uenoutaの日記

好きなものを描いたり、買ったものを紹介していきます。

転生したらロボットの中だった(ただし、出ることは出来ません)運命という世界線を壊せ 551

とりあえずアズバインバカラの人達への説明は勇者に任せておけば問題ない。私はさっそく魔王のところに向かったAIへと視点を写す。まあただ一つのモニターにその視点を映すだけだけどね。周囲が高速で動いてるのが見える。砂柱が立ってるし、めっちゃ早く移動してるみたいだね。魔王の座標は判明してるからね。そこにむかって走ってるんだろう。いや、これは走っては無いね。いくら足を速く動かしたとしても、それには限界って奴があるのだ。

 ようは稼働するためにロスは発生する。足を動かすとしても、それは別に足だけを動かしてるわけじゃ無いからね。もしも足だけで動いてるとしたら、それはとても違和感があるだろう。つまりはそういう事で、走ってる動作は別の所でも色々とエネルギーを使ってる。なので機械的にみたら無駄? 的な。

 なのでよく考えたらAIは走っては無いのだ。じゃあどうやってこの高速移動を実現してるのか……それは足裏に付いたジェットブースターのおかげだ。足裏だけのジェットブースターは姿勢制御がとても難しい。だからこそ、G-01には色々な場所にブースターがある。それで微妙な調整をするためだ。けど、あの体にはそんなにブースターは付いてない。精々、足裏と掌くらいだ。G-01は大きいからスペースに余裕があるからこそ沢山つけれるわけで、人の体なんて大体カツカツなんだよね。そこに何を詰め込むか……それによって性能とかは変わるわけで、楽しさがあるよね。

 けどあの体はAIに言われたとおりに作ったからね。そこら辺の楽しさはよく考えたら無かったや。けどそんな難しいことをあのAIはどうやら難なくやってるようだ。私だって流石に足裏のブースターだけでは危険すぎてG-01を飛ばすことは出来ないってのに……なんか負けた気分。

「でもでも、G-01は大きいからね。それに直接体を操ってるわけじゃ無い。操作してるから難しさ倍増だしね」

 私は誰もいないこの空間で誰にいうでも無くそんな負け惜しみを言ってた。むなしくなってくるね。それに実際の所、シンクロ率100パーセントの状態でもあれをやれるか――と言われればきっと出来ないって言うよ。だって私はそんなに運動神経良くないし。

「いや、そもそもAIに運動神経なるものがあるのがおかしくない?」

 運動神経とはそもそも何なのだろうか? そういう神経がある訳じゃないよね? 運動神経とかいってるけど、運動の感覚とかセンスだよねそれが指すのは。まあつまりは私にはないものだ。ブースターをふかして移動してるAIはとても速い。このままだとあと数分もすれば魔王のいる場所まで付くだろう。

「あっ」

 私の視界に……というかAIの視界に突如砂獣が見えた。けどそれも一瞬だった。あの哀れな砂獣は別にAIに襲いかかろうとしてた……とかじゃない。ただ通りすがっただけだ。それでAIの進路上に入ってきたから、排除された。腕をブレード化させる装備を実装してたからね。スパパパって一瞬で切り刻んだよ。哀れ。

 そしてここで気づいた。なんか一直線にしか進まないなって思ってたけど、どうやら横に移動するとかの複雑な動きは出来ないらしい。まあそれはそうだよね。ちょっと私の溜飲が下がったよ。完璧を自称してるAIにも出来ない事はあったんだね。