(どうして……)
そんな事を私は思った。私は何かに執着するようなやつでは無い。そんなプログラムは無いはずだ。私は合理的かつ、理性的に判断できるようそんな風に作られたはずだ。そんな風に思ってた。この体だってそうだ。ただ目的の為に手に入れただけで、それに執着してたつもり何て無い。だが、こんなこ行動をする当たり、どうやら私は案外あの子の事を好きだったらしい。
手が焼ける子供ほど可愛いとはよく言った物……つまりはそういう事なのかもしれない。私は爆発の中その中心地を目指す。それはつまり魔王の元に行くと言うことだ。でもあいつの周りはその力の暴走のせいで、力場が発生してる。だが危険だがやりようはある。
(魔王の力の波長はわかってます。それに合わせて私の力をあたえれば……)
魔王は強力になってるが、その力の神髄というか、根っこの部分は大きくなったとしても肉付けされてるだけで波長が変わることは無い。そんな事が起ったら、それはその人になりすましてる偽物の可能性を疑った方が良い。
でもあれは魔王で、魔王以外の何者でも無い。そして私はもともと存在が無かったAIだ。魂なんて物はない。なんにでも私は寄り添える。そういう存在。だからこそ、自身の力の波長を変える事だって出来る。
爆発が激しくなっていく。どうやら魔王は魔王でこの暴走状態を維持するのも限界になってるようだ。それはそうだろう。僅かに最初に制御できてたとしても、やっぱり暴走とはそう言う物だ。取り返しの付かないことをしたと今更思っても仕方ない。これは自滅みたいな物。これならあの子も仕方ない思ってくれるだろう事が唯一の救いではないかなって思う。
私は爆発する先を見極めて最小限で進んでなんとか力場にたどり着く。そこでは魔王が宙に浮き体の至る所から光を漏れ出させていた。多分もう限界なんだろう。既に魔王としての体を保ってない。元々の銀色の体をしてるただの人形の姿だ。
「無様ですね。そんな貴方に付き合ってやられるつもりはありません」
私はそう言って今までで一番手首を回転させる。その勢いのせいか、手首の関節部分で火花が散る。それを両手でして、力場に差し込んだ。なかなか突き刺さられないが、それでも諦めずに続ける。腕の塗装がはげ、肉感はなくなり、ただの銀色のフレームが顔を出す。
けどそれでもなんとか差し込んだ。もうその時には魔王は真っ白に光り輝いてて大爆発一秒前くらいだった。