場所は頭の中に示されてる。この世界はそれほど広くはないが、だからって簡単に走破できるほどの広さでもない。どんどんと砂が積み上がって生きれる範囲が狭くなっていってる世界。その下にある遺跡を見つけるなんて、実際問題わかってないと不可能に近い。それに普通に砂獣の奴等が邪魔してくる。神に聞いたが、砂獣はやはりだが明確な人の脅威としてこの世界のシステムとして存在してる。だから、奴等は人の存在を感知し、やってくる。というか、都度生み出されてるみたいだ。
だからこそ、何故にこんなことをしてるのか……貴様は人をオモチャにして遊んでるのか? とかも聞いてみたが、そういう事ではないらしい。神は濁してたが、色々と話した中で考えられることがある。
それは空獣だ。世界を食べ尽くそうとしてるあの化け物。多分だが、我の考えではあの化け物に対抗できる存在……それを神は求めてる様な気がした。神が圧倒的な力を持ってるのなら、その存在がどうにかすれば良い……何故にそれをしない? いや出来ないみたいだ。神と呼ばれてる存在でも空獣には無力なのだ。
それか既にその存在も負けてるのか。そもそもがそれだけ強大になったのは神の力までもあの存在が取込んでる可能性は高い。今でも震える。あの初めての空獣との邂逅を思い出すと。だがあの強さに憧れもした。
この世界は厳しい。我の世界と比べても異常な程だ。いや自分の境遇はここよりも厳しかった気がするが、だがあれがイヤだったかと言われるとそうではない。だからある意味でこの世界は全員が厳しい状況に放られて、誰かを……ではなくて全体を一気に底上げしようとしてるのかもしれない。それならこの世界が太陽に到達して教会の奴等は新たな世界が始まるとかいってたが、その次の世界もきっと楽園ではない。
なぜなら、一回試練を乗り越えたくらいではどう足掻いてもあの空獣に迫れるような存在になるわけがない。何回もこの世界のような理不尽に放り込んで何回も何回もそれを乗り越えてやっと……
(いや、それでもあれに届くのか……)
肌感的にはそれほど人に可能性があるとは思えない。なにせ我らからみたら人なんてのは脆弱な物だ。我が少し力を使えばたいていの人は簡単に肉塊と化す。それがあの世界を食べるような空獣に届くか? まあだが、神はそれこそ人を生み出したような存在だ。それだけの可能性を内包させているんだろう。
だがそこまで到達した者達はいない。いや、神がいってたシザーラス人。あれはそうだったのかもしれない。そして神々はその存在をもう一度作ろうとしてるのかもしれないな。