流石のでかさに一瞬引こうかと考える。だが……
「いや、ここ以外にどこに引ける?」
そうつぶやいて自分は聖剣を見た。聖剣の光はこれまでの戦いで十分に高ぶってる。
(やばいっすよ旦那! これは流石にやばいっす!!)
「わかってる。けど逃げ場なんて無い!!」
自分は聖剣を斜め下に構える。落ちてくる星に比べたら、自分はとてもちっぽけな存在だ。大きさとは絶対的な強さの指標になる。どんなに強大な力でも、その大きさが天と地ほども違うと、いくら自分にとっては強大な力でも、相手には針程度のことでしかない……てことも。そして自分とこの落ちてくる星……いや隕石とはそれだけの大きさの違いがある。
普通は諦めてしまうところだろう。
(だが、自分は……俺は諦めない! 勇者だから!!)
下から一気に斜めに振り払う。一瞬の後、自分が居る場所へと落ちていくはずだったその隕石が二つに割れた。そして通り過ぎて
……どうやらいかないようだ。なんと二つに分かれた隕石は二つに分かれても復元しようとしてるみたいだ。そしてその間に自分がいる戦いの場所ともいえるステージがあるから、なんとそれを挟み込むかのようになってる。
このままじゃステージごと挟まれてぺしゃんこになる。お互いが引き合う力はかなり強力なのか、ステージが中央から鯖折りになりそうにしなり出す。一気に細切りにしようか? とも考えたが、あまりのでかさにそれをやってる間にこの場がなくなりそうだ。
「ちっ」
切れる事が確かめられただけで良かったと思おう。実際、マジで出来るかは自分でもわからなかった。多分だけど、かつての自分では無理だっただろう。元の世界の、元の体のままでは絶対に出来ない芸当をやったという自覚はある。
けどどうやらそれでも足りないみたいだ。やはり違う世界は新しい刺激をくれるという意味では面白い。
(まあ、こんな肩書き本当はもう下ろしたいんだが……)
今更勇者を名乗らない自分も想像が出来ないでいるんだよな。困った物だ。とりあえず挟まれる前に自分はステージから飛び立って星空の中へと出る。すると視界にみえる全ての星々が迫ってきてるように見えた。
(いや、迫ってきてるっすよ旦那!! 気のせいじゃないっす!!)
うん……ノアの奴もこう言ってるからどうやら気のせいではないようだ。嫌わかってた。そもそもが最初に一個落ちてきたときから、まさかそうじゃないか――っては思ってたんだ。
そしてその懸念はどうやら当たってたみたいだ。この見える星はただの幻想というか、そういうこの空間の仕組みだと思ってたが、どうやらそうじゃない。
この空間にきらめく全ての星々全て、どうやら都市核らしい。