「この人は……なに? 人間? それとも……」
砂獣? でも砂獣ではないよね? 流石にこんな……こんな人間にしか見えない砂獣なんて……こんな事ができるのなら、あの蜘蛛人間がちょっと可愛そうじゃん。まあこの人はもしかしたら成熟した技術によって作られて、あの蜘蛛人間は多分だけど、数百年くらいは生きてそうだからね。それかもっとかもしれない。だから全然技術水準が低かったからあんな蜘蛛みたいになったのかもしれない。
その当時はアレが限界だった……的なことは有り得そう。
「でもこの人……とっても普通というか……」
汚いってわけじゃない。いや、今はその……ね。出産の影響もあって色々と汚いことになってる。でもそれを差し引いても、今までみた教会の趣味悪い感じの奴等って感じじゃない。どっちかというか、この人の格好って宮殿には居るけど、そこでお仕事してる人たちの恰好なんだよね。この世界は暑いからそんなかっちりな格好はしてなくて、結構肌を大体に出してて、その上で女性は薄い布を羽織ってる。口元隠したり、体を紫外線から守ってるのかは知らないが、一枚隔てることによって更にちょっとエロいって事になってると私は思ってるよ。
まあつまりはこの人もそんな一人の可能性があるってことだ。この人はどこかのおえらいさんの奥さん……とか恋人って感じじゃない。いや、もしかしたらこのサーザインシャインインラのおえらいさんの愛人って可能性は多分にあるけどね。
実際この人結構綺麗だし。出るところ出て引っ込んでるところは引っ込んでる。実際今さっき赤ちゃん(砂獣)を生んだとは思えない体つきしてるよ。
「この人、運んで大丈夫かな?」
後で教会が回収に来る……とかあるかな? でもせっかくの貴重なサンプルである。そう言うのはどうかと思うが……そもそもがこの人? をどういう目で見ればいいかちょっとわかない。まあけど、このまま放置ってわけにもいかないような? 私はドローンを近づけて触ろうとする。けどその時、不意にパチっと彼女の目が開いた。
「うわっ!? びっくりした」
光学迷彩しててよかった。いや……なんかおかしいね。なんか目開いたけど、すごく虚ろだ。それに彼女はすぐに立ち上がった。まるで自分の体のことも、さっきのことも、そして今この場の惨状というか……そういうの全部見えてないかのよう。
けど、なにやら自分の体だけは確認したみたいだ。彼女は自分のお腹の下あたりを擦る。すると僅かな光とともに、彼女の体がピカピカになった。ようはきれいになった。それに体だけじゃなく服もだ。出産したときに色々とぶちまけて汚れてたのに、新品のようになった。
「魔法……普通に使ってるね」
出産してるシーン的には彼女自体はなんか何もわかってないかのように見えたが……そうでもない? よく解んなくなってきたね。
「くそっ!? なんとかして私だけでもここから脱出を……」
そんなことをいいなからドタドタと歩いてる男性が近くを通る。彼はきっとこのサーザインシャインインラの上層部の一人なんだろう。ブクブクに肥えて脂ぎった肌をしてる。その体を重そうにしかし急いで動かして汗だくで、ちょっと近づきたくない感じが溢れてる。それに不機嫌そうだし。まあこのままだとこのサーザインシャインインラは砂獣に飲み込まれるからね。そうなるとここにいる人たちに待ってるのは『死』だ。
それを回避しようと……自分だけはなんとか回避しようと彼は策を考えてるみたいで、周囲をみてない。けどそんな彼を見て、彼女は躊躇いなく近づいていった。普通の女性なら近づきたくもなさそうなのに、彼女は躊躇いなんて無い。そしてふらつくような演技をして、うまくその魅力的な体を彼にぶつける。
「誰だ! 無礼だぞ!!」
一緒に倒れてそんなことを叫ぶ豚。けどその柔らかな感触と視界を埋め尽くすおっ○いに一気にその剣呑な空気がやらしいものになった。
「す……すみません……私ったら……な、なんでもしますから……どうか……お許しを」
瞳をうるうるとうるませて上目遣いにそういう彼女はもうね……完璧にわかってるよ。そしてそれにまんまとハマる豚。彼女の全身を見て舌なめずりをして、そしてさっきまでの思考が一気に性欲に塗りつぶされたみたいだ。
そのまま彼は自分の権力を利用して、「なら代償はその体で払ってもらおうか!!」と言って彼女をその場で押し倒してソレを……うん。そういうことだ。
「うわぁー」
私は両目を手で抑えるよ。けど指の隙間から見えちゃうものは仕方ないよね。