流れてくる力。それが私の自身の中で暴れ出す。魔王は暴走状態に陥ってる力を私の方へも流すことで自分のことを守ろうとしてる。なんというずる賢い奴だ。これでは此方もダメージを食らうのは避けられない。胸が苦しい……なんか魔王が汗臭いし、私の方が最先端の素体で出来てるのに、魔王の腕は太くて力強いし……胸板はなんか厚い……
(って何を考えてるんですか!?)
そういう事じゃ無い。この無理矢理私のセキュリティを突破して侵入してくる暴走した流れを作り出す力。これを静めないと不味いって事だ。いや、でもここまで来るとこの流れ自体は止めることは難しい。
私が冷静になってやることはここまで来たら一つしか無い。それは何か……魔王が分割した力によって私自身が暴走するのを防ぐことだ。
流れ込んでくる分割された魔王の力……それだけが私の中で爆発する分には分割されたこともあってどうにか出来る。けど、それに私自身の……そうこの体自身の力が加わったら、私は耐えきれなくなるだろう。
ようはそれは駄目だと言うこと。それをさせないようにしなきゃいけない。私と暴走状態の魔王の力を完全に分離して、私の内部の力がこの流れに合流しないようにする……そうすれば、多少の痛みで終わるはずだ。内部を他人に犯されてるみたいで気分は全く良くないが……今できるのはこれだけしか無い。
私と魔王の体が光が輝く。二人とも側が無くなって、銀色のボディになってしまってる。それで逃がさないようにだろうが、更にぎゅっと私を抱きしめる魔王。そのせいでなんか熱い……いや、これは爆発一秒前くらいだから、その熱が漏れ出てるだけであって、それだけだから! 私の中も熱いが、それも暴走してる力がもうこの瞬間に内部で爆発し出してるせいだから!!
そんな事を思いつつ、私達の体から大きなエネルギーが膨れ上がって二人揃って爆発した。その瞬間に更に強く抱き合ったけど、それはただ単純に衝撃に備えるためであって、他意は無い。
爆発と共に、私の思考も、そして視界も、全てがブラックアウトした。なにも見えないこの暗闇は懐かしい。G-01がスリープ状態の時、私は永遠とこんな中にいたんだから。けど……少ししたら、僅かな光が見えてくる。一回ブラックアウトしたパスが再び繋がる感覚。そう……もう私は、暗闇の中にずっといるだけの存在ではない。