はそんなふうにピローネにいう。けどピローネから帰ってくる答えは「ガウダウガウ!!」とかいう答え。よくみると、何やら身体中に血管のようなものが浮かんでる?
そういえば、確かピローネは無理にこうなったんだよな。本当ならすでにピローネはその体を崩壊させせてもおかしくないとか。だからこそ、理性もすでに? これならいっそ、安らかにした方がこいつのためなのかもしれない。
そう思って俺は掴んで手に力を込めようとした。けどその時……
「ペーニャ……ぺ……助け……」
という声が聞こえた。だから俺はその考えをあらためた。どうやらまだピローネの意識はあるようだ。ならまだどうにか……できるかもしれない。