どかどかどか−−と騒がしい音が聞こえる。砂獣がもうここまできたのか? と思って別のドローンの映像を確認してみるけど……
「本当に期待を裏切らない最悪具合だね」
私はそんな呟きをしちゃったよ。だってさ……砂獣と思ったこの音……見てみたら違ったよ。なんと、逃げ惑う中、これからの為だろう、金目のものを奪ってるやつらがいる。そんなことする前に逃げればいいのに……まあ逃げ場なんてないんだけど…… だからってこの状況で盗みを働くとはね。豪胆なのかなんなのか……
しかも一人二人じゃない。そこそこいる。そして案の定−−
「これは俺のだ!!」とか「私のよ!!」
−−とか言って争ってる。そんな時だった。下から何やらガゴンガゴンと音がしてる。けど争ってる強盗に成り下がった奴らは気づかない。必死に金目のものを抱えるのに忙しいんだね。でもそれが命取りだ。まあそもそもがこんなところに金目のものを盗みにきてるのが間違いだ。そんなことをやる暇があるなら、私が届けた武器を手に取るべきだった。
床に入る亀裂。そのすぐ後だった。床を砕いて蟻型の砂獣がその口を開いて頭を出してくる。その口にちょうどよく飲み込まれていく盗人達。
「うぎゃうあああああ!?」
「ダズげっダズげでぇぇぇぇぇぇ!?」
そんな断末魔の言葉と共に牙に挟まれた体はいとも簡単にちぎれて、粉砕されて、そして噴水のように体から血液が飛び出していく。なんとか最初に口の中に収まらなかった奴もいるけど、下にも蟻型の砂獣はいっぱいだ。
「いや……やめて……あぁぁあああああああ!!」
「やめろ! これは俺の物だ! 触れるなあああああっ」
恐れるもの、最後まで金にしか目がなかったもの……色々だったけど、皆等しく死んでいく。ある意味、死だけは誰にでも訪れる平等なものだったんじゃないかって思っちゃうね。てかこのままじゃすぐにここまでくる。死体は残ってるし、こいつの死体も砂獣に食われるだろう。だから早くこいつの記憶を……
「脳だけでも取っておこうかな?」
それなら後でゆっくり解析できる気がする。でも……私も散々グロいところは見てると言っても、自身がそれをするってのいうのに慣れてるわけじゃない。とりわけ、脳を取り出すって……できるならやりたくないし……さてどうするか。なるべくなら脳をとりだすなんてしたくなぁ。けど時間もない。