uenoutaの日記

好きなものを描いたり、買ったものを紹介していきます。

転生したらロボットの中だった(ただし、出ることは出来ません)運命という世界線を壊せ 419

「何?」
 
 けたたましい警報の音……その心当たりと言えば、目の前の鬼達が何やら両手を組んで祈りだしたときからだから、それが無関係なわけないよね。
 まあ祈ってると言っても、頭とか垂れてるわけじゃない。むしろ背筋ピーンんとしてるしまっすぐに前を見据えてる感じだ。そして今し方作った虫の模型? みたいな物を数体の鬼達が囲んでる。二桁も行かないけど、八体くらいは居るね。
 そいつらが集中してるのか、こっちを追いかけてくるときには出ないような濃密な力を感じる。
 
「こいつら……本気になってる!?」
『力を高めてるようですね』
 
 AIは随分とのんきな声を出してる。かなり濃密な力でこっちにもビリビリときてるよ。てかだからこそ、こんな警報が鳴ってるんだろう。
 
「なにか影響を受けちゃ不味いし一端離れよっか?」
『むしろ、これはチャンスでは? この力、解析した方が良いのでは? この宵という現象と世界の仕組みを解明出来るかもしれません』
「むむむ……」
 
 そうはいうけど……それって私の脳細胞使うじゃん。あれ頭痛いんだよ。確かにこの宵という時間はとても特殊な物だと思う。わざわざ毎夜毎夜世界を崩壊させて再びくみ上げるとかそんなメッチャ面倒なことを毎回やってるなんてどういうこと? とは思うよ。ても気にしなかったら、そういう世界なんだね――で終わることでもあると思う。そもそもがそんなに私たちは世界を見てきたわけじゃない。
 こういう世界があっても「そうなんだ」と思うだけでも良いんじゃない?
 
「世界の秘密を解明するなんて事が必要かな?」
『そういう姿勢だと、大切なことを取りこぼす物です。知ってて得はあっても、損なんてないんですよ』
「それは……そうかもだけど……」
 
 高まる鬼達の力。次第に作った虫の模型を囲んでる鬼達の足下には何やら這い出てきてる。これが光る魔方陣とかならまだ幻想的だったんだけど……そんな生やさしい物じゃないよあれ。なにせ這い出てるの砂獣? のように見える。泥みたいな物かぶった砂獣たちがゴボゴボと鬼達の足下から這い出てるというか、盛り上がってるというか……そしてその脚や触手をクネクネ、クネクネと……気持ち悪い。
 
「あれは知りたくないな……」
 
 心から私はそう思った。