「はあはあはあはあはあはあ……今度こそ死ぬかと思った……」
野乃野足軽は文句を言おうとお湯を見る。するとさっきまでの硬さ? がなくなってるような気がした。
「おい、やってくれたな」
さっき忠告しただろうが……と言いたい野乃野足軽。なんとか今までは地球の意思とか言ってたから敬語を使ってたが、流石に二度も殺されかけるとそういう配慮ができなくなったようだ。
「おい……」
野乃野足軽はお湯をバシャバシャとする。なにせさっき、あの存在が人形になった時、このお湯を全部使ってた。そしてついさっきお湯を使って野乃野足軽を拘束したときも、お湯全体が固くなってた。つまりはあの存在はお湯全体にその意思を通してると思った。
だからお湯がまだ残ってるから、野乃野足軽はここに居ると思ったんだ。全部が鼻の穴を通して来たのなら、全部のお湯がなくなってるはずだ……けどお湯にほとんど減少は見られなかった。確実に半分くらいは入ってきたような……そんな感覚が野乃野足軽にはあったんだが……実際見てるとお湯はほとんど減ってない。ならここに居るだろうと思ったのに反応はない。変な声も聞こえては来ない。
(ここです)
「ぷはっ!?」
なんかスパアアアン! と腕が勝手に動いて自分の頬をハッ叩いた。一体何が? と野乃野足軽は叩かれたことにも、そして自分の腕が勝手に動いた事にも、そして水の彼女の声があの空間と同じように普通に聞こえてきたのも……その事実を飲み込めないで思考停止してる。
(ふむ、やはり貴方の中は馴染みますね)
ポタポタとなにかか野乃野足軽から落ちてた。それがお湯に落ちて赤黒い広がりになっていく。それはどうやら野乃野足軽の鼻血のようだ。一体どれだけの勢いで叩いたら自分自身の力で鼻血を出せるのか……停止してたように見えた野乃野足軽はゆっくりと現状を咀嚼してそしてようやく色々と飲み込めたのか、言葉を発する。
「もしかして、俺の中にいるのか?」
(はい、貴方の存在の中に溶け込みました。そもそもそうやって元からここまで来たので、できると思ったのです)
「元から?」
(はい、海で力を使いましたよね? その時です。私は貴方の力のパターンを把握しています。ですからそれに自分自身を合わせたのです。それで貴方の血液のように体を巡っています)
「なんだよ……それ。それでさっき、俺の体を操って……なんで殴った?」
そこでめっちゃ疑問に思った野乃野足軽。別に殴る必要なんてなくない? その疑問がある。
(なんとなく?)
その答えにブチ切れそうになる野乃野足軽であった。こいつと居ると命がいくつあっても、体がいくつあっても足りないのではないかという危機感が感じられたんた。