穴が……体に穴が次々と空いていく。完全に暴れ出した我に対して、AIは殺しにかかってきてる。我のこの体を完全に無くさずにだが、行動させない程度のダメージを与える……そんな生殺しのような事を、ここのAIの奴は狙ってる。
我……という意思は邪魔だが、我……という体は奴にとっては必要だからだ。だからこそ、かなり自分自身の体が穴だらけになってるとしても、まだ動く事が出来るてるんだと思う。本当なら、もっと早くに我のこの体……そうシザーラス人の技術を使ったこの体を止める方法はあるんではないだろうか? なにせ……
『そろそろ、終わりにしましょう。貴方のその体の解説は済みました』
とか、AIの奴は言ってきた。。多分だが、この施設の壁や天井や床……その全てから攻撃を放ってきてる訳だが、そのなかでも、ウネウネとしたコードがただ我をみてるだけ……の役割をしてたのがいくつかあった。
我に攻撃を加えて、そして実質的にこの体にダメージを与えてるのは、ほんの数ミリの圧縮された……というか凝縮された攻撃だ。
そしてそれは一つのコードから放たれる。その気になれば、その一つ数ミリの攻撃を飽和的に行う事によって、数ミリという点ではなく、面での攻撃だって出来るのではないだろうか? この施設の行う攻撃は、それこそ数ミリという小さな攻撃だが、我のこの体、この新たに得て、そしていくつか力を高めてきたはずの体を確実に……しかし絶対的に貫いてきてる。
それは本来ならもっと危機感を覚えるべき事だった。なにせこの世界の人類の敵……とも言える砂獣がそもそも我や勇者に傷つける事さえも簡単ではないのだ。それを数ミリとはいえ、簡単に何の溜めもない攻撃で、我のこの体を貫いてくる。
その攻撃力は正直異常だろう。そしてそんな攻撃を易々とやってきてた奴が更に『我の体をしりつくした……』とか言ってきてるんだ。脅しではきっとない。実際の所、徐々に体の動きは悪くなってきてた。ダメージが蓄積してるから……とか想ってたが、そうではないのかもしれない。
(AIの奴が我のこの体の構造を完璧に把握した上で、何処を攻撃したらこの体に有効なのかわかってるとしたら……不味いな)
人の体と言うのはそれぞれ個別に動いてるわけではない。体には骨があって筋肉があって、そして神経やらなんやら……そう言う物が繋がって……あたかも機械のようにうまく噛み合って奇跡のようなバランスで生物はその生を維持してる。
この体は生身の体よりもよっぱど頑丈だし、耐久力もある。だが、それでも人の構造……構成をしてるのなら、どこかがどこかを支えて、どこかの動きに繋がる様なそんなコアな部分と言うのかがあってもおかしくない。
普通の人の間接的な部分……だがそういうあからさまな弱点はこの体では修正はされてるだろう。でもその弱点を補うために他に弱点が出来てたとしたら? 我はぞくりとして、回避に少し専念する。だが、なにせ数が数だ。この場で全てを避ける……なんて事は不可能。我には確実にいくつかの攻撃が当たってる。
そして次第に腕の片方が上がらなくなり、そして足が止まって……動く事が叶わなくなった。我がいくら命令を下しても、我の体が動かない……これは、とても不味いぞ。