魔王が去ってから一週間くらい経った。アイをジャルバジャルへと送り込んで四日くらいである。なんの問題もなくある意味ちゃんとやってる……と思ってたけど、この日事件は起きた。いきなりジャルバジャルの街を復興してる何人か……いや何十人かの人達がアズバインバカラにやってきたのだ。
宵が終わってすぐの行動というか……寧ろ宵のうちから行動してたねこれは。宵には行動は出来ないのはこの世界の常識だけど……テントを張れば、野営は出来る。てかそれを使って街と街を移動してるわけだからね。でもそれはなかなかに大変なことだ。だって街以外はこの世界は崩壊してるのだ。
誰も知らない真実……いや協会はきっと知ってると思うけど。そんな中に飛び出るんだから、野営なんてテント無かったら一発アウトだ。それをやってでも……何か訴えたいことがあったと言うことで……実際、めっちゃなんかジャルバジャルの人達は切羽詰まってるようだった。私はいつもの場所で腰を下ろして色々とやってたわけだけど、なんか入り口の方向で色々ともめてたからね。それを聞く限り、どうやらジャルバジャルの人達は訴えたいことがあるようだ。
最初はそれこそラパンさんとかこの街のトップの人達に会いたいのかと思ったけど、どうやらそうじゃなくても良いらしい。なにせ勇者が出ていったら――
「勇者様ぁぁぁぁぁ!! 助けてくださいぃぃぃぃぃ!!」
――ってなってたからね。そしてこう訴えていた。
「アイ様を……アイ様を止めてください!!」
――とね。いや、あいつ一体何をしたの? ハッキリ言って、あの屈強な奴等があんな涙目で訴えて来たってだけでキモ……いや心配だよね。報告ではアイの奴「順調です」としか言ってなかった。かくしてたのか……いや……
(そもそもがアイは問題だなんて思ってなかったのかもしれないね)
アイは人の感情には疎いと思う。それはAIだったから。そういう感情を無視して、最適なことをアイはきっと提示してるはずだ。あいつらが簡単にそれに納得なんてしないと思うけど、その時も暴力は駄目だって言ってる。だから暴力的な事はないと思う。
私が駄目と言ったことは禁則事項だからね。そうなるとアイはAIでいる以上、それを破ることは出来ない。
だから力で暴君になってる……なんて事はないと思う。でもあの筋骨隆々の泣き顔を観るに……ヤバいことをやってるんだろうなって事はわかる。そう思ってると、その張本人がやってきた。
「何やってるのですか? 皆さんスケジュール通りに動いて貰わないと困ります」
「ひえっ!?」
「なんでここに!?」
「私にとってはジャルバジャルとアズバインバカラの距離なんて近しいですからね。お迎えに来ました。さあ、帰りましょう」
そういうアイの笑顔はこの場にいる男共を虜にするほどに綺麗でカワイイ。実際、けっこうな人達が顔を赤らめてる。けど……
「ひぇぇぇぇぇ!!」「いやだあああああああああ!」「俺たちは人間なんだぁぁぁぁぁ!!」
――と叫ぶジャルバジャルの人達。こうも反応違うのはなんか面白いね。てか……恐れられすぎでしょ。本当に何したのって感じ。