鬼の顔面にぶち込んだメリケンサックの効果はなかなかに凄かった。今までいまいち手応えって奴が鬼相手にはなかったわけだけど、でもこれは違う。
ぶち当てた瞬間にメリケンサックから出てた突起が大きくなりその棘が穿った部分が大きく鬼の体からえぐれたからだ。まあつまりは今私は鬼の顔面を殴ったから……顔面がえぐれたわけで、軽くホラーチックになってる。私は右手で、鬼の顔の右側殴ったから、その部分がぽっかりとなくなってる感じだ。
「いける! これなら鬼に対抗できる!!」
でもそこは鬼。流石と言うべきか、顔の半弁がなくなっても死んではないようだ。こいつらの脳とかどうなってるんだよって言いたい。そもそもがこいつらを私たちと同じような生物かと言われると……ね。そうとは思えない。だから自分の常識で頭を潰せば、心臓を潰せば……とか思うのは危険なのかも。そもそもが抉られた鬼の頭にはなにもない。何もないというか、変な光りで隠されてる?
グロ対策を自分でしてるとか、ありがたいけど多分そうじゃないよね? そんな気の利いた奴等な訳じゃない。頭が半分なくなったことでグラッと大きく鬼の体が揺らぐ。
でも倒れはしなかった。踏ん張る。そして大きく口を開けて震えだしたかと思ったら、なんか鬼の黒っぽかった体が、赤く染まっていく。色々とギミックをこいつらも持ってるな……って思う。
『エネルギーが高まってるようです』
「そうみたいだね。でも何かされる前に倒せば良い。こいつのエネルギーの元はこっちが奪ったんだからね!」
恐れる物はない。恐れる物と言ったら他の鬼達の介入くらいだが、まだ遠巻きにしてるだけだ。奴等が事態の深刻さをわかる前に、この鬼はここで倒す! とりあえず機動力を削ぐために、私は足を狙った。さっきの感触的に、一撃で足くらい破壊できそうだと思ったからだ。
狙いは膝だ! 私はG-01の拳を片側の膝に向かって振った。そしてそれは案の定上手く刺さって小手が鬼の膝を抉り消した。それによって鬼のバランズが大きく崩れる。
器用なことが出来るじゃん――とか思うけど、機動力が下がってることに変わりはない。私は更に追い打ちを掛けるために再び近づく。砂獣を再生できるこいつらが自身を再生できない――なんて思うのは楽観的すぎるからね。
さっさと消滅させるに限る。でもそんな近づいたところで口から太い光線が飛んできた。
私はそれをとっさに新たな小手――メリケンサックで殴り飛ばす。