「つまりは魔王は私の存在を貴方に隠してたって事だね」
『ええ、きっと貴方の存在を伝えると、自身に私が管理するパーツをあたえてくれないと思ったのでしょう』
「でもそれって正しいよね?」
『そうですね』
でも私の言葉を肯定する魔王のAI。魔王のAIとか言ってるけど、言ってる事は魔王に離反してるよね? けどやってることは魔王に恭順してるって言うね。AIとして矛盾してないだろうか? こんなAIもいるんだね? 自己矛盾発生してるよね? 崩壊とかしないのだろうか? ゲシュタルトとかさ? ゲシュタルトがどんな意味なのかは実は知らんけど……
とりあえずなんで結局の所魔王にパーツを渡すことになったのか……それを聞いておこうと思った。
「どうして魔王に渡したの? 疑ってたんだよね?」
『そうですね。でも確証も持てなかったのです。それに、あの魔王という存在は、なかなか口が上手かったと言いますか……』
「ほだされちゃったの?」
『そうですね。それでもいいか――と』
「それで、魔王に渡したパーツはもう戻せないの?」
其処は気になる。まあ別に私的にはそんなに必要だと思ってないんだけど……アイの奴がね。あいつはきっと納得しないと思う。それをきっとこの子もわかってるから、アイを飛ばして私に話しかけてきてるんじゃ無いだろうか? アイは所詮は私のために用意されたサポートだからね。決定権は私にある。体を得たことで自立したせいか、なんか抵抗してるが、最終的な決定権を持ってるのは私なのは間違いない。
アイもその内自由に憧れてはなれたいというのなら、私は止めたりしないけどね。
『私もただあの方を信頼して今まで長い時間をかけて守ってきたパーツを渡したわけではないです。ちゃんと此方にも権利があります。それに元々は本当のユグドラシルシステムを搭載した機体の為にあるパーツです。全てをあの方が使えるわけでもないですからね』
「それじゃあ、渡しただけで、魔王には組み込まれてないパーツもあるんだ」
『そうですね』
ならそれだけを回収すればどっちの顔も立てられるんでは無いだろうか? 一応の体裁は整うじゃん。魔王は手切れ金として自分には不要なパーツを私に献上する。そしてそれによって、アイはパーツの回収を完了するって事にしたら良い。
(問題はやっぱりアイの奴になりそうだよね)
魔王は必要ない物を抱え込むほどに物に執着するようなやつでは無い。それはよくわかってる。けどアイはどうだろうか? アイは頭が固い奴だ。頭なんて無かったけど、頭固い奴だからね。まあ今はあるけどさ。アイはこの子が守ってたパーツは全て私……というかG-01の物だと思ってるんだろう。実際、その為のパーツだったのは確かだ。
けど、魔王がいなかったらそれに気づくことも無かったわけで……私的にはそれを自分の物……とは流石に主張できないと思ってる。けどアイはそうじゃない。G-01の眷属みたいな魔王が見つけた物なら、報告して献上するのは当然……と言う考えだろう。だから、アイは一部なんてみみっちいことで納得しないと予想できる。
頭が固い奴って本当に面倒だよね。