さて施設の中には薄透明な球体の中に乱雑にパーツがある。三角の形をしてた内部空間は殆どが空白だ。ただ薄球体の中庭れには理解できない物が浮いている……そんな感じだ。これを得るには、この遺跡のこのシステムを納得させなければいけないのだろう。
『貴方はまだ潤沢にエネルギーを持ってるように見受けられます。そのエネルギーを逆算したとしても、貴方が一人でこの世界に来たというのは考えられない事です。私はご主人様達が残したシステムAIです。
ここの設備、システム、そしてアップグレードパーツはユグドラシルの根源に近しい存在にしか与える事は出来ません』
ふむ……このAIとかいうのをどうやってごまかすか……それか納得させるか……良し。
「実は我の主はかなりひどく損壊してる。ここに来る事は不可能だ。なので我がここに一縷の望みをかけてきたというわけだ」
これでどうだ? それなら最初からそう言え――とかいう突っ込みが来そうだが、一応筋は通るはずだ。
『それならそうと最初に報告をお願いします』
ほら来た。まあ当たり前の反応だ。ちゃんとした理由があるのなら、わざわざそれを隠す必要なんてのはない。なにせ格下という事実が、そいつへの不信感へと繋がるからだ。そしてきっと、この遺跡のAIも我に不信感を抱いてる筈だ。だが大丈夫。言い訳は用意してる。
ジゼロワンも勇者も我の事を戦いの事ばかり考えてると思ってるようだが、ちゃんと頭を使う事だって出来る。確かに我は教育……などという物は受けた事がない。まあ戦闘の英才教育は受けたと思ってるが、教養とか教育……そんな類いの物は受けた事などない。だが我はそれなりに会話が出来るように成ってると思ってる。
それは我が観察したからだ。人間を観察し、調べた。その過程において色々と我は身につけてきた。人々は我を力だけの暴力の化身みたいに言うが、我は常に頭を使ってきたつもりだ。なにせ強敵には真っ正面から何も考えずにぶつかっても駄目だからだ。ただ何も考えずに敵に突っ込んでいく奴……とか想われがちだが、そんなわけは無い。我は頭だって使える魔王だ。
「それはだな――」
『接続をお願いします。それで状況は確認できますので」
「――え?」
なんだと? 接続ってなんだ? そう思ってると施設の床? いや反転してたし天井? いやよくわからないから壁から何かが伸びてきた。うねうねとした何かだ。
「これを押しつければいいのか?」
『ええ、何処でも構いませんリンクして貴方の中のデータを此方に転送します』
不味い……そんな事をやられたらどんな言い訳も意味ないではないか!! 我、今一番ピンチ!!