「これはこれはポニ子さん。今日は武骨な者と一緒なのですね」
「それはあんまりではないですか?」
「はは、なにせ江面が強烈だからな。仕方ないだろう」
「それは……まうそうですが」
ポニ子と一緒にいるダンディなおじさんがそういってラパンさんと笑いあってる。そして先になにやら報告してる。ささっとすまして次をポニ子に譲ってくれるらしい。
「ポニポニ! ポニポニポニ! ポーにポニ!」
そんな声が厳格な領主の執務室に響く。数秒くらい、この場にいる人たちはその態勢のままだっただろう。そしておもむろにラパンさんが――「通訳を頼む」――といった。
「いや、無理ですが……」
ですよね。ポニ語が分かる奴なんて……
「そういえば、ネナン殿ならわかるのでは?」
「あの子からそんな報告は……でも確かによく一緒にいるしな。よし、彼女を呼んできてくれ」
「そういう事だ」
なんとこの部屋にはもう一人いた。きっとラパンさんのお茶とかを入れる担当の人だろう。その人に指示をだしてネナンちゃんを迎えに行かせるみたいだ。
それからネナンちゃんが来るまでの間、二人で何やら難しい話をしてた。それから五分くらいでネナンちゃんが到着した。これなら最初からネナンちゃんを引き連れて行った方がよかったよね? 誰か気付けよ……まあ一番は私が気づくべきだったんだけどね。でも本当にネナンちゃんはポニ子の言葉がわかるのだろうか?
いつも一方的に喋ってるだけのような……
「えっと……ポニちゃんの言葉をですか?」
「ああ、君ならもしかしたら――と思ってね」
「えっと……わかんないですけど」
「「「…………」」」
沈黙が流れる。やっぱり……いや、短いやり取りなら、ネナンちゃんはわかると思うけど、言葉としてポニ語を理解はしてないと思ってた。そもそも私も理解してないし。
『ほら、どうするんですか?』
なんかAIが私を責めてきてる。いやいや私のせいじゃ……いや私のせいか? うん、そうかも。でも私が動くと一大事じゃん。私というかG-01だけどさ。
さてさてどうしたものか?
「とりあえず一度聞いてみてはくれないか?」
そういうラパンさん。一縷の望みをかけてるみたいだ。とりあえず、ポニ子はネナンちゃんにむかってポニポニと言い出す。
「ポニポニ言ってますね」
ここでその冗談はなかなかに笑いのセンス高いね。ネナンちゃんがいろんな辛いことから立ち直ってくれて私はうれしいよ。
『現実逃避しないでください』
うっさいAI。大切な事じゃん。ここでネナンちゃんがこんなボケをかませるまでに回復してるんだよ? 喜ばしいと思うんだよ!