「行くぞプライム!! 走れ!」
そういってアヴァーチェがプライムの手を引いて砂の中へと消えていく。俺はそれを見て「ふう」と息を吐いて変身魔法を解いた。ちゃんとこの流れに持っていけるのか……実際ひやひやしたよ。
やっぱり無理矢理連れて行くのと、自分で納得していくのは違うからな。けどおかげでかなり時間を食った。この建物に浮遊させてる光から入ってくる情報的に、本物の神父がこの教室の惨状に度肝も抜かしてる。一応入れないように妨害してるが、このままではアヴァーチェ達も教室の外に出れない。
「プライム、そのまままっすぐに進むんだ」
俺は砂に隠れて二人に忍び寄ってプライムだけにそういった。このまま扉にいかれてそこで鉢合わせ……なんてことをさせる気はない。どうせ砂嵐で視界はないんだから、いつの間にかこの部屋から出てたってことにしておこう。
「くっ、この力の暴走みたいなのもお前がやってるのか?」
「これは父上と母上がよこしてくださった方の力です。おかげで追ってを撒けるでしょう」
「そうだが……私たちもどこに行けばいいか……」
「兄上、このまままっすぐです。それで大丈夫」
兄弟は二人でこっちにきてる。俺は聖剣を取り出して、音もなく壁を切り裂いた。ちゃんと隣は人がいないのは確認済みだ。どうやら皆さん、この教室の異常を聞いて廊下に集まってるらしい。魔法的な部屋ならはっきり言って厄介だったが、そうでなかったからある意味ラッキーだったろう。
魔法で空間拡張してるような部屋を子供たちのメインの教室の隣にしてるのは事故があったときとかに危ないのかもしれない。ここにいる子供たちは洗脳して協会の為に将来的に役立ってもらわないといけないんだろうし、下手に潰したら教会側だってしたくないんだろう。
「ここは隣の教室か?」
「そのようですね」
「廊下が騒がしいな」
「きっとさっきの部屋で起こってる事で騒いでるんでしょう。この混乱に紛れましょう」
「おい、その父上と母上がよこした奴はいいのか?」
「大丈夫です。きっとすぐにこられます。兄上は姉上の場所への案内を頼みます」
「そうだな、アイツも説得しなければな……」
今はそれだけでいい。
ただ信じるだけでは思考を放棄してるのと変わらないからだ。二人はこそこそとあと一人の元へと向かう為に動き出した。