「ふむふむ、そうか……まあちょっと待て。今心の準備をするから」
まさかこの我をここまで動揺させるとは……この施設のAI……やるな。どうする? このままなんか伸びできた奴を自分の体に触れさせると、きっと我からどういう理屈かわからないがデータ……きっと記憶的なものが吸われてしまうのだろう。
そうなったらおしまいだ。ジゼロワンが健在だと、元気ピンピンだとこの施設にバレてしまう。そうなるとこの施設の有益なものを我に渡すわけがない。それは困るが……
『どうしました? 早くお願いします。貴方がいるという事は、この施設の本懐を遂げれる可能性が出てきたという事です。ユグドラシルの継承者に託す事が出来ます』
「ちなみにだが、ここには何があるんだ?」
『そんな事は、継承されてから確認して貰うのが一番ですが……』
確かに、わざわざ得意気に言う物でもないか。てかこの話してる奴がそれを知ってるのか……という疑問もある。なにせだ。別にそれを護ってる奴にその中身を知らせておく必要なんてのはないという事だ。ただの時間稼ぎのつもりだったが……失敗だったか――と思ったが……
『そうですね。ではまずは一番この場所で貴重なアイテムをお教えしましょう』
(教えてくれるんかい!?)
どうやら我の心配は杞憂だったらしい。ちゃんとシザーラス人はこの施設のAIにもここになにがあるのか、どんなものが保管されるのか、伝えてあったらしい。というかこのAIとか言うの……
『それでですね、この凄いところは既に空獣によって滅ぼされた世界でしか作れなかった物で、そして潰えた技術なので同じ物は二つと既に現存してないという事なのですよ』
(めっちゃ饒舌に喋りやがるな……)
びっくりだよ。まさかここまでノリノリになってくれるとは。おかげでこの施設から伸ばされた変な管を触らずにすんでる。この調子だと、このAIは多分全てのここにあるであろうアイテムや、装備の説明をしてくれるだろう。それで一体どれだけ稼げるか……とりあえずAIの説明は右から左に聞き流しなから、我はをどうやってAIが説明するここにある物全てを得られるかを考える。
なるべく気持ちよく話させる――というかAIにその気持ちとやらがあるかは知らないが、無機質な声をしてるからな。だが、今この瞬間だけは、覇気というか、生き生きしてるような気がしてる。
だがらあまり水を差してこいつの思考を邪魔したくはないが……気になる事は聞いておきたい。
「なぁ、どうしてその貴重な物がこんなに無造作に保管されてるのだ?」
『よくぞ聞いてくれました』
(あっ、これヤバい奴だな)
こいつのこのテンションを妨げる……とか想ってたが、どうやらその質問はAIの琴線に触れる物だったらしい。更に声に……というか口数が多くなった。