uenoutaの日記

好きなものを描いたり、買ったものを紹介していきます。

転生したらロボットの中だった(ただし、出ることは出来ません)運命という世界線を壊せ 320

「どうしてあなた達がいるのですか?」
 
 袋小路でアヴァーチェとプライムがカザムジャナちゃんと向き合ってる。周囲には誰もいない。上手く彼女を避難場所に行く前に孤立させることが出来た。何をやったのか? それは単純な事だ。
 
 この協会の内部は結構似た作りの所が多い。それを利用してちょっと細工をさせてもらった。本当の通路に壁を置いたり、角を曲がるたびに、少しずつ後方から、分断したりだ。
 
 その際あまり違和感を抱かれないように、一瞬の軽い催眠状態になる魔法的なものを使った。壁とかも本当に壁を作ったわけでなく幻影だ。
 この協会内で、慣れてる筈の彼女たちを迷わせて、もしも何者かの仕業……的な事が流れててもその狙いが王族だと知られないように、全員に迷ってもらう。
 
 一応アヴァーチェの方の教室の方もまだ収束はしてないから、アヴァーチェだけがいなくなったとは気づかれてない筈。プライムは仕方ないが、それだけじゃ確信はきっと持てないだろう。
 
 だから魔法と幻影を駆使して、ここら辺をうろうろとさせながら、更に俺の魔力で作った通路とかを織り交ぜつつ、彼女たちを分断した。かなり自然となるようにしたから、結構大変だったな。
 
 大袈裟に完全にこっちの作った空間に誘い入れると、気づかれるかもしれないが、一部本物と混ぜてたからきっと気づかれてないだろう。
 
「ここは乙女の園、男性は立ち入り禁止ですよ?」
 
 カザムジャナちゃんは二人がここにいることに首をかしげてる。けど警戒してるってほどじゃない。「どうしてだろう?」という疑問が大きい感じに見える。そんなに危機感が無い子なのかもしれない。
 さて、どうやって彼女を二人は説得するのか。
 
「姉上、ぶしつけですが協会から出ましょう」
「あらあら、どうしたのプライム。お母さまが恋しくなったのかしら? おいで、お姉ちゃんがギューってしてあげるわよ」
 
 そういってカザムジャナちゃんは両手を広げる。それに対してプライムは「結構です」と言ってた。せっかくお姉ちゃんが抱擁してくれるんならされてもよさそうだが……まあそんな場合ではないか。
 
「そう……」
 
 プライムに拒否されてなんか落ち込んだ様子のカザムジャナちゃん。冗談……とかじゃなかったんだな。
 
「そういえばなんだかプライムは大人びましたね」
「すみません姉上。本当の自分はこうなんです。今までは子供のフリをしてたんです」
「そうなの? でも私はプライムの姉ですから。受け入れましょう」
「えっと……疑わないんですか?」
 
 なんかプライムも面食らってるぞ。なにせこの状況なのに、カザムジャナちゃんはあっさりとプライムの事を信じてるからな。頭のいいプライムからしたら、こんなに簡単に信じられるわけないって思ってるんだろう。
 プライムは頭が言い分、子供らしさの象徴ともいえる純粋さがないからな。それに比べて彼女『カザムジャナ』ちゃんは純粋に十歳くらいの少女なんだろう。
 そう思った。