我の目の前にはこの間ジゼロワンが作った建物に似てる物がある。いや、そうじゃないな。正確に言えば、材質が似てるだけで形は全く違う。なにせジゼロワンが作った物はもっと複雑だった。だがこれはどうだ? とてもこれは単純な形をしてる。
それは三角だ。三角錐が逆さまになって鎮座してる。
「これは……元からこの向きだったのか?」
この地に現れたときから、こんな逆さまだったのだろうか? というか、想像してたのと全然違ってどうやって入って良いのか困惑する。本当なら一部をぶっ壊して……と思ってたが、見るからに堅そうではないだろうか? いや困惑しててもしょうが無いだろう。とりあえずやってみるべきだ。下に落ちてた移動を横に行くように前方の砂を消していく。そしてその力がこの銀色の物体に触れる。
見た目は単純だが、この建物の材質はきっとジゼロワンが作った物と同じだ。だからこそ、同じような物だとわかる。いや中身は不明だが、ジゼロワンと同じような存在によって作られたんだと推察は出来る。
「やはり駄目か」
力がぶつかったが……その感触が不思議な物だった。勿論銀色の素材には何の変化もない。壊れるどころか、傷一つ付いてない。どんな物でも消失させる力があるはずだが……中和されてる? どうした物か? 我は更に周囲に黒い槍を作り出してみた。そしてそれを放つ。だが駄目だ。この材質に触れるか触れないかのギリギリの所で先端から消えて行ってるように見える。
「こう言う特殊な素材なのか……それともこれはちゃんとこの施設が生きてる証拠……か?」
この建物が一体どれくらいの年月ここにあったかわからないが、この建物はついこの間ジゼロワンによって建てられた建物と変わらない輝きを放ってる。それ自体がおかしな事だ。普通は何年も経ったらどうしたって劣化していく物だろう。それこそちゃんと手入れされなかったらこう言う物はそれこそすぐにその輝きをおとしそうな物だ。
ここはどうあってもその手入れが出来ない場所だ。誰も来れないんだからな。だがこの建物は出来たばかりのよう……それはつまりはこの建物自体がまだ生きてるんだろう。
「我の力では壊すことが叶わなそうだな……」
いや、神から貰った力を使ってブーストすればあるいは……と思うが、ここで一つ思いついた。我は力を腕の部分だけといて、そして更にこの体の本当の腕をさらけ出す。我も勇者もジゼロワンの眷属になったときに元の体は捨てている。この体自体がジゼロワンよって作られた人形のような物だ。だからそれを晒した。こうして久々に見ると、我の本当の腕、フレームもこの建物の材質に似ている。
そしてその腕で、この建物に触れてみた。すると何かが反応したのか、触れた部分から青い光が広がって行く。そして再び壁に走る光が戻ってきた。そして丸い穴が開いたのだ。どうやら仲間? と思われたらしい。