uenoutaの日記

好きなものを描いたり、買ったものを紹介していきます。

転生したらロボットの中でした(ただし、出ることはできません) 運命という世界線を壊せ 626

「彼女はをどうやら宮殿に仕えてた女給みたいだ」

『ここ最近雇ったとか?』

 私はすぐさまそんな風に突っ込んで聞いた。実際彼女がこの宮殿の女給なのはわかりきってる。問題は一体いつから……ってことだよ。最近入ったのなら、それこそ教会の刺客の可能性が高い。この為に、彼女を潜り込ませたっていうね。でも昔から……少なくとも一年とかまえくらいから元々いて、更に彼女の素性がちゃんとそれ以上に遡れるとなると……彼女という人間はもとからちゃんと存在してた――という証明になるだろう。その場合……ある意味でもっと残酷なんだけどね。だってちゃんとした人間ってことは、それは人生があって、家族があったってことだ。もしもこの作戦のためだけに教会に作られたかもしれない存在なら、ある意味で楽だよ。

 だってもしも彼女がいなくなっても、なにも後腐れなんて無い。繋がりがある人なんてそんないないだろう。もしかしたら一人二人、職場で仲良くなった人が居るかもしれないが……それでもたった数ヶ月? それとも数週間? そんな期間の間柄なら深く引きずることもないと思う。

 確実に彼女に居るのは体を重ねた相手達……だろう。でも彼女の場合は関係を深めて、恋人になってそういう関係になる……なんてのではまったくない。自分のその美貌を利用して、一晩の過ちを侵させる関係だ。だからまあそこら辺は問題ないと思う。割り切ってるし。職場の関係上、何回も精子を取ったやつもいそうではあるけどね。

 まあけど所詮はそういう関係だし、問題ないとそっちは思っておこう。とりあえず彼女は教会がつくった存在とかだといいなぁ~とか思ってた。

「いや、彼女は幼いときから宮殿に仕えてるみたいだ。その容姿が気に入られて、連れてこられたみたいだ」

「容姿がですか? 宮殿はやっぱりサーザインシャインインラの中枢ですよね? そんな簡単に部外者を雇えるものなんですか?」

 勇者の疑問も最もである。けど、それはまともな考えだ。勇者は知らないだろうが、このサーザインシャインインラの上層部は腐ってる。私はおじさんからさっきの言葉を聞いたとき、幼い彼女は食べられるために連れてこられたんだなって思った。

 きっと権力者が町中で見つけた可愛い子を自分の物にするためにここに連れてきたんじゃないだろうか?

「もちろん、宮殿はサーザインシャインインラの中枢部です。本来なら、誰もが教養を受けて、それ相応の水準でないと雇われないとなってます。それに事実、宮殿の就職の門は狭い。なにせ宮殿の仕事は給料がいい。

 女性がなかなか稼げない中で、宮殿への就職は、泊付と金……両方の面でとても価値があるとされてる」

 だろうね。この危険な世界だもんね。確かに女性が働いて稼ぐってなると大変そう。勿論この世界の人達は私が知ってる基準の人間よりもだいぶ強い。けどそれでも男女差はあるし、女性が砂獣と戦うような職業につくってことはそうそうない。

 いないことも無いみたいだけど……あいにくと武器は重いし、自分を守ろうと思ったらそれなりの装備が必要だ。そんなのせずに賞金稼ぎたちは頑張ってるが、欠損してたり、体中傷だらけなやつは多い。当然だね。男なら、それらも勲章になるかもしれない。けど女性だとね……だからこそ女給的な仕事はとても理想的なんだと思う。

「上層部の人たちが自分が気に入った女を連れてくるなんてのはよくあることですよ。美しい女性を侍らせてると、それだけで男は気分が良くなるものですからね。それに宮殿は、そういうことをやりやすい。規則を作ってる奴等が腐ってるから……」

 そう言って苦虫を噛み潰すような表情をするおじさん。どうやら上層部の連中は宮殿でヤりまくってるらしい。仕事場という事を隠れ蓑にしてるみたいだね。それにその女性と会うのだって、仕事だから……といえる。言い訳しやすいんだろうね。

『悪事にだけは回る頭ですね』

 私は呆れるようにそう言ったよ。