「んっんっ、あーあー。声帯は問題ないようですね」
「しゃ、喋った……」
「だ、誰なのお姉さん？」
まあいきなり現れた……というか、人形みたいな物だったのが、人みたいになって、さらにいきなり動き出して喋り出す……うん、なかなかに衝撃映像だよね。子供達はけど、そんなに怖がっては無いようではある。
その瞳には興味の色が強い。わくわく、わくわくと聞えるような表情は可愛らしい。そこでAIの奴はなんと答えるのだろうか？ はっきり言って、AIって子供の対応とかできるの？ 子供なんてのは合理的から一番遠いとも言える存在だからね。苦手そうと思える。
「驚かせてしまいましたね。私はこの方の眷属です。怖がらないでくださいね」
そう言ってAIはニコッと笑った。それに男の子も女の子も頬を赤らめてその動きを止めた。なぜなら、AIの体の容姿……めっちゃ良いからね。めっちゃ美人なのだ。しかもこの世界では珍しい真っ白な肌をしてる。それも相まってなのか、子供達には異次元の美しさに見えてるんじゃ無いだろうか？
ズルい……その羨望は私に向けられるはずだったのに！！ なんか色々と悔しいよね。私だって、純粋な心を持った子供達とお話とかしたいし……別に喋るだけならこの体でだってできるけど……G-01は喋れない設定なのだ。色々と意思疎通ができたら、厄介なことを押しつけられる……と思ったからそうしたからだけど、今ではちょっと後悔だよね。
「お、お姉ちゃんはジー様のお姉ちゃん？」
「はい、そうですよ」
「ジーお姉ちゃんだ！」
イヤ違うだろう。とかいうツッコミを入れたいが、入れられないもどかしさ。子供達は『ジーお姉ちゃん！！』と大はしゃぎである。眷属なんだから、私の方が上なのに、私のお姉ちゃん的立場に収まるってるじゃん。憤慨物だよそれは。そもそもいつの間にか子供達が私の事を『ジー様』よびするのも納得いってないからね。
ジゼロワンってのが呼びにくいから色々と短縮されていった結果、それになったのはわかる。でもジー様って爺みたいじゃん。私はピチピチの女の子ですけど！？ 私が爺扱いされて、AIの奴が女の子か扱いされてるのを観るのはなんかつらい。
「待てよ、こっそりともう一つ体を作れば良いのでは？」
その発想をできた私は偉いと思う。確かに既にAIの監視は無い。上手くこいつが離れてるときにそれを行えれば、こいつが気づくことは無いはずだ。まあでも……問題はもうそれだけのエネルギーが残ってないって事だけどね！！ こんちくしょう！！
