さて、ラパンさんに状況を教えることが出来た。私は再び先に行くかな。一応念のためにラパンさんは王様達をジャルバジャルへと移すことも考えてるみたい。けど流石に今さっき到着したばかりだし、それにジャルバジャルはまだ復興半ばだ。そこらの民衆達は進んでジャルバジャルへと行くのは誰も止めないけど、流石に王族を送るとなると……ね。
王族を迎え入れるだけの許容はまだ無いよね。だから多分逃げることはしないだろう。というか、確実性をとるのなら、こっちから行くよりも……
「最悪魔王を呼び戻せばどうにかなるでしょ」
そっちの方が確実だと思う。というか、私と魔王と勇者がそろってどうにか出来ないとなると、それってもうこの世界の滅亡クラスの事態だ。私は上を向く。
太陽との距離はまだある。だから滅亡するには早いだろう。それに勇者達がアズバインバカラへと戻ってくるのにもまだ距離はあるから、あと二日くらいの準備期間はあるはず。てか、本当ならそれだけの砂獣に襲われてたからアズバインバカラまで持つわけ無い。
でも勇者がいるなら持つだろうし、私は今日の時点で再び勇者達の所まで戻ることは出来る。もしかしたらアズバインバカラへと戻るまでに千の砂獣を殲滅出来る……かもしれないが、そうじゃないかもしれない。私には広範囲の攻撃手段がないからね。
「とりあえず今の勇者の位置くらいは教えておいてあげよう」
焦ってるようだけどまだ猶予はある。全力で逃げるだろうけど宵には移動は出来ない。それを考えたら日が出てから沈むまでが移動距離だ。
そして生き物は走り続けることは出来ない。まあ思ったよりも移動してるけど。多分勇者だね。あいつが回復魔法で無理矢理足を回復してるんだろう。それなら二日……三日目くらいにはアズバインバカラにきっとたどり着く。
それまでにラパンさんには準備しておいてくれればいい。大抵は倒しておく気だけど……千の敵の大群って私も経験……いやアビスで怖気を催すクラスの大群観たね。
流石にあれほどじゃないだろう。うんうん。
「この距離なら、まだ猶予はありますが……勇者様達は戻ってこれるでしょうか?」
まあ普通はそっちを心配するのが普通だね。私は普通に戻ってくると思ってるけど……まあ私事G-01も行くのなら戻ってくる位は確実に出来ると思ってる。
私は喋れない設定だから、背中で語ることにする。私が背を見せて少し腰をかがめた事で、ラパンさんは察したんだろう。
「勇者様達を頼みますジゼロワン殿!」
(任せときなさい)
私は一気に地面を蹴ってアズバインバカラの街を飛び越えた。