とりあえずなんとかやり過ごして宵が迫ってくると共に、砂獣達は減っていった。本当なら、夜が来てからが本番……とかに成りそうな物だけど、この世界では其れは起きないのはありがたいね。ちゃんと世界が強制的にお休みの時間をくれるおかげである。
でもちょっと気になる事はある。それは宵が開けた時だ。どの段階から始まるのかなって……
「それとも、追いかけっこは今日で終わりかな?」
『そんな都合良く行きますでしょうか。それに宵が迫ると共に、確かに襲ってくる砂獣は少なくなってましたが、襲ってこない分その数は増えてましたよ。周囲にはちゃんと居ました』
「それなんだよね……」
うん……わかってた。なにせG-01のセンサーは優秀だ。私たちを襲ってくる数が減ってただけで、その数はむしろ増えてた。ある程度離れて砂獣達はその数を補充してたみたいだった。
奴らもきっと宵がわかってるんだろう。だからこれ以上この時間にやっても無駄だと悟ってた感じ。なら……明日何か仕掛けてきそうな気はするんだよね。
「宵の時に外に居るのはイヤなんだけど……」
『もしかしたら何か起きるかもしれませんよ?』
「だからイヤなんじゃん……」
このままではいくら襲ってきたとしても、私と勇者によって砂獣達の目的が達成される事はない。そもそもが目的が何なのかって話でもあるけどね。
たまたま大量発生した砂獣達の目にとまって追いかけられる事になった――とかいうしょうもない原因でも別に良いんだけど……でもその前に無くなった都市に落とされたりとなんやかんやあったからね。それを考えると何か理由があるんじゃないかって勝手に思ってしまう。
本当にたまたまって線もあるとは思うんだけどね。
「ジゼロワン殿」
テントの準備をしてる中、勇者が何やら用があるようだ。私は勇者を見下ろすよ。
「私も外で宵を渡ります」
『それは駄目です。色々とあったのですから、貴方はゆっくり休みなさい』
私は威厳たっぷりにそう言ってあげる。うん、私良い奴! でもそんな簡単に勇者は納得何てしない。
「ですがそれでは!」
『大丈夫ですよ、私はね』
宵の大変さは勇者も知ってるからね。だからこそ私を心配してくれてるのだろう。でもまあ一人の方がやりやすい事だってある。それに前よりもエネルギーの蓄えもあるし、なんてったって都市核もまだあるからね。
なんとかなるでしょ。それに私はどうあがいてもテントには入れないんだよ。テントの中なら、宵の影響受けずにすむんだから、大人しく疲労回復しておくべきだ。勇者は今日は頑張ったしね。
『明日も朝から今日のようになるかもしれないのですから、勇者はしっかりと休んでてください』
「そう……ですね。わかりました」
わかってくれたようだ。さてさて、そろそろ宵に入りそうだね。気合いを入れよう。G-01でも宵では気を抜く事は出来ない。どちらかというと、私的にはここからが本番だね。