私はAIが選んでくれた武器を見る。なにせ二千体というアホみたいな数が居る――というか、今も増えたりしてる砂獣共だ。それを一気に広範囲をなぎ払うとなれば、それはもうめっちゃなんかこう……凄いやつな筈だよ。だからこそ、私はわくわくした感じでその武器を見た。
なにせ私はそんな武器に詳しいわけじゃない。剣とか槍とか、それとか銃とか、後はアニメで見たことある光線放つ奴とか、くらいだ。まああれだけの数をなぎ払うのなら、私的にはやっぱりシュパッと光線を放ち、ズドーンとやりたいと思ってる。
何か擬音が多くて馬鹿っぽくなったかもしれないが、わくわくしてるから仕方ない。
「さーて、どんな格好良い武器かな……な?」
私はとりあえず目を指で押さえる。更にちょっと上を向いて五秒くらいの時間をおいて、また見た。うん……見間違いじゃないね。あああれか、AIもお茶目さんだね。間違ったんだろう。そうに違いない。
「もう、AIこれ間違ってるよ」
『間違ってませんが?」
「いやいや、だってこれじゃあズバーンとかズドーンとか出来ないじゃん」
『そのズバーンとかズドーンが抽象的すぎでよくわからないですが、派手に大量の敵を倒したいと言うことであれば、これで間違っていません』
やけにキッパリとAIの奴が言う。まあAIはいつだってキッパリとした物言いしかしない奴ではある。おもんばかるって事をしないよね。それはそれでイラッとくるけど、下手に言い訳しないのは良いとは思ってる。遠回しな言い方よりも直接的な方が私は好きだよ。
けどこれは……正直AIの言ってる事を信じられないって言うか……つうか無理じゃん。
「いやいやいや、だってこれ……小手じゃん! リーチ無いじゃん! あっわかった、これ腕を振ったら伸びるんでしょ?」
『伸びませんよ。説明くらい読んでください』
「…………なんかこう圧縮がどうのこうの書いてあるね」
『はあ……』
何か今のため息「まったくこの馬鹿は」的なト書きがあった気がする。被害妄想かな? いや……
『しょうが無い頭の悪さですね』
やっぱり言ってた。ト書きどころか台詞のコマに入れてくるとは……もう言葉で顔面殴りに来てるよ。
「なんでそこまで言われなきゃいけないのよ!」
『知識も解読するごとに入ってるはずですが……どうやら上手く機能してないようですね。とにかく後は私を信じるか、どうかですよ』
むむむ……AIを信じるかどうか……ね。それを言われると弱いというか、AIは基本的に味方だしね。厳しいが、それは私の為を思っての……うん、きっと私のためを思っての厳しさだと思いたい。
それに私がこのコクピット内で寂しくないのはAIが居てくれるからだ。もしもそうじゃなかったら孤独に耐えられなかっただろう。
そんな事だから、答えは決まってる。この状況で流石にマジのボケをかましてくるとは思えないからね。でもこの小手で都市核一個消費するんだよね。
ただ拳につけるだけの武器のくせに贅沢だ。でも私は選択した。なんだか体の内側から熱くなってきて、モニターもせわしなく色々な文字を流していく。そしてまっすぐに伸ばしてる両手が何かチクチクし出した。そして私の本当の手の所にも光る小手が現れた。別にG-01がつけてる本物とは似ても似つかないが、ただ小手を装備してますよってわかりやすいように?
とりあえず私は拳を突き合わせてその感触を確かめる。