「アクアはこんな風じゃなかった……」
『あの子もそんなに長くは生きられなかったと思いますよ。だからこそ私の所に来たのでは?』
「アクアは元からそんなに生きられないってわかってのか?」
『自分の命の期限はなんとなくわかるものです』
「でも、俺はお前のことなんか一ミリも知らなかったのに、アクアがしってるなんてあるか?」
アクアは野乃野足軽の記憶や知識をもとにしてたとおもってる。だからこそ野乃野足軽にはその節はどうなんだ? って思える。だって彼自身が知らなかったことをアクアがしってるだろうか? ってことだ。
『あの子は水をもとにしてましたからね。それが偶だったのかもしれません。水だったからこそ、私がいた海へと帰ろうとした。それが結果的に私に出会うことにつながった。あの子もこんな風になるとは思ってなかったでしょう。ただ水に戻ればいつでも貴方の傍にいれると思ったのかもしません』
そんなアースの言葉きいてちょっと鼻の奥がツンとする野乃野足軽。
「あ……」
(アクアはなんで生まれたんだ? あの時はそんなバランスとか、それこそこの星のエネルギーなんてのは意識なんてしてなかったぞ。偶で命なんてうまれるか?)
あんまり一人で喋ってると変な人とみられると意識して頭で喋る事を意識する野乃野足軽。ついつい普通に会話してる気になって、声にまで出てしまうが……アースと会話する時は意識できる用にならないと……と思ってる。
(けっこう生まれてますよ。ただ維持はされないですからね。すぐに消えて輪廻に加わってます。それで良いのですけどね)
なんかけっこう偶で命というのは生まれてるらしい。どうやら世界にはそこら中にこの星のエネルギーが溢れてるから、それが上手く噛み合うときというのはあるらしい。けどやっぱり肉体的に生きれるようにできてないからすぐに死んでると。
(それに人には魂の声は聞こえませんしね)
(確かに……もしも自分が命を生み出してたとしても、それに気づいたりすることはできないか)
昔は……というか今ももしかしたら変な儀式とかやって悪魔とかそんな召喚をしようとしてるやつとかいるかも知れなくて、そんなのが噛み合って命となっても、結局は気づくことはできない……とかそんな感じなんだろう。人形が動いた話は古今東西有るがそれはもしかしたら人形という素体が魂にマッチしてて、わずかになら動ける……とかなのかもと野乃野足軽は思った。
(アクアが動いてたのは何だったんだ? それに最初から……いや違うな。自分からチャンネルをあわせたから普通に会話できたのか)
最初はアクアの声は聞こえづらかったのを野乃野足軽は思い出した。それをハッキリ聞こえる用に意識したあれが今やったチャンネルをあわせるようなことだったのかと改めて野乃野足軽は思った。
(アクアが動けたのは水だったからなのか?)
(上手く力を水に伝えて貴方がそれを稼働できるようにしたのでしょう)
(してないけど……)
(アクシデントで……と言ってましたね。それが結果的にそういうことを引き起こしたのでしょう。それに水は柔らかいですからね。固形物を可動式にするよりは可能性はあります)
(そういうものなのか……)
(難易度的にはそっちのほうが高いですけどね。形ないものに命を宿らせるのは大変です。そこの川で試してみますか?)
そう言われて野乃野足軽は川に近づく。そして川に手をつけて、「つめた」とか言いつつ我慢して意識を集中する。この星のエネルギーと自分の力をうまく合わせて……とか色々と頑張る。
「いや、無理だろこれ」
(だから難しいと言いました)
ほらね……という口調でなんかちょっとしてやったりみたいな声に野乃野足軽には聞こえたよ。