「お前の目的はなんだ?」
「私はただ、兄上と姉上を助けたいのです」
「助けたい?」
「はい」
どうやら砂獣とかの疑惑は晴れたらしい。アヴァーチェはプライムに対して言葉をかける。対話の態勢には入ったみたい。だが、警戒はしてる。
アヴァーチェの魔法の力を見ると、なんかとげとげしいからな。力は精神力を使うから、その影響は強くでる。だからこそ、熟練者は力に感情が乗らないようにする技術とかがあった。
まあ流石にアヴァーチェの歳でそんなの出来たら驚きだが。
「どうやら父上と母上は『ドリアランド』を出るようです」
「何? ここを捨てるというのか!?」
「はい、ここは協会の支配が強すぎるのです」
「それは何処も同じだろう? 協会はどこでも影響力があるはずだ」
「それはそうなのですが……でもそれでもここは一味も二味を違うはずです」
「そうのなのか?」
「たぶん、そうでしょう」
プライムが断定しないのは、自分もここ以外の事は知らないから……だろうな。
「父上と母上は協会を信じてないのか……悲しいことだ。あの二人は権力に固執してるという事か……よく王家の誇りが……とか言ってるからな。浅ましい」
なんか自分の両親をつぶやいた時のアヴァーチェの顔は苦々しい感じだった。言葉通りに、あんまりよく思ってないのかもしれない。
「それは違います兄上」
「お前に何がわかる?」
「父上も母上も権力の為に王家の誇りを求めてるわけではないのです」
「なら、他に何がある?」
「わからないのですか?」
「どういうことだ!」
なんかカチンと来たのだろう。アヴァーチェの奴が小さな自分の弟に叫んだ。別にプライムは馬鹿にした気はないだろうけど、自分よりも大分小さなさ奴に「わからないのですか?」とか言われたから、馬鹿にされたような気がしたんじゃないだろうか?
「落ち着いてください兄上。別に馬鹿にしたわけではないのです。ただ、協会と王家のバランスが崩れてるという事です」
「それは、王家の怠慢ではないか? 何もしない王家に民がついてこないのは当然だ」
「何もしないのではなく、今はもう、何もできないのですよ。何もできないように、協会に固められています。その最たるものが……私達ではないですか」
プライムはそういって自分の胸に手を置いた。
「私達こそが、一番の王家への人質なんですから」
「だからそれは教育の為に――」
「それは建前ですよ。どういっても、私達が親元から離されて、育てられてる。それに変わりはないのです。そしてどんな建前があっても、それは人質ということです。私たちは間違いなく、父上と母上に対する切り札なのですよ」
「協会は……そんなことは――」
「しないですか?」
「しない!」
「しますよ」
「!?」
プライムは常に落ち着いてる。それに対して、アヴァーチェはどんどんと熱くなってる。なんだろうか……なんかどっちが兄で、どっちが弟がわからなくなってきたな。とりあえずこのままいけば、説得できる――か?