uenoutaの日記

好きなものを描いたり、買ったものを紹介していきます。

転生したらロボットの中でした(ただし、出ることはできません)運命という世界線を壊せ 647

 宵が開けた直後、異変に誰もが気づいたことだろう。本当なら宵の内にぶっ倒せればよかったんだけどね。でも最近は鬼も私を……G-01を見たら逃げる様になってるからね。あの金色の鬼はどうかと思ったわけだけど……なんかちょっと賢くなってた。ただ逃げるだけでもなくて、宵の間、あいつは複数の鬼と行動をともにするっていう知恵を持ってるようだったよ。

 G-01はアップグレードを重ねて、鬼一体には勝てるようになってる。でも油断は出来ないのが現状なわけで、上手く一匹を連れないと厳しいわけだ。だから常に複数でいろうとするあの金色の鬼には手を出すのはやめたのだ。

 もしもあの鬼が宵以外にもその影響を与えるのなら……と思ってね。そしてどうやらその予想はあたってた。実際邪魔なものは宵の内に壊せれば、それが誰にも干渉されずに楽なのは確かだ。けど鬼とかはそういう意志とは別の所に居るというか、居るべきというか……世界の理的にそういうことはやらない。鬼は役割だけをこなすような存在で、ソレだけをプログラムされてる? みたいな? でもなんかそのプログラムがあの金色の鬼はなんか違う。そして今、宵が開けて明になって、その異常性が現れてる。

 

「何だアレは?」

 

 自身の家の屋根に上がって、おじさんは単眼鏡を持ち出してそんな事を言ってる。その声は……叫びはこのサーザインシャインインラ全域へと響き渡ってるだろう。この世界、寝起きが悪いとかないから、皆がこの声を、叫びを聞いてるはずだ。宵が明けると同時に、皆はスッキリ目覚める。だからこの声を聞き逃すやつが居るとは思えない。おじさんは避難してないから、その原因をこんな風にちゃんと視界に納めることが出来た。

 けど、ここの民の人たちは避難してるから、きっと不安でたまらないだろうね。教会とか、宮殿とかに集まってる人たちはどっかに押し込まれてるだろうし、この叫びでいよいよ波が始まったのかと思ってるだろう。

 実際、この声とともにサーザインシャインインラに集まってる砂獣達は動き出す。昨日まではこの街を囲んで様子を見てたわけだけど……これを待ってたのか。あの金色の鬼を。あいつは宵から飛び出して、明にまでその姿を表してる。

 本来なら絶対にありえないことだ。ソレをあの献上した何かがなしたんだろう。

 

「砂獣だけでも厳しいのに……あんな……」

「この波を引き起こしてるのが教会なら、止めるすべも教会にはあるかもしれません。まともに戦う戦力がここにはないのなら、ソレを狙うしか無いでしょう」

「確かにそうですね。教会にとって我らは……いや地上の全てが贄だとしても……我々はそれを受け入れた覚えはない」

 

 そう言って単眼鏡から目を離して砂獣が進んでくる砂埃を見つめるおじさん。街を囲んでる砂獣達は一斉に動き出してるわけで、それを防ぐには全方位に戦力を分散しないといけない。そもそもがそんなに戦力が心もとないここサーザインシャインインラは一体どのくらい持ちこたえることができるんだろう? 下手したら一瞬で……なんて事があるかもしれない。

 せめて……アズバインバカラの戦力が来るまで持ちこたえてほしいけど……どうだろうね。