uenoutaの日記

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転生したらロボットの中だった(ただし、出ることは出来ません)運命という世界線を壊せ 489

「それは本当なのか?」
 
 ラパンさんが勇者から説明を受けてその場にいる人に確認を行ってる。何の確認かというと、アズバインバカラの外に教会の奴がいるって事の確認だ。私的には「え? 知らなかったの?」って感じなんだけどね。いや、よく考えたら私速攻でこの蜘蛛人間を捕まえてる。この世界には通信出来るような便利な技術はない。だから何かを伝えるにはその脚を使うしかない。ならまあ、仕方ないだろう。
 きっと兵士の報告を聞く前にこっちに来たんだろう。門番なんて下っ端だろうしね。私が変な物を持ってきた……しかもそれがピローネちゃんと同じかも知れない……とか報告を受けたらそれはこっちに来るだろう。哀れなすれ違いが起きたと観るべきか。
 
「どうやら確かに外に教会の者がいるようです」
「私たちを狙ってきたのか?」
「それはどうでしょう。王のことは言ってないそうです。それにアズバインバカラへと来てるのは一人らしい。いや……勇者様の話を聞く限り二人ですな」
 
 そう言って皆さん蜘蛛人間を観る。実際私が知らせなかったら、こいつを協会関係者として……みれるか。だってこんな化け物を飼ってるのは教会だけだ。ピローネというサンプルもいる。流石にただの砂獣と思うことはないと思う。でも、知らずにこんなのが入り込んでたら……その場合こいつの狙いはなんだったのか……
 
「教会の者はただの視察だと言ってるようです」
「何が視察か。こんな物を寄越しておいて……アズバインバカラをこの化け物に食い尽くさせるつもりだったのではないですか?」
 
 誰かがそんなことをいう。こいつらは普通にこいつが喋る……とは思ってないのかも知れない。まあ見た目マジでただの蜘蛛に頭が人間にすげ変わっただけのような見た目だからね。これで流暢に話します――とか想像できないのも無理はない。ただの砂獣のように人間を食い尽くすもの……と考えるのは当然だね。
 
「それはそんな姿形をしてますがちゃんと理性はあるようですよ。それに教会も自分の実力は分かってるはず。慎重な奴らが、たった一人にその大役を任せるでしょうか?」
「確かに奴等なら、もっと武力を集わせることは出来るだろう。こんなのを飼ってるのだ。あと何体も居てもおかしくはない」
「そこはどうなのですか陛下?」
「すまないな。こんなのが居るなど……私は知らない」
 
 なんか皆さん最後の王様の言葉で空気が重くなった。色々と察したんだろう。そして王様もこれからアズバインバカラの者達に沢山迷惑をかけるというのに、ほぼ与えることで有益になるような情報もないって事が心苦しいんだろう。まあけど、まともな王様――ってだけで良いとは思うけどね。これが王という立場だけで威張ってるような奴なら教会を潰したとしても、その後に……って事になりかねなかったよ。そうなったら後はもう権力争いでドロドロになるだろう。
 この世界にそんなことをしてる時間はない。なにせ、太陽はいつだって私たちの頭上にあるんだから。