uenoutaの日記

好きなものを描いたり、買ったものを紹介していきます。

転生したらロボットの中だった(ただし、出ることは出来ません)運命という世界線を壊せ 379

 指一本も動かせない中、自分の思いを読み取った銃へと変わった聖剣が、貯めに貯めたエネルギーを放出した。ゼロ距離で放たれたそれは自分と超巨大な隕石の間でまばゆい光を放ってる。
 銃へと変わった聖剣の綺麗な模様が入った銀色の銃身が赤くなる。もしかしたら銃身の内部で力が塞がってるんじゃ? まずいか? なんて思ったが、自分には今はもう何も出来ない。なにせ全てのエネルギーはこの聖銃へと注いでる。
 
 けど変化した聖銃でもこの超巨大な隕石の硬さを貫くことは……
 
(いや、今までこいつが自分を裏切ったことはない!!)
 
 聖剣はいつだって自分自身を助けてくれていた。どんなつらいときだってこいつだけは常に一緒だった。だから諦めたりはしない。堅すぎる隕石……いや都市核なのか。でも聖剣は、聖銃はやってくれるだろう。熱さが逆流してくるかのような感覚。でもそれでも……自分は力を出し渋るなんて事はしない。全てをこの銃へと注ぎ込む。
 それこそ最後の一滴までだ!!
 
(うおおおお! 俺もやるっすよ!!)
 
 ノアの奴も必死だ。なにせ自分の中に居るんだからな。自分がやられれば、ノアだって消滅するだろう。だからなのか、ノアもその力を流す。でもノアの力は自分に比べたらそこまで大きくない。
 影響なんてほとんど無いだろう。でも、ノアはこの世界の存在だ。そして特別な砂獣でもある。協会が関わった存在。自分は全く別の世界の人間で、この世界の力を取り込めるようになったとは行っても、別に親和性を得たわけじゃない。
 ノアを介して変換が出来るようになっただけ。でもどうやら、この世界の力にはこの世界と同等に近づけた力の方が効くようだ。ノアの力が入って、それがわずかだけどわかった。
 それなら――
 
(ノア! 放たれる力をこの世界の力に返還しろ!)
 
 今までは自分の力のままで出力してた。圧倒的に此方が強大なら、押しきれるんだろうが、でも今は状況が違う。こっちが下だ。向こうが圧倒的。そうなると別々の世界だともしかしたら反発するのかもしれない。まるで磁石のSとSとかみたいに? それはまだよくわからないが、実質聖銃の攻撃はこのままじゃ貫け無い感覚がある。
 でもこの世界の力に変換することで、その感覚が「いけそう」になる。
 
(流石にこれだけの力を返還なんてむりっす!!)
 
 ちっ、でもそれもそうか。なにせ規格外のエネルギーの放出だ。これを一気に変換しろなんてのは無理な話だというのは納得出来る。でも……納得出来るけど、はいそうですかって言えるか!!
 
「なんとかしてでもやれ!!」
 
 いつもの丁寧な口調はそこにはなかった。なにせこっちだって必死だ。
 
(むりっす!!)
「やれ!!」
(むりっすよ!)
「何か方法はないのか!?」
 
 不味いぞ、本当にもう聖銃というか、それと同化してる腕も真っ赤に膨れ上がってる。このままだと弾ける。感覚でそれがわかる。時間は無い。
 
(方法は一つだけ)
 
 いきなり切羽詰まってたはずなのに、そのときだけはノアの声がやたら落ち着いて聞こえた。
 
「ならそれを――」
(いいんすね?)
「やれ! お前がやることを許可してやる!!」
(なら――全てをこっちに任せるっすよ)
 
 その瞬間、体を行使する側が自分からノアへと移った。