「これは……思ったよりも凄いかも!」
私は砂に剣を突き刺しながらそんなことを言った。先に出てきてる沢山の腕が苦しみようにこの都市をもがくように破壊してるが、そんなの気にしてらんない。王様達のことは心配ではあるけど、でもそのくらい自分達で身を守ってほしいところだ。
賞金稼ぎの連中とかも連れて行ってたし、そいつらが身を挺して守ってくれることを願っていよう。まああいつらに王族への忠誠心があるとは思えないが、でもアレでお仕事となればきっちりとやる連中だ。
もちろんそうじゃないアホな奴も沢山居るけど、勇者が選んだ奴らはそんな賞金稼ぎの中でもかなりまともな連中だったと思う。だからちゃんと守ってくれることを期待してるよ。こっちは小さな事をするよりも、大元を絶った方が絶対に良い。
だって避難誘導なんてのは誰にでも出来ることだけど、大元を絶つと言うことは誰にでもが出来ることではないからだ。そして少なくとも今この砂の下から出てこようとしてる奴は、この地に居る誰にも倒せそうにない。
だってめっちゃデカいし。何か兵器があるならまだしも、そんな戦術級兵器なんてこの世界にないし。なら私の担当でしょ。
「はああああああああああああああああああああああ!!」
光はどんどんと強く、そして恍惚に輝きだしてる。そして剣を刺してる地面は赤くなってて、しかもその範囲は今もなお拡大してる。私は剣となった勇者を砂に刺してる。実際砂に刺す……なんてしたってほとんど感触なんてのはないはず。けど私には刺さってる感触があった。
まあ実際は勇者を握ってるのはG-01でそのG-01を私が操ってるからそういう感触って伝わりづらいと思うんだけどね。でも感触なんて無いはずの砂の中で私には勇者の剣が何か――に届いてると確信してる。
「馬鹿な馬鹿な馬鹿な!! 貴様らの力は既に完璧に把握したはず! なのになのになのになのにいいいいいいいいい!!」
よくわからない存在がそんなことを言ってる。多分だけど、この都市を滅ぼして都市核を取込んだ存在だと思う。そのくらいしか考えられないし。まあ確かにこいつの言うとおり、色々とやってたとは思う。それにこの場所自体がきっとこいつのテリトリー。
砂獣にしてはなかなかに狡猾で知性が見えるわけだけど……でも相手が悪かったね。それに……
「ごめんなさい。私たちは常に進化してるのよ」
とりあえずそんなことを宣言して、まだ半分くらい出てた剣を地面に根元まで押し込んだ。いや、それも違うね。むしろ腕が埋まるくらいまで砂の中に押し込んだ。
その瞬間響く断末魔。そしてそれと同時にに地面が更に盛り上がって、周囲は光に包まれた。
「あれ?」
そして気づくと、私たちは太陽の下で熱せられてた。