「まず言っておきますけど、あの子は貴方の離脱を止めようとは思ってません」
とりあえず、それを伝えておくことにした。魔王は決死の覚悟……みたいな感じだが、あの子は最初から其処まで反対なんてしてなかった。こう言う日が来るのをわかってたような……そんな感じ。実際魔王は誰かに付き従うような性格では無いと、私だって思ってる。だからこう言う日は来るんだろうとは予測はしてた。
けどそれがあまりにも早くて、不可思議で、そしてそれが出来るのが今ではあり得ないから不審だったのだ。だから私は反対した。だって今の魔王……というか以前の魔王があの子から離れるなんて言うことは物理的に不可能だった。
それが出来るように成るまで二人がアップグレードされるまでまだまだ時間はかかる見込みだった。なにせそれにはまずはあの子がG-01を成長させないといけない。ここでもかなり成長したけど、でもまだまだ先だったのは変わらない。
てもそれが一気に巻いたのだ。それは不審に思う。事実として、魔王はこの世界にあったあの方達の遺産を掘り当ててしまった。それによって一気にその機能を獲得してしまった。運が良い。本当に。なにせ厄介な事は、こう言う施設はその世界にいたとしても、発見できるとは限らない。世界全てをスキャンできるほどの高性能なスキャン機能があれば別だが、世界全てをスキャンするとなると、かなりの高性能な……いや超高性能な部品が必要だ。
後は物量でなんとかするか……でも世界の広さもその世界によって様々……それに毎回スキャンするほどにエネルギーに余裕があるかというと……それも難しいでしょう。ですから……ここで魔王がこれを見つけてくれた事は評価しましょう。
全てでは無いとしても、まだ創造できないほどのパーツが手に入ったわけですからね。
「そうか、まあそういう奴だなあいつは。だからこそ、お前と戦えてよかったぞ」
「本当に……いくんですか?」
それを言ってしまって、私は何を言ってるんだろうと自分で思った。
(いやいや、これはただ戦力の低下を恐れただけです。世界にはどんな危機があるかわかりませんからね。そうですそうです)
私は必死にそう心で紡ぐ。だってそうでもしないとなんか顔が赤くなりそうだったからだ。
「我は我の道を行く。確かにジゼロワンと行く方が楽かもしれん。だが、そんなのは望んでなど無いからな」
「そうですか。私では止められそうに無いですし、あの子を説得するのも無理でしょうし、これ以上止めません。ですが、この世界からどうやって移動するつもりですか? ずっとこの世界にいる気ではないでしょう?」
「当然だ。なんとかするさ」
そう言ってるが、本当に魔王は世界を渡る術をわかってるんだろうか? そんな簡単な事では無い。でもそういうパーツも得てるのかもしれない。それはいわないでしょうし……きっと策でもあるんでしょう。なら詮索はしません。
「そうですか、では失礼します」
「おう」
そう言って私達は別れた。