少し離れた区画に重厚そうな扉があった。多分この先だ。中央に赤い大きな丸い石がはまった扉はとても精密な装飾が施されてる。
てかこれだけで壁画かのような……そんな感じも受けるとても凝った作りの白い扉だ。他の光と視覚を繋げて見た感じ、この先に少し成長した子供たちを教育してる場所はあるはずなんだが、如何せん、どこも同じようにこの扉で防がれてるようだ。
プライムたちの居た区画はこんな仰々しい扉はなかったんだが……これじゃあ閉じ込めてるのと変わらなくないか? いやプライムたちも協会という場所に閉じ込められてるのは変わらないんだが……体が大きくなったら、それに伴って行動範囲って奴が普通広がっていくじゃん。
でもこんな扉があったら、プライム達のような幼児と呼べる子供達よりもどう考えても行動範囲が狭まると思う。いくら広く確保されてる……としても、ここは建物の中なんだ。
「開き方わかる……わけないよな」
「わかりますよ」
「わかるんだ!?」
プライムが優秀すぎる。この子にこの世界をもう任せたいな。なんか全て解決してくれそうな気がする。よかったですね王様。とても優秀な次代の王がいて。
(でも兄がいるんだっけ。そいつ次第だけど、どろどろの後継者争いにならなければいいけど)
権力の引き継ぎ−−きっとどの世界でもそれは血生臭い事だろうことは容易く想像できる。兄弟同士で殺し殺され……というのは俺の世界でもよく起こってたことだ。悲しいことだが。
「それでは行きます」
そう言って何やら文言みたいなのをプライムが呟くと、それに反応して扉が消えた。開くとかじゃなく、消えやがった。どうやら魔法的な幻覚だったらしい。俺たちはささっと内部に入る。すると勝手に扉が戻ってきた。
「あっ」
「どうした?」
「中から開く文言を自分は知りません。外からなら何回か見てたんですけど……」
「そうか、もしかしたら兄か姉かどっちかが知ってるかもしれないし、最悪はどうにでもなるからいいさ」
「そうですね。頼りにしてます」
肩に乗せてる王子様がそう言って頭をぽんぽんしてくる。三歳児に頭ぽんぽんされる勇者って……と思わなくもないが、悪い気はしてないからいいか。扉の先は滅菌処理でもされてるのかと言うほどに白かった。通路の左右には扉が何個もあり、それが結構続いてる。俺は扉に手をついて気づいた。
「魔法の反応があるな」
俺は自分の存在を誤魔化しながら、扉を開けてみる。すると突如、滝の音が聞こえてきた。扉の向こうには青空と滝と滝壺がジョバジョバとしてた。どうやら魔法で空間をいじってるらしい。
かなり高度なことをやってると俺は思ってそっと扉を閉じた。